一緒に仕事している人のスキルやモチベーションが低くて、イライラしたことはありませんか?

職場で作業を頼んでも〆切までにやってくれない、メールの返信も注意しないとくれないなど、問題のある部下や後輩への対応に頭を悩ませている人は多いはず!

怒りの感情をコントロールするための心理教育・アンガーマネジメントに詳しい、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介さんは、「叱ることの意味をきちんと理解し、上手な叱り方を身に付けることで、相手との人間関係が変わる」と言います。

仕事ができない人は、一体どのように叱ると意識を変えてくれるのでしょうか。今回は効果的な一言を安藤さんに教えていただきました。うまく叱って、余計なストレスをためないようにしていきましょう。

仕事ができない人に使うと意識をガラッと変えてくれる言葉6選

■1:「君の考えは正しい。けれど~」

正義感が強い人には相手の言い分を認めるひと言が有効

まず、部下を叱る際に効果的なひと言は、相手のタイプによって異なるものなのだとか。安藤さんによると、人の性格や考え方のパターンは大きく6タイプに分類できるのだそうです。

それは、熱血漢タイプ、博学多才タイプ、威風堂々タイプ、外柔内剛タイプ、用心堅固タイプ、天真爛漫タイプの6つ。各タイプごとに言葉を使い分けることが重要だと言います。

ひとつめの、正義感が強くて曲がったことが大嫌いな熱血漢タイプの人は、たとえ部下でも頼りがいがあるもの。信念を曲げない強さがあるだけでなく、言うことも正論なので、味方にいると心強い人材です。

しかし、その正義感が裏目に出てしまい、クライアントやお客さんとトラブルになってしまうことも……。そんな部下を叱るときは、まず相手の言い分を認めてあげましょう。

「相手が上司であろうとクライアントであろうと、間違っていると思えば指摘してくる人は公明正大タイプ。道理に合わないと判断すると、正論を貫こうとするあまり融通が利かなくなってしまうのが特徴です。

このタイプは、夢中になると周りが見えなくなり、人間関係のトラブルを起こしがち。同僚や取引先などと摩擦を起こした場合は、まず『君の言い分はもっともだ』と一旦認めたうえで、部下がやるべきことを指導しましょう。いつも一生懸命でずるさがないので、上司のアドバイスも素直に受け入れてくれるはずです」(安藤さん)

叱る際に相手の正義感を否定するような言葉で責めると、こちらに怒りを向けてきます。指導や注意をする前に「君の考えは正しい」と認めてから、「だけど、こういうルールだから」という具合に問題点を指摘してみましょう。最後に「期待しているからね」などとフォローしてあげるのも効果的です。

■2:「○○ができるようになれば、もっと成果を上げられるよ」

完璧主義者には合理的なひと言が効果的

ふたつめは、博学多才タイプ。これは仕事ができる完璧主義者で、頼りになる存在ですよね。このタイプは、判断力があり、責任感も強い人は職場でのエース的なポジションを担っていることが多いはず。

ただ、仕事ができる反面、職場の仲間にも高い水準を求めてしまうのが玉にキズ。思うような成果が出せない人に対して厳しい態度を取るあまり、職場で敵をつくってしまう…。他人にも自分にも厳しい人は、一体どのように叱ればいいのでしょうか?

「合理的かつ論理的な完璧主義者である博学多才タイプは、厳しい状況も切り抜けられる優秀な部下です。が、行動や判断が遅い人を受け入れられず、ときには心の中で上司を見下していることも。このタイプの部下は、決断力がある強いリーダーを求めている傾向があります。

そのため、『君は優秀だけど、もっと周りを巻き込んで仕事ができるようになれば、君自身ももっと成果を上げられるようになるよ』というように、叱責の内容が合理的であれば、強く言わなくても素直に従うでしょう。逆に感情的に責めたり、叱り方に迷いがあったりすると、その上司を見下すようになるので注意が必要です」(安藤さん)

何事も白黒つけたがるので、好き嫌いがはっきりしているのも特徴なのだとか。このタイプの部下は、人格を否定するような感情的な叱り方は逆効果と心得ましょう。能力は高いので、強いリーダーとして指導をしてあげれば、エースの実力を最大限に発揮してくれるでしょう。

■3:「期待しているよ」

プライドが高い人には逆ギレさせないひと言を!

続いては、威風堂々タイプ。これは職場にひとりは必ずいる、同僚や目下の人の面倒見がよくてリーダーシップがある人です。持ち前の行動力を活かして仲間たちを引っ張ってくれる、グループの盛り上げ役的な人物がいると、仲間たちも活気づきますよね。

「威風堂々タイプは、社交上手で華やかな存在感のある人です。行動力があり、豊富な人脈を持っていますが、プライドが高く自信過剰な一面も。上から目線の発言が目立つため、そこが気に入らないという人から煙たがられてしまうこともあります。

このタイプの部下は、自尊心を傷つけられるのが大嫌い。反論されたり間違いを指摘されたりすると、途端に不機嫌になってしまいます。また、口では勇ましいことを言っていても、なかなか結果に結びつかず、イライラして周囲に八つ当たりしてしまうこともあるので、注意しましょう」(安藤さん)

そんな威風堂々タイプの部下に対して、誤りやミスを責めると、機嫌を損ねてしまったり、逆ギレしたりする可能性大。

「問題点をサラッと指摘したら『期待しているよ』とひと言添えましょう。頼りにしているという意志をきちんと伝えると、がんばってくれるはずです」(安藤さん)

部下の社交的な人柄をフルに活かしてもらうためにも、さり気なくフォローして自信を持たせてあげたいですね。

■4:「これ、困っているのだけど、どうにかならないかな」

頑固者には効くのは相談するような一言がベター

4つめは、外柔内剛タイプ。温厚で大人しい、縁の下の力持ち的存在です。派手さはなくとも堅実なところは、その人の仕事ぶりからも窺えることでしょう。基本的には穏やかな人物ですが、同時に自分のルールには徹底的にこだわる頑固者でもあります。そのため、ひとたび怒りが爆発すると手が付けられないという怖い一面も……。

「外柔内剛タイプの部下には、穏やかな雰囲気の裏に頑固な職人気質が隠されています。普段は大人しいのですが、自分なりのルールに固執する傾向があり、上司のアドバイスを聞き入れないことがあるのです。

そんなときは、無理にこちらのやり方を押し付けると逆効果。お互いのやり方をすり合わせた着地点を見つけてあげることが大切です。『これ、困っているのだけど、どうにかならないかな』といった相談モードでアプローチしてみましょう」(安藤さん)

本人がこだわっているやり方を強引に変えさせようとして叱ってしまうと、増々頑固になってしまいます。お互いに納得のいく改善策を見つけられれば、うまく対応してくれるはずです。

■5:「しっかり話す時間をつくろう」

用心深い人には丁寧な対話する意志を示すひと言を!

次は、用心堅固タイプ。あまり聞き慣れない言葉ですが、例えるなら話し合いの場で一歩引いた位置から物事を見た冷静な意見を出してくれるような人です。グループの中では決して目立つ存在ではないものの、こうした用心深い人物がいると、思わぬ気付きがあるもの。

このタイプは石橋を叩いて渡る慎重派。仕事でも用心深く、安定感があるのだと言います。半面、突破力に欠け、仕事が後手後手になりがちという点も特徴です。

「用心堅固タイプは、用心深いので、なかなか新しいことに取り組めません。一見すると社交的でも、常に一歩引いているのが特徴で、自分の評判をとても気にしています。また、劣等感が強いため、『自分の意見は求められていないのでは』と考えてしまい、発言するのを躊躇してしまう傾向も。

このタイプの部下を威圧的に叱ってしまうと、委縮し、警戒心を抱かせてしまいます。大事なのは、相手が安心できる環境でじっくり話を聞き出すことです。『今週、しっかり話す時間をつくろう』というように、丁寧に対話する意志がこちらにあることを示してあげるとよいでしょう」(安藤さん)

上司から信頼を示すことで、警戒心の強い部下も心を開いてくれるはずです。くれぐれも、高圧的な態度で叱りつけることのないように。

■6:「君の苦労もよくわかるよ」

人気者は上手におだてるひと言を使おう!

最後は、天真爛漫タイプ。天性の明るさを持った人は、学校でも職場でも、みんなから好かれているものですよね。職場にひとりいるだけで、その場の空気がパッと明るくなります。思ったことをそのまま口にしたり行動に移したりしても、どこか憎めない愛嬌があり、世代や性別を問わず愛される人はどのような叱り方がいいのでしょうか?

「人の心をつかむのが得意な天真爛漫タイプの人は、才能と愛嬌、そして抜群の行動力を持っています。周囲から注目されることが好きで、身振り手振りが大きいのも特徴です。

このタイプで気を付けたいのは、自己主張が強く、自分の主張が通らない場合、強引に思い通りにしようとしてしまうところ。このとき思わず大声を出したり、相手を威圧するようなことを言ったりしてしまうと、それがきっかけでトラブルに発展してしまう危険性があります」(安藤さん)

叱る必要があるときは、ほかのメンバーに知られないような場所・時間を選ぶのがポイントなのだそう。

「プライドを傷つけられるのを何より嫌うので、大勢の前で叱責するのはNG。ときには上司相手でも言い負かす勢いで反発してきます。叱るときは、ほかのメンバーに聞かれない場所や時間を選んだうえで、『君の苦労もよくわかるよ』という具合にフォローしてあげましょう。上手におだててあげると、非常によく働いてくれますよ」(安藤さん)

天真爛漫タイプの部下は、愛嬌だけでなく才能もある優れた人材と言えます。気持ちよく仕事ができる環境を整えてあげることが重要なのですね。

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最後に、叱っても好かれる人になるためのポイントを、安藤さんに教えていただきました。それは、(1)素直に怒りを表現すること、(2)叱る基準を動かさないこと、(3)その人のために怒ること、の3つ。

子どものように素直に怒れる大人は、どこか憎めないものです。叱る基準がブレてしまうのは、気分に左右されている証拠。叱ると決めたことはいつでも、誰が相手でも叱る、という確固たる態度で臨みましょう。

部下のためとはいえ、自分が嫌われるかもしれないリスクを背負ってまで人を叱るのは難しいことです。ほかの人が言いにくいことを指摘するのは、尊敬に値する行為。本記事を参考に、その部下に合った叱り方ができれば、きっと気持ちは伝わるはずです。

部下を叱ることの真の目的は、相手のことを考え、こちらのリクエストを通すことにあります。ただ感情的に怒るのでは、こちらの要求は部下に伝わりませんよね。それどころか、部下は上司への不信感を募らせてしまいかねません。

叱り上手はリクエスト上手。変わるのは他人よりも、まず自分自身ということを忘れずに、部下から好かれる上司を目指しましょう!

安藤俊介さん
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事
(あんどう しゅんすけ)怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング「アンガーマネジメント」の日本における第一人者。講演や企業研修、セミナーなどを幅広く手がける。著書に『イライラしなくなるちょっとした習慣』(大和書房)などがある。
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この記事の執筆者
TEXT :
Precious.jp編集部 
2018.10.23 更新
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WRITING :
上原 純