ホテル賢者に聞きました!「今、行くべきホテル」のキーワードとは?

あぁ、旅に出たい。やっと自由にどこへでも行ける、という解放感と共にこの秋、旅への熱は、ますます高まっているのではないでしょうか。

日本の風土を味わう一棟貸しや、地域密着型リゾート、心躍る体験型施設や日本初上陸のラグジュアリーホテルまで。今、世界が注目する「デスティネーション=目的地」は日本のホテル、といっても過言ではありません。豊かな自然や絶景を堪能しに、そこでしか味わえない食を求めて、アートや建築を愛でに、ひとり静かな時間を過ごしに…。

今回は、ホテルプロデューサー、建築家、トラベルジャーナリストがプレシャス世代におすすめしたい「今、行くべきホテル」を3つご紹介します。


「“本物に触れること” で、その裏にある物語や人の想い、受け継いできた哲学を知る。それがホテルステイの醍醐味」─ 浅生亜也さん(ホテルプロデューサー)

浅生 亜也さん
ホテルプロデューサー
(あそう・あや)「サヴィーコレクティブ」代表取締役社長。監査法人などを経てホテル事業を開始。数多くのホテルや旅館の企画、ブランディング、運営や再生を手掛ける。

どんなにAI(人工知能)が進歩しても、人の想いや感性、積み重ねてきた歴史の厚みには敵わないと思っています。ホテルはまさに、人がつくり、人が育むもの。

東京駅直結の「東京ステーションホテル」は、あの場所で歴史を見つめてきたからこそのもてなしがあります。一方、開業したての「ブルガリ ホテル 東京」は、老舗ジュエラーとしてのブランド哲学が、細部にまで宿っています。

また、日本人の削ぎ落としの美学が反映されていると思うのが瀬戸内に浮かぶ宿のような船「ガンツウ」。船旅というと、豪華客船でパーティというイメージを覆し、穏やかな瀬戸内海に溶け込むシンプルな空間で、のんびり気ままに過ごす船の旅。海に囲まれ、海と共に生きてきた日本人らしい感性が息づいていると思うのです。

歴史や物語、哲学を知り、本物に触れる体験こそが大人のホテルステイではないでしょうか。

「guntû(ガンツウ)

「ガンツウ」の船内
 

TEL:0120-489-321(受付は10時〜18時)
3日間¥550,000〜700,000(2名1室利用時1名あたり、税・サ込み)

「ガンツウ」の外観
美しい瀬戸内の風景を、海から楽しむ贅沢

●おすすめの過ごし方
「好きなものを、好きなだけ」がコンセプトのダイニングで和食や洋食、デザートなど、美食を楽しんで。


「“やりすぎていない” 程よさと、“ねばならない” を打ち破る、感性を刺激してくれるホテルが今、おもしろい」─ 半谷仁子さん(建築家)

半谷 仁子さん
建築家
(はんがい・じんこ)「モンスーンカフェ」などの店舗や著名人の住宅など多くを手掛ける。光と風と緑を大切にした大胆かつ繊細な設計が人気。

ゴージャスな空間で非日常を味わうのも素敵ですが、“やりすぎていない” 程よいゆるさ、居心地のよさを感じるホテルに惹かれます。京都なら鷹峯にある「ROKU KYOTO(ロク キョウト)」。街なかから車で約30分、洛中洛外のキワ、程よい郊外に位置し、建物もインテリアも品よくシンプル。川のせせらぎを聞きながら、縁側で食事ができる開放的なダイニングも、のんびりといい気が流れている気がします。

もうひとつ、今、目的とするホテルは、常識や価値観を刺激してくれる道場のような場所。20年以上も前につくられた「天空の森」は、広さといいコンセプトといい、何もかもが規格外。それでいて、ゲストと自然へのリスペクトをそこかしこに感じました。「建築にしても食事にしても“ホテルはこうあるべき”という常識が打ち破られた経験は後にも先にも「天空の森」が初めて。もう一度訪れたい、体験する価値のあるホテルです。

「ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts」

ROKU KYOTO,  LXR Hotels & Resorts
 

住所/京都府京都市北区衣笠鏡石町44-1
TEL:075-320-0111 
デラックス¥115,150〜(1泊1室朝食付き、2名利用、諸税・サービス料込み)

ROKU KYOTO,  LXR Hotels & Resorts
 

●おすすめの過ごし方
天然温泉を使用した屋外サーマルプールはぜひ。大自然の中で心身を温めたら、ホリスティックなアプローチのスパも。


「どう過ごしたいか。ホテルもゲストも “パーソナライズ化” が進んでいます」─ 橋賀秀紀さん(トラベルジャーナリスト)

橋賀 秀紀さん
トラベルジャーナリスト
(はしが・ひでき)東京都出身の40代。早稲田大学卒業。「3日休めれば海外」というルールを定め、ほぼ月1回の頻度で海外旅行へ。訪問国は121か国。

これだけSNSが発達した現代において、ほとんどのホテルは綿密な予習が可能です。実際に訪れた人の写真や文章に触れることで、行った気にすらなってしまう。

だからこそ、ゲストはそこで何をしたいか、どう過ごしたいかを明確にする必要があります。一方ホテル側も、その要望に応えるだけの細かな対応がより必要になる。

例えば僕の場合、北海道「フラノ寶亭留(ほてる)」を訪れた目的は、料理を楽しむことでした。「ザ・ウィンザーホテル洞爺」のフレンチの名店「ミシェル・ブラス」の料理長が手がけるブラス仕込みの料理を味わえるなら、北海道でもどこでも行くぞ、と意気込んで(笑)。

また、最近のホテルは、川下りや星空観測など、その場所でしか体験できないアクティビティも充実しています。多くの人に向けて、ではなく、個別の要望を尊重する“パーソナライズ化”に対応したホテルが求められていると思います。

「フラノ寶亭留」

フラノ寶亭留
富良野の自然を五感で味わう!

住所/北海道富良野市学田三区
TEL:011-598-2828(予約専用/9:00〜20:00)
温泉付ナチュラリールーム¥30,250~(1泊2食付き、2名利用/夕食¥10,000コース) 

フラノ寶亭留
 

●おすすめの過ごし方
ラウンジにあるフリードリンクバーを活用して、ドリンク片手に、広大な敷地内にある自然豊かな森を散策。夜は満天の星空を見上げて。


※料金は 基本的に税込・サービス料別表記、 2023年8月18日現在のものです。料金は時期により変動する場合があります。

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EDIT&WRITING :
田中美保、古里典子(Precious)