外出禁止中のニューヨークで暮らすクリエイティブ・フローラルデザイナー、永田絵梨子さんの「おうち時間の過ごしかた」

世界中で新型コロナウイルスの感染拡大により、不安な状況が続いています。各都市の状況は異なりますが、別の場所に生きる人々の経験をシェアすることが教訓となり、今後の対策として活かせることも。

そこで本記事では、1回目2回目のニューヨーク、3回目のロサンゼルスに続き、2020年3月22日(日)より「N.Y. PAUSE(不必要な外出禁止)」が発動され、外出禁止が続く米国・ニューヨーク在住のクリエイティブ・フローラルデザイナー、永田絵梨子さんに、以下の3点について伺いました。

Q1:N.Y.の現状と、現状回避のため、やるべきだったこと

Q2:クリエイティブなおうち時間の過ごしかた

Q3:身の回りで広がる社会貢献のムーブメント

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ニューヨークで、クリエイティブ・フローラルデザイナーとして活躍中の永田さん。

おうちで過ごす長い時間に、気分が滅入ってしまった時、外出禁止のニューヨーク在住デザイナーの現地レポート、ぜひ参考にしてみてください。

■1:まずは自分がウイルスに感染しないこと!医療従事者でない自分を無力に感じることも

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永田さんの作品と、コブルストーン(石畳)が雰囲気あるN.Y.のストリート。

「3月16日から自宅待機生活をして、今、4週間たちました。最初の1週間はまだ先が見えず、でも1か月も経てば事は収まるのでは、と思っていましたが、感染者は日に日に膨大にあふれ、医療現場は今も深刻化しています。

先週は、ハリケーン時などに来る携帯の警報のアラートに『医者も看護師も絶望的不足のニューヨーク市、あらゆる医療関係者に助けてほしい』というメッセージが鳴りました。

医療従事者でない私は、何もできないことが無力に感じました。しかし、知り合いの医療従事者の方から言われました。『何もしなくていい。決められたルールを守り、今は家で気をつけて過ごしてください』と。

個人個人ができる範囲で、感染を拡げないように行動を心がけること、まずは自分がうつらないことが、皆を助け、医療従事者を助けることに繋がります

柔軟性が大事!マスクの推奨は早い段階で必要

「N.Y.はたいてい、部屋の中も土足、数人のルームメイトと共同生活、ハグや握手をする文化、予防のためにマスクをつけないーー。日本に比べたらきっと感染リスクは清潔度の面でいうと高く、うつりやすい環境だったのでは、と思います。

先週、N.Y.政府は病気でない人でも、予防のためにマスクの着用を推奨しました。現在、外に出ている人のほとんどが、マスクをつけるようになりました。3月の時はマスクをすると、アジア人差別や暴行事件にあいやすいので、逆に危険で、つけたくてもつけることができませんでした。

推奨するなら、もっと早い段階で推奨して欲しかったです。日本はもともとマスクをつける習慣ですし、正直、N.Y.ほど何十万人と感染が広がるようには思えませんが、きっとわからない人も多いと思うので、明確なルールを作る、政府が命令できないなら、雇用者や親などがしっかりそれぞれのリーダーになって、レベルの高い予防措置を取ることが労働者、家族の皆の健康を守ると思います。

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ラグジュアリーブランドや、セレブリティからのオファーも多い永田さん。

数か月前から取り掛かっていた仕事やプロジェクトが全滅して心が折れましたが、まずは健康第一、体は資本!と前向きに、発想の転換の柔軟性が今は大事なんだと思います。

普段の当たり前の環境が、改めて恵まれていたんだと気づかされました。道路に人や車が減ったせいか、普段は聞こえなかった、小鳥のさえずりで目が覚めます。これまでには感じられなかった小さな幸せを感じています

■2:押し花アートやオープン陶芸など。「普段やりたくてもできなかったプロジェクト」をするおうち時間

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押し花で描かれた顔がユニークで可愛い!

「私の場合は、やりたくても、なかなかできなかったことは、具体的に言うと『押し花のアート作品のオンラインショップの立ち上げ』でした。

私は普段、生花を使って装飾をしています。N.Y.に全事業者の自宅待機要請が出たため、仕事で使う予定の生花が余ってしまいました。それらを押し花に加工して、さらに押し花の作品を増やして、既存の作品と合わせてオンラインショップを立ち上げました。

後回しにしていたこのプロジェクトが、何か月もかかっていたのに、自宅で集中することで、3日間でできてしまいました

脳を活性化!クリエィティブでアートな時間を過ごす

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幻想的でクリエイティブな永田さんの作品。

「自宅待機生活が4週間たったので、いろいろ試しました。アーティストやクリエイターの方なら、仕事のための作品ではなく、自分自身の新しい作品作りや、創作をされてみてはいかがでしょう? もちろんアーティストでなくても、手を使う創作は脳を活性化させてくれて、新しい発見があると思います。

私が今、ハマっているのは『オーブン陶芸』です。家のオーブンで焼ける陶芸です。

一輪挿しやお皿などを作って、家のオーブンで焼いて、絵づけしてアレンジしたりして、楽しんでいます。

このキットは日本で購入し、N.Y.に持って帰ってきたので、日本では通販でも豊富にそろうのではないかと思います。YouTubeで『オーブン陶芸』と検索すれば、作り方やアイディアがいろいろ出てきます。お子様も一緒に大人も楽しめます。

その他、パリのジュエリーアーティストのお友達、Harumi Hattaさんのジュエリーアトリエ『ATELIER D’ORNEMENTS(アトリエドーノモン)』は『自宅での時間をより豊かに過ごすアイディア』 として、フランスの芸術を学びながら創作できる、大人の塗り絵シートを、期間限定で無料で配信しています」

店舗のサポートにもなるオンライン・ショッピング!

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春夏らしいオールホワイト・コーデと、永田さんの花の、ダイナミックなコントラスト。

「ご褒美は、買い物です。自分の好きなアパレルブランド、インテリアショップ、ローカルのレストラン、店舗が全店クローズし、倒産しているお店もあるので、貢献するためにもオンラインショップで購入、ご飯のテイクアウトを時々しています。

慣れてくると家でダラダラと部屋着で過ごしがちですが、部屋の中でも、ファッションに気をつけることで、気分は明るくなります。普段、外では着られないようなコーディネィトにチャレンジしたり、いつもと違うメイクをしたりと、新しい発見は部屋の中でも沢山あります。

意外に使える物は、ゴルフボールです。健康オタクのお友達にお勧めしてもらったのですが、TVを見る時、髪を乾かす時に、足裏でコロコロ転がして、血行を促進してマッサージしています」

■3:ファッション関係の学生が防護服を作成、美術館が花の絵画をシェア

「ローカルのレストランが、病院に医療従事者の方たちに、温かいご飯を無料で配ったりしています。また、いくつかファッションブランドが経済的に大変な中、マスクを作ってドネーション(寄贈)しています。こちらはドネーションやボランティアが盛んで、気に入っているレストランが潰れないように、ドネーションをしたりしています。

医療用のPPE(防護服)が不足していましたが、それを縫える人にキットを送って、縫ってもらうシステムがメールなどで募集がありました。ファッション学校の学生がボランティアで参加したりと、皆で協力しあっています。

それから、アーティストやスモールビジネスが、お互い助け合うように、Instagramでフォローし合う運動があります。それぞれが、おすすめのフォロワーを紹介して、それをそれぞれが広げていき、新しいフォロワーを獲得していく運動です。

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絵画のように美しい作品。

美術館がリレー形式で #MuseumBouquet のハッシュタグをつけて、所蔵作品から、花のテーマの絵画をSNSに投稿していく運動も。知らなかった花のアートを見る事ができて、春の気分にさせてくれます」


以上、「N.Y. PAUSE(不必要な外出禁止)」の発動から3週間を過ぎたニューヨークに暮らす、クリエイティブ・フローラルデザイナーの永田絵梨子さんのレポートでした。

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N.Y.らしいタクシーへのお花のアレンジメント。

厳しい冬を乗り超え、ニューヨーカーが待ち望んだ、街じゅうで彩り豊かな花が咲き誇る、せっかくの春に発生した未曾有のパンデミック。短い間で社会が激変していく中でも、生活の中に美しさを忘れない永田さんの暮らしかたに、豊かな感性は心の在り方を変えてくれる、と実感しました。

クオモN.Y.州知事の会見によると、入院者数、およびICUの患者数の双方ともに減少しているものの、恐ろしい数の死者(毎日およそ800名)が出ているニューヨーク。

また、「第二波」についても検討を始めているようですが、こう言ったプロセスは日本在住者も、起こりうる次の事態を知るために、注目していきたいところです。

思ったように動けず、ストレスや不安な想いがつのりますが、世界中の人が苦しい状況下で同じように過ごしていることを知り、ぜひ今後の参考にしてみてください。

この記事の執筆者
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PHOTO :
アフロ(トップ画像)
WRITING :
神田朝子