雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。
今回は、廃棄食材のアップサイクル事業「MATRIARK」の創始者/CEOのアナ・ハモンドさんをご紹介。
農家との協働でアップサイクル!廃棄食材をグルメな商品に
アメリカでは年間1400万トンの使用可能な野菜が、見た目の不格好さや規格外のために農場内で廃棄処理されている。これは国内総生産の約2%に相当し、廃棄に伴う温室効果ガスの排出量は、国全体の排出量の約4%にも! この深刻な食料廃棄問題にアップサイクルで一石を投じることが、アナさんが立ち上げた「MATRIARK」の目標だ。
「農場から出荷されることなく廃棄される野菜や、野菜の商品化を行う工場から出る何十万キロものフレッシュカットの残りを材料に、スパイスと新鮮なハーブで味つけしたトマトソースや野菜スープを販売しています。パッケージもリサイクル可能な紙パックを使用。オーガニック系スーパーマーケットで販売しています」
大学を卒業後、長くアート業界で仕事をしたアナさん。キュレーターやアーティストとしての活動のかたわら、25年にわたってNPOのリーダーとして食料不安の解決に取り組んできたという。
「農業に携わる人たちと関わるなかで気付いたのは、彼らが抱えている問題は、すべての人がフェアに健康的な食品を入手しようとする際に生じる問題と根が一緒だということ。つまり、農業の課題に取り組めば、食に関する多くの不安も解決されていくということです。廃棄食材のアップサイクルは、大きな意味をもつ」
自然豊かなアップステートを故郷にもつアナさんにとって、家はいつも料理の匂いに満ちていたし、ニンジンもセロリも丸ごと使いきることは当たり前だった。「食」は彼女の人生のテーマだ。
「食料廃棄問題についての理解は、ここ数年で急速に進んでいます。未来は明るいと信じている」
【SDGsの現場から】
●スーパーでも販売されているグルメソース
●生産者との密なコミュニケーションで課題を把握
※食料廃棄問題とは…SDGs目標12「つくる責任つかう責任」では、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失の減少が掲げられている。
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- PHOTO :
- Hiroshi Abe
- WRITING :
- 剣持亜弥
- EDIT :
- 喜多容子(Precious)
- 取材 :
- Junko Takaku