人生を重ねた大人だからこそ見えてくる、豊かな暮らしとは?をテーマに、雑誌『Precious』編集部が総力取材する連載「IE Precious」。1月号でご紹介していた、デザイン事務所「キュリオシティ」共同設立者・宮元玲子さんのご自宅の様子をお届けします。削ぎ落とされた空間の居心地のよい、お住まいです。
「情報量はできるだけ少なく好きなモノだけを配置。モノが見えないことがいちばん心地よく、くつろげるのです」
デザイン事務所「キュリオシティ」
モノがないのに殺風景じゃない。むしろ、温もりとくつろぎを感じる空間。すっきりと整っているのに、ちょっとごろん、としたくなるような不思議な居心地のよさがある…。
![IE Precious_1](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/1/3/720mw/img_13700b7cce023b82201a2e01a4705df9270124.jpg)
「視界に入ってくる情報量をできるだけ少なくしたいので、徹底的に収納して見せないようにしています。逆に、好きなモノは厳選して見せる。私はモノが見えないほうが落ち着くタイプですが、モノに囲まれているほうが幸せな人もいます。家に長くいるのは、ほかでもない自分と家族。自分や家族が心地よいと感じることがいちばん大切だと思います」
そう語るのは、ホテルやクラスブランドのストアデザインなどを手がけるフランス人デザイナー、グエナエル・ニコラ氏の妻であり、彼のデザインスタジオ「キュリオシティ」の共同設立者でもある宮元玲子さん。
![IE Precious_2](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/b/a/720mw/img_baf9fe3bd71e977cb485b7a6da5a185a269008.jpg)
![IE Precious_3](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/1/f/720mw/img_1f5e49e5509bba7ceb85ff71e445085e245143.jpg)
「もともと私の母がモノを捨てる人で、実家もすっきりとした場所でした。その影響もあって、よけいなモノがない=煩わされない、思考がクリアになるという感覚がしみ付いているのかもしれません」と玲子さん。
一方、夫のニコラ氏の実家は大家族ゆえ、敷地内には多いときでテーブルが20卓、椅子は60脚(!)近くあったそうで、その反動でモノがないすっきりとした空間を好むようになったとか。
「夫婦ともに、居心地がよいと感じる価値観が似ているので、この家をフルリノベーションした際は、とにかく収納にこだわりました。机やカウンターにモノが出しっぱなしになっていると『すごくイヤだな〜』と私が猛アピールするので、娘たちはしぶしぶ片付けています(笑)。ただ、彼女たちは、海外ドラマのティーンが住んでいるような、カラフルなアイテムがあふれた、ごちゃっとした部屋に憧れがあるようですが…」
![IE Precious_4](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/3/7/720mw/img_3787093ce5eb96f6695ceae2d9b784fd242492.jpg)
![IE Precious_5](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/a/9/720mw/img_a938f0ae77f4614a29cd9b51d166d85c254125.jpg)
![IE Precious_6](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/4/1/720mw/img_4150a83a30b76e07a4c5af7ec56c9f4c232780.jpg)
![IE Precious_7](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/4/a/720mw/img_4a116dee81db6aab5dc36296872fccce268029.jpg)
![IE Precious_8](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/a/e/720mw/img_ae5fc0b1609ade7fb1d65688f9941b18249962.jpg)
![IE Precious_9](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/6/7/720mw/img_67d268baa01b685fe6412e06154f9025272722.jpg)
![IE Precious_10](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/b/6/720mw/img_b609263ec81b3bb65c82ead46dc8bec9230942.jpg)
![IE Precious_11](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/e/b/720mw/img_ebb5157a5db36d8c5c8f9d304a7effd9241468.jpg)
また、モノがなくても殺風景だと感じないのは、絵画や骨董、インテリアの存在も大きいようです。
![IE Precious_12](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/3/9/720mw/img_3972b189c7bfc3717f9ec28ccd1698b0239923.jpg)
![IE Precious_13](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/d/f/720mw/img_df4d8c5d9b3c484efdd857d2392abc36261251.jpg)
![IE Precious_14](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/6/0/720mw/img_600c19341bdf25f4bd8bf07752146478204266.jpg)
![IE Precious_15](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/8/0/720mw/img_80812d73ee4c52e773d4a262a27e9d77291219.jpg)
![IE Precious_16](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/9/5/720mw/img_9582c7a93ffc6fa37a1cc6758119b5cd239496.jpg)
「アートや器、インテリアは、旅先やギャラリーで、主人と一緒に『これいいね!』と選ぶことが多いですね。眺めるたびに好きだなぁ、いいなぁと思えるモノが家にあると、気持ちが上がります。
それから、購入するときは、好き! という気持ちをいちばん大切にしています。自分が好きだと思って選んだモノを、どこに置いてどう飾るのかあれこれ考え、そのために空間を整えていくのも楽しい時間です」
「実際の広さよりも『広く感じる』ことが大切。居心地のよさにもつながります」
廊下や壁の天井高いっぱいに設けられた収納のほか、この家には広く見せる工夫が随所に見られます。
「床や壁、扉などの色と質感にはこだわりました。壁や収納扉はほぼ白に見える薄いグレー、床板は木の質感を残しつつ、何度も脱色して微妙な風合いを出してもらいました。面積の多い部分には白を使わず、グレーやベージュなどを用いることで、温もりがあってくつろげる空間に。ソファやダイニングテーブルなども、色味や素材をそろえています」
![IE Precious_17](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/9/a/720mw/img_9a91119165c7c1bc8315f66e8bc75d7b235701.jpg)
さらなるポイントは、照明。暖色系の明かりで色の世界観を統一することはもちろん、壁に沿って下から照らすことで、より広がりと落ち着きを感じる空間に。
![IE Precious_18](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/4/c/720mw/img_4c1f99c22f4d6104531077d8f1cdd352246079.jpg)
![IE Precious_19](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/7/8/720mw/img_78056a5b8b5c65439c8bc872238d0cc4240106.jpg)
「実際のサイズより『広く感じる』ことが大切です。くつろぎや居心地のよさにもつながりますから。そのためには、できるだけ収納スペースを増やし、色や照明の色にこだわるといいと思います」
また、リビングの中央に置かれた4・5畳の正方形のソファも印象的。
![IE Precious_20](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/0/4/720mw/img_04c9e7666064f3409b375492a4cd96d8253892.jpg)
「テーブル代わりの天板を置いて家族で食事をしたり、川の字に寝転んでテレビを観たり。私も夫もできるだけ家には仕事を持ち込まないようにしています。家では家族とリラックスした時間を過ごしたり、ボーッとしたり読書をしたり、完全オフモードでいたいんです」
宮元さんのHouse DATA
●間取り…3LDK
●家族構成…夫と娘ふたり
●住んで何年?…9年
関連記事
- 「心から好きだと感じないものは置かない」「華都飯店」オーナー・馬衣真さんのご自宅を訪問
- 「趣味と仕事と人生が詰まった家」ファッションディレクター、萩原輝美さんのご自宅を訪問
- ジュエリーデザイナー・能條 彩さんの「秘密基地のような家」を拝見!
- ロンドンの「四季を感じられる庭付き3LDK」に住む日本人デザイナーのご自宅を拝見!
- イタリアの職人技で納屋を改装!ブランド・アートディレクターの住む「居心地のいい自宅」を拝見
- PHOTO :
- 川上輝明(bean)
- EDIT&WRITING :
- 田中美保、古里典子(Precious)