空き巣や忍び込み、のぞきなど自宅にはさまざまなリスクがありますが、最近ではSNSやブログなどの情報から、嫌がらせやストーカーなどの標的になることも…。
安心・安全に暮らすためにも、意外と知られていない、私たちの自宅をとりまく犯罪リスクを知っておきましょう。
今回は、警察でサイバー犯罪、経済犯罪等を扱う生活安全部門で活躍していた元刑事で、現在は犯罪捜査の知見を活かして講演を全国で行っている、一般社団法人日本刑事技術協会の理事の森雅人さんに、自宅をとりまく犯罪リスクを教えていただきました。
意外と知らないかも!自宅をとりまく犯罪リスク8つ
■1:オートロックの解錠は簡単
「オートロックなら安心というイメージがありますが、実は、住人が開けた後に続いて入ることが可能です。特に自動ドアの場合、集合ポストに入っているチラシ1枚で開けることができます。
チラシを自動ドアの隙間に差し入れれば、内側のセンサーがチラシを感知してドアが開いてしまうのです。また非常階段は、柵を容易に乗り越えられるところもあります」
■2:防犯カメラを過信しない
「多くの場合、防犯カメラは天井に設置されているため、帽子をかぶっていると顔が見えないですし、画素が荒いものもあります。
防犯カメラに犯人が映っていたとしても、すぐにどこの誰かが分かるわけではないのです。シルエットのみや、服装の特徴や性別、人数が分かる程度。
もし仮にあなたの家の外周に防犯カメラがあったとしても、犯人の人相、着衣がなんとなく分かるだけで、正直なところ、警察としては参考程度にしかならないのです。
一方、侵入経路、被害場所、逃走経路上に防犯カメラが複数あると、被疑者の足取りが分かるので、警察も捜査に本腰を入れやすく、早期解決、逮捕につながりやすくなります」
■3:上層階の部屋も狙われている
「マンションは、階が上であればあるほど防犯意識が薄れがちで、ベランダが無施錠である場合も多いですが、屋上から最上階の部屋の無施錠のベランダ伝いに侵入されるケースもあります。スパイダーマンのような泥棒は意外とたくさんいるのです」
■4:集合住宅は一度に複数戸被害に遭う
「マンションは、1軒のみの被害で終わることはまずないと考えて良いです。1軒やられていれば、同じマンションの他の部屋もやられている場合がほとんど。
現職時代、マンションの6階の住民からの110番通報で現場に行ったところ、その階の全部屋の玄関ドアに穴が開いていたことがありました。これは『サムターン回し』と呼ぶ、玄関ドアに穴を空けて鍵のつまみを回して開錠し、侵入する手口です」
■5:マンションコンシェルジュを過信しない
「マンションコンシェルジュは、もちろん、いた方が確実に防犯効果は高くなりますが、彼らは防犯のプロではないことを知っておきましょう。24時間常駐ではないマンションも多いです。コンシェルジュがいるからといって過信せず、自分の家は自分で守るという防犯意識は、各自しっかりと持っておくことが大切です」
■6:泥棒はSNSを見ている
「海外旅行など、長期不在のタイミングをSNSで調べてから泥棒に入る犯人もいます。『今日から家族でハワイ旅行!』などと、旅行の様子をリアルタイムでSNSに投稿すると、空き巣に狙われる可能性があります。たとえ、SNS上に住所を公開していなくても、過去の投稿や写真から住所を特定され、十分狙われます。特に、SNS上で情報発信をたくさんしている人は要注意です」
■7:マーキングに注意
「集合ポスト、表札、ガス・電気メーターなどに『〇』『△』『×』『☆』などの記号や『S』、『W』、『C』などの文字が書かれている場合はかなり危険なサイン。
あなたの家を訪ねた訪問販売業者が書いた暗号(マーキング)かもしれません。その家にどのような人が住んでいるかを表した暗号です。
「〇」…人当たりの良い対応
「△」…普通の対応
「×」…感じの悪い対応
「S」…シングル、一人暮らし
「W」…ウーマン、女性が住んでいる
「C」…チャイルド、子どもがいる
など。
この他にも色々あります。悪質な訪問販売の業者に狙われる可能性もありますし、『SW』などと書かれていれば、独り暮らしの女性の家とすぐにわかるので、空き巣以外にも、押し込み強盗やわいせつ事件をくわだてている者の目印になる可能性があります。マーキングを見つけたらすぐに消しましょう」
■8:宵の口の「空き巣」、夏に多い「忍び込み」に注意
「空き巣は、昼間~夕方にかけてが要注意の時間帯。昼間は周辺の工事や車の騒音などの生活音に紛れて、工事業者を装って空き巣に入る手口や、夕方に電気のついていない家を狙って入る、宵の口の空き巣が多いです。
夏場は、住民が寝ている明け方に無施錠の窓から入ったり、格子窓を外して入ったりする忍び込みの被害が多いです。防犯設備のない格子窓の格子は、簡単に外すことができます。
また、細いスリット状のガラスが並んでいるタイプの窓『ガラスルーバー窓』も要注意。スリットガラスを3枚ほど外せば、大人が楽々侵入できる大きさになります」
今回は、8つの自宅をとりまくリスクを教えていただきました。どれもドキッとする内容で、ひやっとした人も多いのでは? 重要なのは、防犯設備や体制がある程度整っていると思っても、過信せず、防犯意識は常に持ち続けることにありそうです。
次回の記事では、森さんに具体的な家庭・住宅の防犯対策を解説してもらっています。こちらもぜひチェックしてくださいね。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 石原亜香利
- EDIT :
- 安念美和子