雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は、「imperfect」代表取締役社長 佐伯美紗子さんの活動をご紹介します。

佐伯 美紗子さん
「imperfect」代表取締役社長
(さえき みさこ)父親がメキシコで働いていたため、12歳から16歳までアメリカ・テキサス州で過ごす。帰国後、国内の高校・大学に進学。’08年総合商社に入社。’19年より子会社「imperfect」立ち上げに携わる。’22年8月より現職。

チョコレート、ナッツ、コーヒー豆。「おいしい」から社会課題へアプローチ

表参道ヒルズ同潤館1階の「imperfect表参道」。入口からはカラフルな内装が見え、足を踏み入れたくなる。扱うのはガーナのチョコレートやコートジボワールのナッツ、ブラジルのコーヒー豆など(※)。そのすべてがサステイナブルな環境下で生産されている。

「消費者と直接コミュニケーションをとることが、このショップの大きな目的です。『社会や環境にいいから』という理由で何かを買ったり食べたりしても、高価だったりおいしくなかったりすると、よい行動も持続しませんよね。そういう商品は売れないからメーカーもつくらない、需要がないから原材料も売れない、結局、生産者や環境への負荷も改善されない。持続可能を実現するための起点となるのは、消費者なんです」

生活者にとって「よい」ことが、そのまま世界や社会にとっても「よい」ことになる。コンセプトを知らない人が通りがかりに気軽に店に入って、求めやすい価格設定のコーヒーやアイスを楽しみ、おしゃれなチョコやナッツをお土産に買っていく。そのついでに、社会課題について考える。持続可能の「円」が回り始める。

「レジでは、お客様に投票券をお渡ししています。売り上げの一部を活用して行っている3つのプロジェクトのうち、どれを実行するかを、お客様の投票で決めているんです。農家が抱える課題に、投票という形で関わっていただく。実感のあるアクションです」

家族の都合で小学校6年生からアメリカで暮らし、マイノリティの立場を経験した。「最初から完璧じゃなくていい、imperfect(不完全)でも、一歩踏み出すことが大切なんだ」。社名に込めた想いが、形になっていく。

【SDGsの現場から】

●「環境」「教育」「平等」の3つのプロジェクトに投票

インタビュー_1
店内の投票箱。「森を再生」「養蜂を学ぶ」「女性の学びをサポート」の3プロジェクトを実施中。

●現地の人々にどんなメリットがあるかを考える

インタビュー_2
支援が押し付けにならないように、プロジェクトは現地の人にとってのメリットを強く意識。

※ガーナのチョコレートやコートジボワールのナッツ、ブラジルのコーヒー豆…ガーナでは農地開拓に伴う森林の減少、コートジボワールやブラジルでは女性の就労に関わる不平等など、「農」に関わる社会課題は多い。

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PHOTO :
望月みちか
EDIT&WRITING :
正木 爽(HATSU)、喜多容子(Precious)
取材・文 :
剣持亜弥(HATSU)