新元号・令和がスタートし、2020年にはオリンピックが東京で開かれるなど、「日本人であること」について触れる機会が増えてきました。そんな時こそ今一度、確認しておきたいのが「日本料理をいただく時のマナー」。食事のマナーがきちんと身についた、自然な身のこなしができる大人の女性は、憧れの的。また、外国人と食事をする際に、間違ったマナーを披露してしまうと、なんとも恥ずかしい思いをしてしまいそうです。

そこで、ホテル椿山荘東京の料亭「錦水」の女将、新盛睦美さんに、ベーシックな「会席マナー」を教えていただきます。

教えてくれたのは…新盛睦美さん
ホテル椿山荘東京 和食レストラン課 料亭「錦水」女将
藤田観光株式会社に入社後、大阪の太閤園で務めたのち、転勤でホテル椿山荘東京へ。日本の文化を伝えるべく、料亭のおいしいお食事をいただきながら、テーマやポイントを絞って学べるマナーレッスン講座をスタート。

会席とは会席料理の略で、「江戸時代以降に発達した酒宴向きの料理。本膳料理と懐石が変化・発達したもので、現在では日本料理の主流となっている」(小学館・大辞泉より)。お仕事の接待や会食、友人や家族とのかしこまった和食の席のことを指します。

基本的なことはわかっている、という大人の女性でも、新しい元号「令和」が始まったのを機に、改めておさらいしてみましょう!

【CHAPTER1】和食で会食のときの「ナプキン」の使い方のコツ2つ

まずは和食だけでなくイタリアンやフレンチでも必ず出される「食事用ナプキン」の扱い方です。

家では日常的に使うことはなく、会食や結婚式などかしこまった席での外食時に供されることが多いナプキン。何気なく開いて、膝に敷いてしまっていませんか?

■1:ナプキンを折って、輪っかを自分の方に向いて置く

ナプキンを半分に折ります

ナプキンの折り方は、半分でも、テーブルが離れているときは1/4くらいを折り返す、でも構いません。

輪っかを自分のほうに向けて置く

折った輪っか(折り目のあるほう)を自分の体に向けます。

全部を広げたり、輪っかを足先のほうに向けるのも、間違えではないのですが、スタンダードは輪っかを手前に向けます。

■2:ナプキンは重なった内側を使う

ナプキンは洋服が汚れるのを防ぐだけでなく、食事中に汚れた口元を押さえるための役割も。口元を押さえるときは、重なったうえの一枚をめくり、下の内側で拭きます。

そうすると、ナプキンの汚れを隠すことができ、また、ナプキンについた汚れが洋服についてしまうのを避けることができるためです。


【CHAPTER2】お箸の中央についている紙留め=帯、あなたはどうしていますか?

続いては、お箸のお話。和食店に行くと供される、真ん中部分に帯のついた「利休箸」。帯がきっちりとまっていると、なかなかスルッとお箸が抜けないもの。でも、帯をビリっと破くのはマナー違反です。そんなとき、どうしたらよいのか?を教わります。

■1:箸を手に取り、下の箸を持つ

お箸を縦に持ったときの、下の方をつまむ

真ん中にふくらみのある利休箸。2本の箸の下の方をつまみます。

■2:つまんだ箸を、すべらせるようにずらす

お箸を左右に動かすのは意外と簡単

長さをそろえて留めてある箸を、左右にずらすようなイメージです。

■3:帯を抜き、盆の上に置く

するりと抜けました

するっと帯を抜くことができるので、帯を抜き、お盆の上に置きます。

■4:お箸を箸置きに戻す

一度戻すのがエレガントなポイント

そのまま食べ始めるのではなく、一度、箸を箸置きに置くほうが、よりきちんとして見えます。箸置きがない場合は、抜いた帯に箸先を置くようにしてもかまいません。


【CHAPTER3】食事前に「お箸をとる」美しい所作、食事後に「お箸を置く」美しい所作

続いては手の動き、所作について。食事をする姿は、人間の品性が最も現れる所作のひとつ。その仕草が美しい女性は、憧れの目で見られますよね。新しい元号が始まり、日本人であることを意識することが多い今、特に「正しいお箸の使い方」は、改めて確認しておきたいところです。

今回は、利き腕が右利きの方を例にご紹介していきますので、左利きの方は、逆に置き換えてくださいね。

お箸の美しいとり方

■持ち方1:箸置きから箸をとる

右手で箸置きにあるお箸の真ん中あたりを上から持ち、持ち上げます。

■持ち方2:左手を添える

左手もお箸の下から支えるように持ちます。

■持ち方3:右手を持ち替える

左手でお箸を持ったまま、右手を食べるときの持ち方に持ち替え、食事をいただきます ※写真より左手が中央寄りのほうがベターです
左手を外したら、さあ、いただきましょう

お箸の置き方

さて、では次に食べ終えたときの置き方です。簡単に言うと、上の手順を逆に行います。

■置き方1:左手を下に添える

右手で持ったまま箸先をそろえ、左手を下から添えます。あまり下のほうを持つと、食べ物が触れた部分で手が汚れるのでご注意を!

■置き方2:右手を持ち替える

左手はそのまま、右手をお箸から離し、上から持ち直します。

■置き方3:右手で箸置きに戻す

このお箸を持ち帰るときに両手で一度持つワンステップは、普段の食事の場では必須ではありませんが、身につけて自然にできるようになると、よりスマートな社会人に。会席の場で急に自然に行うのはなかなか難しいので、新盛さんも習ったばかりのころは、友達と居酒屋などに行ったときにも、意図的にこの持ち方、置き方を実践するようにして訓練したそう。

日本人なら、できていて損はないお箸の美しい取り方。意識したことがない方は、この機会によかったら訓練してみてくださいね。


【CHAPTER4】器を持ち上げて食べることは、正しい会席マナー。逆に手皿はNG

続いては、「お皿の使い方」について学びます。ご紹介するのは、特に「汁気が多いメニューのときの食べ方」です。

箸と逆の手を下に添える「手皿」の状態で口まで運ぶのは、よく見かける食べ方ですが、会席マナーとしてはNGです。

和食では、器を持ち上げて食べることはマナー違反にならないので、水分などが垂れそう、と思ったら、手に乗るサイズの器の場合は、器を持ち上げていただきましょう。

さて問題は、その順番です。前回第3回では、お箸を持ち上げるときに、両手で持ち替えることを学びました。器を持ちながら食べるときは、片手しか空いていません。

それでは、どうしたらいいのでしょうか? ここでも、利き腕が右利きの方を例にご紹介していきます。

■ステップ1:両手で器を持ち上げる

小皿が密集しているようなときは、片手で持ち上げても構いません。

■ステップ2:右手で箸を持ち上げる

器を左手で持ち、右手で箸の真ん中あたりを上から持って、持ち上げます。

■ステップ3:左手で箸を挟む

器を持った左手の中指(持ちやすい指でOK)で、箸を挟んで支えます。

■ステップ4:右手を持ち替える

右手を食べる時の持ち方に持ち替えて、食事をいただきます。
いつものお箸の持ち方になりました。

器を置くときは、この逆ステップ。右手の箸を一度置き、両手で器をお盆に戻してくださいね。

お箸を持ったまま、そのまま次の器を左手で取るのはNGです。

以上、会席での器の扱い方についてご紹介しました。

こちらも慣れてしまえばスムーズに優雅にできるようになるので、日々の食事の際に取り入れて、練習してみてはいかがでしょうか?


【CHAPTER5】汁物の入ったお椀の「蓋の取り方、置き方」あなたは自信を持って言えますか?

ナプキンの使い方、お箸の持ち上げ方、器とお箸の持ち上げる順番を学び、最後の項目です。

煮物やお椀など、会席料理には蓋つきの器がつきもの。「蓋の取り方、置き方」について学んでいきましょう。ここでも、利き腕が右利きの方を例に説明していきますので、左利きの方は、逆に置き換えて行ってみてください。

■ステップ1:左手を器に添える

左手を器の下の方に軽く添えます

■ステップ2:右手で蓋をつまむ

他の指は丸めるのではなく、添えるようにすると、より美しく見えます

右手で、高台(蓋の上の丸い部分)を親指と人差し指で挟み、他の指は蓋に沿わせます。

■ステップ3:蓋を開く

蓋を手前(自分)側から開き、ゆっくり返します

■ステップ4:蓋を置く

左手を蓋の9時あたり(の位置)に添えます
蓋の2時あたり(の位置)を持って置きます

蓋を置く場所は、お膳の右側外に、卓がいっぱいだったらお膳の中でもOKです。

食べるときは、前回習ったように、両手で器を持ち上げてもOKです。左手で器を持って右手でお箸を取るとき、器が少し重たい場合は、指4本で下を、親指で器の上のヘリに添える持ち方をすると、安定します。

お店でもたまに見かけますが、NGです

また食べ終わったとき、蓋を裏返したり、斜めに入れないように注意したいもの。蓋がくっついてしまったり、こすれて傷がついたりすることもあり、マナー違反です。

以上、会席でエレガントに見える基本マナー5つを、詳細にご紹介しました。

正しいお箸の持ち方は、なかなか変えるのが難しいもの。しかしお箸の取り上げ方、器の扱い方は今からでも大丈夫。「いざというときにきちんとしていると、接待する仲間からも場をわきまえている方、と信頼度が上がるのではないかと思います」と新盛さん。

普段の食事の際に意図的に訓練しておくと、より素敵な大人の女性に近づけそうです。

また、これらの接待マナーが学べる「体験教室」が、ホテル椿山荘東京で8月まで開催されています。実際に、料亭やレストランでお料理をいただきながら、和食のマナーを学べる体験教室とあって、20代から大人世代まで、幅広い男女から申し込みがあるそう。

【関連記事:選ばれ続ける老舗「ホテル椿山荘東京」がマナー教室を開催する理由は?】

この新しい試みは、企業や学校からの要望で宴会場やアレンジプランとして行っていたものを、一般向けに開放。個室を貸し切り、少人数でおいしい食事をいただきながら、今さら聞きにくいことでも安心して質問できる、参加しやすいプランとしてスタートしました。現在では

「料亭で学ぶ プライベート会席マナー教室」
「料亭で学ぶ 外国人のお客様向け和食マナー教室」
「料亭で学ぶ 接待&和食マナー教室」
「プライベートテーブルマナーレッスン&美食」

の、4つの教室が開催されています。そのうち、本記事では「料亭で学ぶ 接待&和食マナー教室」で学んだことをまとめています。

美しい日本文化を体感!「料亭で学ぶ 和食マナー&立ち居振る舞い体験教室」~接待&会食マナー教室

  • 「料亭で学ぶ 和食マナー&立ち居振る舞い体験教室」~接待&会食マナー教室
  • 期間/開催中~2019年8月9日(金)
  • ※平日限定 ※2週間前までの完全予約制
  • 時間/入店時間11:30~13:30のいずれか(教室は約2時間半)
  • 場所/料亭「錦水」個室
  • 料金/¥15,000(※個室料、税、サービス料込)※ほかの割引・優待との併用は不可
  • 内容/ゲストのお迎えの仕方や予約の取り方など、接待での注意点を重点的にレッスンしたのち、食事をしながら基本的な会席マナー講習
  • メニュー/ミニ会席(※乾杯ドリンク1杯付)
  • 人数/1組4~8名(1日1組限定)
  • 予約・問い合わせ:03-3943-5489(9:00~20:00)

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この記事の執筆者
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EDIT&WRITING :
安念美和子