雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。
今回は、チャリティー団体、「ザ・トイ・プロジェクト」の創始者であり、チャリティー・ディレクターのジェーン・ガーフィールドさんをご紹介します。
おもちゃのリサイクルで育む思いやりの心と親密なコミュニティ
北ロンドンにあるショップ「ザ・トイ・プロジェクト」。11時の開店と共に、子供たちが駆け足で飛び込んでいく。店内にはレゴやフィギュア、ぬいぐるみなどありとあらゆるおもちゃが賑やかに並べられ、棚は児童書で埋め尽くされている。そのすべてが、家庭からのリサイクル品と、おもちゃ会社などからの寄付品だ。
ジェーンさんが不要なおもちゃを集め始めたのは’13年。長年、小学校で働く間に、「あり余るくらいおもちゃをもっている子がいる一方、限られたものしかもっていない子もいる」格差を実感。
「学校でそのことを伝えると、子供たちがそれぞれ使わなくなったおもちゃを袋に入れて持ってき始めて。気が付けば自宅に収まらないほどになったので、店舗を構えて、今にいたります。おもちゃのリサイクルは、子供たちに、物を大切にすること、そして人を思いやり、助け合う心も育みます」
集まったおもちゃは、児童福祉司や学校などの推薦状があれば個人でも団体でも無償で提供。推薦状がない場合は中古おもちゃとして購入できる。原則として無償でも有償でも、店で手渡ししている。
「結果、お店が、インタラクティブなコミュニケーションの場になっています。プレイルームを設けて、障がいを抱えた子供や貧困家庭の子供たち向けの無料のアフタースクールクラブも提供しています。コロナ禍以降は地元のシニア向けにレゴのクラスも開催していて、好評なんですよ」
今後は、温かい軽食を提供できるコミュニティ・カフェのようなスペースもつくりたいと話す。
「貧困にあえぐ家庭の人々、子供たちをサポートできる場所になっていければ、とてもうれしい」
【SDGsの現場から】
●地元の人も気軽に立ち寄る楽しいお店
●クリスマスには学校におもちゃをプレゼント
※格差とは…イギリス、特にロンドンでは、さまざまな国籍・人種、経済状況の子供たちが地元の同じ小学校に通っている。難民や移民の子供も多い。
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- PHOTO :
- Miki Yamanouchi
- EDIT&WRITING :
- 剣持亜弥、喜多容子(Precious)
- 取材 :
- Yuka Hasegawa