年末が近づいてくると、仕事、プライベートともに、年内にやらなければならないことを考える方も多いのではないでしょうか。なかでも大掃除については、「大変だな…でも、そろそろ始めないと…」と気になってしまいますが、そもそもなぜ、年末に大掃除をしなければならないのでしょうか? 当記事では、年末に大掃除をする理由、大掃除を行う時期、大晦日の大掃除のポイントとコツをご紹介します。
■大晦日に掃除、する?しない?
国民的行事のようになっている年末の大掃除ですが、そもそも大掃除にはどのような由来や歴史があるのでしょうか?
年末に大掃除する理由
大掃除は、平安時代に宮中で行われていた「煤払い」が由来とされています。昔は部屋の中で囲炉裏や火鉢などで火を焚いて生活していたため、年末に柱や天井などに溜まった煤を払っていました。現代でも、12月になるとニュースなどでお寺や神社で長い竹で煤を払っている様子をご覧になる方も多いと思います。
この「煤払い」は、単に宮中を清潔にするというだけでなく、悪い霊や厄を落とし、「年神様」をお迎えするために内外を清める、といったような神事の意味合いを持ったものでもありました。「年神様」は農耕、田の神様で、その年の豊穣を願ってお迎えしていたようです。
また、お正月に各家にやってきてその家を1年間守ってくれる神様でもあることから、年末に1年間の汚れをきれいに払って年神様をお迎えすれば、たくさんのご利益を持ってきてもらえると信じられていたようです。
大晦日に掃除してはいけない?
1年の最後の日である12月31日は、神様をお迎えする日であることから、大掃除を控えたほうがいい日とされています。年神様をお迎えする日にバタバタと掃除をしていては、神様も中に入りにくそうですね。大晦日には心身も家もきれいにして、ゆったりとした気持ちで年神様をお迎えしましょう、という意味合いがあるようです。
他にも、12月29日は忌み数の9が付いていて、9=「苦」と読めることから縁起が悪いとされています。1月1日も、元旦に大掃除をするとせっかく来てくれた年神様を追い出してしまうことになり、福が逃げるとされ縁起が悪いといわれています。
■大晦日に掃除をしないためには
大晦日は心身や家をきれいにしたうえで、静かに神様を迎えるべきといわれています。そのため、「大晦日に掃除をしない、大晦日まで掃除を持ち越さない」という潔い選択肢もあるかもしれません。では、大掃除はいつまでに行えばよいのでしょうか。また、大掃除を計画的に進めるには何をポイントにすべきでしょうか。
大掃除はいつからいつまでにやるといいの?
年末に行うイメージが強い大掃除ですが、江戸時代には12月13日が「鬼宿日」であることから、江戸城で「煤払い」を行う日と決められていたようです。「鬼宿日」とは婚礼に関わること以外は全て大吉とされる吉日のことで、年神様を迎える準備を始めるのにふさわしいとされ、正月の準備に取り掛かる日、「正月事始め」として定着していきました。
これが庶民にも広がり、12月13日に「煤払い」、そして門松にする松や薪を取りに行く「松迎え」をして、半月ほどかけて正月の準備をしていました。このことから大掃除を始めるのは12月13日以降から、という慣習ができていったようです。
掃除にまとまった時間が取れるのは年末になってしまうという方も多いと思いますが、1日で大掃除を終わらせる必要はありません。しかし29日、31日に大掃除をしない方がいいということを踏まえると、28日頃を目安に大掃除を終わらせるのがよさそうです。まさに、ちょうと今の時期から大掃除を始めるといいのではないでしょうか。
年末の大掃除を前倒しする
大掃除が年末の恒例行事となっている方も多いと思いますが、大掃除をする時期は寒くて水を使うのが辛かったり、窓を開け放つと凍えてしまったりした経験はありませんか? それも含めての年末の大掃除かもしれませんが、実は換気扇や屋外の掃除など、気温が低くなりすぎない時期にした方が汚れが落ちやすく、掃除の効率がいい箇所もあります。
また、12月は何かと忙しくあっという間に時が経ってしまい、掃除になかなか時間が割けない時期でもあります。大掃除は、一度に全部終わらせようとせず、今から少しずつ進めていくのもおすすめです。
■大晦日の大掃除のポイントとコツ
仕事はもちろん、プライベートも忙しい毎日を過ごしている場合、大晦日しか大掃除ができない方もいらっしゃるでしょう。そんな方に向けて、大晦日の大掃除のポイントとコツを紹介します。
最低限にする
大掃除をしなくては、と思いつつも、仕事の都合や家事、育児、その他の用事などでなかなかまとまった時間が取れないという方もいらっしゃると思います。そんなときは、最低限の掃除に取り組みましょう。あれもできないこれもできないとストレスを溜めるよりは、掃除する箇所を絞って集中的に掃除を終わらせてしまいましょう。
最低限の掃除箇所の例を挙げると、玄関、キッチン、バスルームなどがあります。特に玄関は出入りのときに必ず通る場所ですから、きれいに片付いていると「掃除したなぁ」という実感が持てるため、気分も上がるのでおすすめです。
また、「ここがきれいになったらうれしいな」という箇所に絞って集中的に掃除をするのもいいですね。普段掃除できない箇所を中心に、できる範囲で無理なく掃除をしてみましょう。
大晦日に洗濯を済ませる
お正月に掃除を控えたほうがいい理由はさきほどお伝えしましたが、お正月の洗濯もしないほうがいいようです。理由としては、洗濯には「服(福)を洗い流す」という言い伝えがあり、年神様がもたらしてくれた福を流してしまうという説があるようです。
他にも、「ただでさえ慌ただしい年末年始、お正月はゆっくり過ごしましょう」ということにも通じているようです。気にしないという方も多いかもしれませんが、地域や家の習わしもあるので、状況に合わせて掃除や洗濯を済ませましょう。
■大晦日の大掃除のやり方
大晦日の大掃除のやり方を場所別に解説します。合わせて、必要なものや道具もご紹介しましょう。
玄関はきれいにしよう
家に出入りするときに必ず通る玄関は、きれいになっているとすがすがしい気持ちになりますし、急なお客さんが来ても慌てなくてすみます。玄関を清潔にしておくと運気が上昇するともいわれるので、ぜひ家の顔であるエントランスをきれいに掃除しましょう。
道具
掃除機・ほうき・ちりとり・雑巾かいらない布(水拭き用、乾拭き用)・ハンディモップ・歯ブラシ・メラミンスポンジなど
掃除の順番
ほこりが落ちるので、ドアや壁、シューズクローゼットなどの収納の掃除が終わってから床(たたき)にとりかかる、というように、上から下に向かって掃除をしていきます。使用する雑巾はかなり汚れるので、いらない布などを使用してそのまま捨てられるようにすると楽です。
キッチンはつけ置きしてから
キッチンは日常的に使用する場所で、油汚れなども溜まりやすく、大掃除の機会にきれいにしておきたい場所です。特に換気扇は、大掃除以外には滅多に掃除をしない場合もあるのではないでしょうか。しかし、油汚れは暖かい季節の方が落ちやすいため、換気扇の掃除だけは時期をずらして、春になってから行ってもいいかもしれません。
道具
重曹・アルカリ性洗剤・食器用洗剤・消毒用エタノール・スポンジ・歯ブラシ・キッチンペーパー・雑巾(水拭き用、乾拭き用)・軍手かゴム手袋など
掃除の順番
油汚れの多いキッチンは、浸け置きしてからの掃除が有効です。まずは、コンロ周りからコンロの五徳、魚焼きグリルなどを取り外して、シンクで浸け置きをします。その後、浸け置きした水を流して、浸けておいたものを水洗いします。次に、排水口のごみ受けを取り出し、食器用洗剤をつけて歯ブラシで洗います。最後にシンク周りの水分を拭き取って終了です。
風呂は換気を忘れずに
水垢やカビか気になる風呂場ですが、大晦日に入るお風呂は「年の湯」といい、その年を振り返りながら入浴し、さっぱりとした気持ちで新しい年を迎える厄落としのお風呂といわれています。ピカピカになったお風呂で気持ちよく新年を迎えましょう。
道具
クエン酸・消毒用エタノール・重曹・いらない布か靴下・風呂掃除用スポンジ・歯ブラシ・スプレーボトル・ゴム手袋など
掃除の順番
浴室を掃除するときは換気をし、刺激のある洗剤などを使うときにはゴム手袋をして作業してください。風呂場には小物も多いため、効率的に進めるためには、前日の夜入浴した後、浴槽の残り湯に重曹1カップを溶かし、洗面器、手桶など浴室の小物類を入れ、一晩浸け置きしておくと汚れが落ちやすくなります。 浴槽は洗剤をつけ、スポンジでこすってください。壁やタイルの目地など、カビが気になる箇所には消毒用エタノールを吹き付けていきます。
鏡の掃除にはクエン酸水を使用します。クエン酸水は、水500mlに対しクエン酸小さじ1杯を入れて作ります。クエン酸水を鏡に吹き付け、布で汚れを拭き取り、最後に乾拭きしましょう。(クエン酸は塩素系の漂白剤と一緒に使用すると危険なので注意が必要です)
床にもクエン酸水を吹きかけ、風呂掃除用のスポンジで汚れを落とします。目地の汚れなどが落ちにくい場合は、ブラシを使って汚れを落とします。最後に、排水口の髪の毛などのごみを取り除いておきます。クエン酸水を吹き付け、スポンジや歯ブラシで汚れを洗い落とすことで臭いも防ぐことができますよ。
トイレ
毎日掃除した方がいいといわれるトイレですが、丁寧な掃除はなかなか難しいですよね。大掃除の機会に水垢や黒ずみなどの気になる箇所をきれいにして、気持ちよくトイレを使いましょう。
道具
トイレ用掃除シート・トイレ用中性洗剤・塩素系トイレ用洗剤・クエン酸・スプレーボトル・キッチンペーパー・ゴム手袋など
掃除の順番
玄関同様に、上から下に掃除をします。 いつもの掃除の際に、ついつい忘れてしまいがちな壁にも意外と汚れが付いています。壁と床もトイレ用の掃除シートで拭きましょう。トイレ本体は、トイレ用の掃除シートを使って便座の表と裏を拭き掃除します。
また、トイレ用の中性洗剤を便器の内側に吹き付け、ブラシでこすり洗いします。黒ずみが気になる場合は塩素系のトイレ用洗剤を使用してください。
最後にトイレ用の掃除シートでトイレ本体のふたや側面など、下の部分を拭き掃除します。トイレの手洗い用の蛇口に水垢が固まってしまっている場合は、キッチンペーパーにクエン酸水(クエン酸水は、水500mlに対し、クエン酸小さじ1杯を入れて作ります)をたっぷり吹き付け、蛇口に巻き付けて2時間ほどおいた後、雑巾などで拭き取ります。ただしクエン酸は塩素系の洗剤と一緒に使うと危険なので注意が必要です。
大晦日の大掃除は最低限にして、夕方からゆったりと過ごそう
年末に大掃除をする理由や大掃除を行う時期、大晦日の大掃除のやり方やポイント&コツをご紹介しました。 1年の最後の日である大晦日にしか掃除ができなくても、無理をする必要はありません。大晦日の掃除は最低限にして、夕方からはゆったりとした気分で新年を迎えましょう。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部