流行の発信源であるとともに、老舗や歴史的建築が軒を連ねる、新しさと伝統が共存する街・銀座。
その銀座の地に1947年に生まれた「とらや 銀座店」が、とらやの菓子の新たな一面を体験できる店としてこの4月に新しく生まれ変わりました。
「最良の素材を選び抜き、職人の技術によってその個性を十分に生かした“最高においしい菓子”をつくり、素材や菓子のストーリーをのせてご提供したい」という思いから、喫茶を中心とし、今までのとらやにはない新しい形態のお店になっています。
2024年4月11日(木)のオープンに先駆けて行われた内覧会に参加したPrecious.jpライターが、「トラヤ ギンザ」の魅力をお伝えします。
職人の仕事を目の前で見られるカウンター席も!「トラヤ ギンザ」ならではの魅力とは
■1:建築家・内藤廣氏が手掛けた落ち着きのある内装
内装設計を手掛けたのは、これまでに「とらや 京都一条店」や「とらや 赤坂店」を手掛けてきた内藤廣氏。「素材の確かさと豊かな静寂」をテーマに、内装を作り上げていったそう。
落ち着いた雰囲気を演出している壁には、鈍く輝く瓦タイルを使用。姫路城の瓦屋根にも使われている「燻し瓦」という技術と、現在のセラミックの技術を掛け合わせて作った新しいタイルだといいます。
艶やかな塗装は、グランドピアノにも使われるような鏡面仕上げなのだとか。「黒」に見える色味も厳密に言うと「羊羹色」だそうで、そんなところにもとらやならではのこだわりを感じます。
床や天井には吸音素材が用いられ、銀座という人通りの多い土地にありながらまさに「豊かな静けさ」を感じられる空間となっています。
フロアの奥に進むと、銀座にいながら自然を感じられるようなテラス席も。中央の槇の木は100年ほどの歴史があるのだとか。風雨にさらされないとこういった生え方にはならないそうで、そんなところからもこの木が生きてきた歴史を感じさせ、長い長いとらやの歩みをも連想させますね。
またテラス席の中央通り側には水が張られており、揺れる水面に光が反射してテラス席の天井にゆらゆらと反映されるさまも、自然が感じられて素敵ですよ。
壁の瓦タイルは中からテラス席につながるように貼られており、より室内と外を自然につなぐ工夫がなされています。
■1:果物やスパイスなどを使ったトラヤ ギンザ限定の商品も見逃せない
お店に入ってすぐのところにはショーケースがあり、手土産にぴったりなとらやの銘菓が並びます。
中でも注目なのが、トラヤ ギンザ限定の「ちぐさかん」。
「ちぐさ(千種)」というのは、「種類が多い様子」を表す昔の言葉。その名の通り、さまざまな味が楽しめるひと口サイズの羊羹です。
ただ、ほかの羊羹と違うのは、伝統的な和菓子の素材に加え、果物やスパイスなども使用しているところ。フランス菓子パート・ド・フリュイのような見た目とも相まって、和菓子でありながらどこか洋菓子のような雰囲気です。「世代も国境も超えて、あらゆるお客様に羊羹を楽しんでほしい」というとらやの思いが込められています。
通年販売のものと季節限定のものと2種類あり、今回はラズベリー、ライム、パッションフルーツのフレーバーが詰め合わされた季節限定の商品をいただきました。
フルーティーさが最初に来て、あとからほんのりとやさしい白小豆の味わいが感じられます。確かに羊羹になじみがない方や苦手な方でも食べやすいお味に仕上がっていました。
■3:カウンター席で作る過程を見られるトラヤ ギンザ限定の菓寮メニュー
そしてトラヤ ギンザ最大の目玉が、職人が目の前で和菓子を作り上げていく様子を見ながらできたてをいただけるカウンター席。「今まで和菓子になじみのない方にも、世代や国籍問わず和菓子の入り口として楽しんでほしい」という思いから導入された新たな試みです。最大4名、90分の予約制です。
常時2種類の和菓子を提供しており、現在は5月中旬頃までの期間限定「『馨(かおる)』 きんとん製 御膳餡入」と、通年の「焼きたて『夜半(よわ)の月』」をいただけます。時間内であれば、両方いただくこともできますよ。
まずは「馨」を作っていただきました。生のいちごと煮詰めたいちご、セミドライのいちごを白あんに混ぜ込んだ、いちご感たっぷりの白あんをそぼろ状にして手作業で御膳餡にまとわせ、手のひらより少し小さいサイズのきれいな丸い生菓子が完成しました。
「あんこになじみのないお客様にも召し上がってほしい」という職人さんの言葉通り、フルーティーな味わいは誰もが食べやすいものに仕上がっていました。種のプチプチ感まで感じられ、いちごの香りや風味をしっかりと楽しめます。
とらやのパリ店限定で販売している人気商品「夜半の月」も、ここでは焼きたてで提供されます。こちらはいわゆる「どらやき」ですが、とらやでは満月に見立て、「夜半の月」という菓銘を付けています。
こだわりの生地は、北海道産の小麦粉を2種類ブレンド。さらに強力粉を入れることで、軽いだけでなくもちっとした食感も楽しめるのだとか。
まずは、目の前の銅板で生地を焼き上げていきます。特徴的だったのが、仕上げにバーナーで炙ること。それによって生地の表面がパリッとして、焼きたてならではの食感に仕上がっていました。
表面がサクッと、中はもちっとした生地になめらかなあんこを挟んだ、ここでしか食べられない焼きたての味わいは、どらやき好き必見ですよ。
なお、きんとん製「馨」、焼きたて「夜半の月」など、作りたてで提供される生菓子はテイクアウト不可のため、ご了承ください。
歴史あるとらやの和菓子を、さらにもっと多くの人に届けたい……そんな思いが感じられるトラヤ ギンザ。ここでしか購入できない限定の和菓子やできたての和菓子は季節ごとに変わるものもあるため、何度でも訪れたくなりそうです。銀座でお買い物をする際には、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
問い合わせ先
- TORAYA GINZA
- 営業時間/11:00~19:00(ラストオーダー18:30)
休業日/元日、毎月第2月曜日(祝日の場合は第3月曜日) - TEL:03-6264-5200
- 住所/東京都中央区銀座7-8-17 虎屋銀座ビル4階
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 小林麻美