自宅の防犯策といえば、ドアや窓の鍵を閉めるのはもちろん、訪問者が来ても玄関のドアを簡単に開けない、チェーンをつけたまま開ける、などは実践している人も多いはず。けれど、それだけではまだまだ防犯策としては足りないようです。
今も、私たちの知らないところで、犯罪者が自宅を狙っているかもしれません。今すぐにでも、手薄になっている部分を学び、対策を立てましょう。
今回は、警察でサイバー犯罪、経済犯罪等を扱う生活安全部門で活躍していた元刑事で、現在は犯罪捜査の知見を活かして講演を全国で行っている、一般社団法人日本刑事技術協会の理事の森雅人さんに、自宅で行うべき防犯策を教えていただきました。
今すぐ自宅で実践したい5つの防犯策
■1:高層階でも窓の施錠は必ず行う
「泥棒は、マンションの屋上から、最上階の部屋の無施錠のベランダを伝って侵入するケースもあるため、高層階だからといって安心せず、必ず窓は施錠をしましょう」
■2:SNSへの旅行の投稿は帰宅後にアップする
「泥棒はあなたのSNSを見ています。リアルタイムで家を留守にしていることがわかるような投稿は避けましょう。旅行に行ったという情報は、帰宅後にアップするなどしてください。日々の投稿も注意です。
自宅の場所がわかるような投稿はしないこと。家の中や家の近くでの投稿は、できるだけ避けるようにしてください。天気や駅、電車の話題にも注意。ゲリラ豪雨、列車の遅延情報などを投稿すると、自宅の地域や最寄り駅が特定されてしまう可能性があります」
■3:男性物の洗濯物を干す
「女性の独り暮らしの場合、アナログな手段ではありますが、防犯効果は高いのが男性物のTシャツや下着を、ベランダに干しておくことです。
泥棒を含め、あなたの家を狙う犯罪者の多くは、犯行前に家の下見をしています。いつもの洗濯物に男性物の洗濯物が混じっていれば、防犯効果が高まるでしょう。一般的に犯罪者は、力の強い男性がいる家を嫌がります」
■4:家に誰もいなくても「ただいま」と言う
「独り暮らしの場合や、共働きで子どもが先に帰宅する場合などは、帰宅したときに玄関を開けたら、家の中に誰もいなくても、家の中に向かって『ただいま』という癖をつけておくといいです。
あなたやお子さんをつけ狙う犯罪者が仮にいた場合、室内に誰かがいることを装うことで、犯行をあきらめさせるなど、大きな抑止効果があります」
■5:訪問販売が来た後は、マーキングを確認
「訪問販売は、絶対に玄関を開けずに断るのが基本です。玄関を開けて応対してしまうと、居座られてしまうなど、トラブルのきっかけになります。
また、業者を帰した後は必ず『マーキング』がされていないか、家の周囲を確認しましょう。マーキングとは、集合ポスト、表札、ガス・電気メーターなどに書かれる『〇』『△』『×』『☆』などの記号や『S』、『W』、『C』などの文字のことです。
これはその家にどのような人が住んでいるかを表した暗号です。例えば、『S』は独り暮らし、『W』はウーマン(女性)であることを意味するため、『この家は女性の独り暮らし』であることが分かってしまいます。
もしマーキングされていた場合は念のため、マーキングをした人物の特徴や、マーキングをされた旨を警察に通報しましょう。
マーキングされたからといって、すぐにマーキングした者を逮捕できるわけではありませんが、警察ではそのような情報を蓄積、分析していますし、重点的にパトロールをしてくれる場合もあります。通報したら、マーキングは確実に消しましょう」
家づくり・リフォーム時に施したい防犯策5選
続いては、これから家を建てたり、リフォームする予定がある場合に、施しておきたい防犯策を森さんに5つ教えていただきました。
■1:屋外の防犯カメラは人目に付く場所に設置する
「屋外の防犯カメラの意義は、『抑止力(見せることによる警戒)』です。まずは玄関先など人目に付く場所に設置しましょう。できれば、家の外周を死角なく設置するのが理想です。
侵入経路、被害場所、逃走経路上に防犯カメラが複数あると、あやしい人物の足取りが分かるので、警察も捜査に本腰を入れやすくなります」
■2:室内用防犯カメラを目線の高さで設置する
「室外に防犯カメラを設置しておくことはもちろん、室内にも防犯カメラを設置することをおすすめします。侵入場所や、室内での物色経路がカメラに記録されていれば、警察の鑑識活動が非常にやりやすくなり、より犯人に直結する指紋や足跡が採取できます。
また、室内のカメラを人の目線の高さに設置することで、室外の天井カメラよりも鮮明に被疑者の人相を記録することができますので、被疑者の早期逮捕につながります」
■3:家を建てる・買う場合は家の周辺店舗等の防犯カメラの設置状況を確認する
「先にも述べたとおり、家だけの防犯カメラであれば、警察が捜査するにも『ヒント』に乏しい場合が多いので、新たに家を建てる、買う場合は家の周辺店舗などの、防犯カメラの設置状況を確認しておくのが望ましいです。できれば最寄駅から家までの導線を調べて、なるべく防犯カメラの目が途切れないような場所を選ぶのがベスト。
事が起こればリレー形式で警察が防犯カメラを確認し、犯人の足取りを確認できれば、早期逮捕につなげることができますし、そもそも、そのような地域は犯人が狙わない可能性が高いです」
■4:防犯性能の高い窓、格子を取り付ける
「窓は二重サッシやねじ穴を回せないようにした、防犯性の高い格子窓などを設置するようにしましょう。
防犯性の高い設備とはいえ、100%防げるものはありませんが、多くの犯罪者は、侵入に時間のかかる家は嫌います。犯人も防犯性能の高い設備は良く知っていますので、防犯性能の高い設備を見ただけで、犯行をあきらめる者もいます」
■5:2階以上の部屋にも鍵付きの雨戸を設置する
「一軒家の場合、2階以上の部屋に雨戸を設置していないお宅が多いですが、できれば2階以上の部屋にも雨戸は設置したほうが良いです。
先ほども述べた通り、泥棒は侵入に時間のかかる家を避ける傾向にあるため、不在時には雨戸を閉めて侵入をあきらめさせましょう。台風などの防災対策にも有効です」
自宅の防犯策を10個、教えていただきました。全部は難しくても、できることから取り組んで犯罪リスクを少しでも減らせるといいですね。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 石原亜香利
- EDIT :
- 安念美和子