通勤や出張などで電車やタクシーを利用するとき、気が緩んでだらっとした姿勢をしてしまっていることはありませんか? 移動中まで人目を意識して振る舞うことは少ないと思いますが、実は意外なところで見られていて「みっともない」と思われてしまうこともあります。
できれば大人の女性として、自然と上品な仕草を身につけられるようにしたいですよね。そこでポージングディレクターの中井信之さんに、移動中にやりがちだけど実は「下品に見えてしまう仕草」と、対処法としての「上品な女性に見られるための良い仕草」の両方を教えていただきました。出先で素を出して恥をかかないために、以下の6つを気をつけていきましょう。
移動中にやりがちだけど「実は下品に見えてしまう仕草」6選
■1:周囲をキョロキョロしながら空席を探す
電車に乗るとき、席が空いていたら座りますよね。そんなとき、まさに座ろうという動作をしながら、空いている席の左右をキョロキョロ確認してはいないでしょうか?
「隣にどんな人が座っているか気になって確認するとは思うのですが、あまりキョロキョロすると、用心しているようで、不作法に見えます。慌てず、遠目から見て判断するとスマートですね」(中井さん)
「酔っ払いの隣に座りたくない」という心理は普通のことかもしれませんが、あからさまに警戒心をあらわにするのではなく、さりげなく状況を把握して、下品にならないようにしたいものです。
■2:マスクやイヤホンなどをフル装備して無表情で席に座る
では、電車で移動中には、どのようなことに気をつけたら良いでしょうか?
「マスクやイヤホンなどでフル装備をしていると、自分だけの世界に入って顔が無表情になり、人を不機嫌にさせる可能性がありますので、露出している表情筋は弛緩させたほうが好印象です。眉間に力が入っているとシワにもなりますし。あくびをする要領で顔の真ん中の筋肉を緩めるよう意識すると優しい表情になりますよ」(中井さん)
上品な女性に見られたいなら、移動中に自分の世界に浸るのは厳禁。その場の空気が和むような表情や態度を心がけましょう。
■3:服をはだけさせながら荷物を上げる
働く女性は出張などで新幹線や飛行機に乗る機会もあるかと思います。そういうとき、荷物を網棚や頭上の収納に上げる動作をする際にも心がけたいことがあるそうです。
「隣の席の人や、通路を通る人に気を使って、急いで荷物を上げようとしがちですよね。勢いで上着の前のボタンが取れたり、ウエストの後ろからインナーがはみ出てしまったりすることもありえます。それはあまり好ましくないので、その動作に入る前に服の準備をしておくといいでしょう。荷物を上に上げる動作は意外に体が大きく動くので、あらかじめ服が乱れないようにボタンを外したり緩めたりしておくといいと思います」(中井さん)
乗車や搭乗のときに、他の乗客に気を使うことは大切なことですが、焦って行動すると上品な仕草にならないということのようです。大人の女性は気持ちにも余裕を持っていたいですね。
■4:タクシーに頭から乗り込む
仕事だけでなく、プライベートのときもタクシーに乗る機会はあるでしょう。そんなとき「タクシーの運転手さんは意外とお客さんのことをよく見ていて、乗り方でどんな人かわかる」と中井さん。
「まず、股を広げて頭から乗り込むのではなく、お尻からイン。シートに少し腰掛けるようにしてから、奥のほうに重心をずらし、同時に両脚を揃えて90度回転して足を車内に載せましょう。茶道でにじり寄るという作法がありますが、それに通じる仕草ですね」(中井さん)
でも、タクシーに乗るのは大抵急いでいるときなので、頭から乗ってしまいがちですよね。それについて、中井さんは「それはクセなんですよ」とバッサリ。
「実際、乗る時間自体はあまり変わらないんです。急いでいて流しのタクシーを捕まえて乗るときだけでなく、急いでいなくてタクシー乗り場に停まっているタクシーに乗るときも、頭から乗っていますよね? だから、それはクセになっているだけなんです。体は無意識で動作を省略しようとします。年を重ねると体はますます楽をしようとするので、それは美しいといえないときもあります」
中井さんのこの言葉にはハッとさせられました。確かに、年々仕草の美しさよりも体の楽さを優先させていたかも! これを機に仕草の美しさにも心配りを忘れないでいきたいですね。
■5:無駄な動きをしながら荷物をとる
移動中に荷物をとったり資料を渡したりするとき、手際のよさをアピールしようとして動きが無駄に大きいとがさつな人に見られてしまいます。
「音を立てるのも下品な印象になってしまいますので、なるべく落ち着いて静かに動くといいでしょう。物を持つ手は指先をそろえるだけで上品に見えます。テーブルの上に物を置くときは荒々しくならないよう、先に小指をデスクにつけて、クッションのようにしてから置くとソフトに置くことができます」(中井さん)
さらに、体ごと相手に向きを変えると、心のこもった丁寧な印象を与えることができるそうです。
「仕草がエレガントな人のほうが、仕事もできる人に見えると思います。人柄も印象のいいほうが、やっぱり『この人と仕事したいな』と思われるのではないでしょうか」(中井さん)
ちょっとした仕草が人としての印象のみならず、仕事にもつながるとしたら、すぐにでも取り入れなくてはと思いますよね。
■6:足をひきずりながら歩く
仕事に夢中になると、考えごとをしながら歩いていたりしますよね。そういうときは特に、歩き方に無意識になっているのではないでしょうか。
「オフィスで座っている時間が長いと、歩いているときに足を動かしているという意識を忘れがちです。すると頭を前に出し、手を横に振った反動で足をひきずるようになります。これは、スリッパを履いたときの歩き方で、体が左右に揺れて疲れて見えるのです。ヒールを履いたときは難しいにしても、フラットな靴底のときは、かかとから着地をして、最後は親指が自分を押し出しているイメージをもちましょう。そうすれば、体がぶれずに颯爽と歩けます」(中井さん)
さらに階段の昇り降りは、すべらないようにと足もとにばかりに視線を集めがち。それは美しくないだけではなく、「下を向いた姿勢は老けて見えます」と中井さんは指摘します。
「顏を上げて全体を見渡し、足裏を意識するようにすれば、背筋が伸びて上品に移動できます」(中井さん)
ほんの少しの意識で、上品と下品が分かれてしまうものということがわかりました。中井さんは「急いでいる」「余裕がない」「周りが見えない」「疲れている」といったとき下品に見えてしまうといいます。
逆に「落ち着いている」「安定している」「努力している」「自信がある」というときには上品に見えるとのこと。出先で急いでいてもこれらの言葉を忘れないようにして、上品な仕草を身につけていきましょう。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- あわいこゆき