ここ数年の我慢のときを経て、レストランでの食事を楽しめる機会も増えてきたこの頃。東京のレストランシーンにも新しい名店が次々と誕生しています。『Precious』3月号・別冊付録『最旬「東京モダンレストラン」17』では、2022年オープンの新店を中心に、美味しいもの好きが通っているお店17軒をピックアップ。
今回ご紹介するのは、モダンエスニックの名店たち。扉を開けたら異国。注目の広東料理の名店から、カジュアルに楽しめるエスニックまで、旅気分にひたれるお店をご紹介します。
■1:一平飯店[麻布十番]
広東料理の本場・香港には新鮮な食材が集まるため、料理は調理も味付けもシンプル。
安達一平シェフのモットーも「素材がもつ味わいやうま味を生かす」こと。コースは粥から始まり、揚げ物、蒸し物、炒め物と、現地で学んだ技術を駆使した、丁寧で細やかな仕事が生む洗練された味は14皿を心地良く食べ切れ、盛り付けはモダンな茶懐石のようにシンプルで美しい。
21時以降は「夜香港(イエホンコン)」と店名を変え、より現地色の強い大皿料理のコースに。開店から半年で一つ星を獲得。年季の入ったビルの扉の奥はモダンな空間、というアプローチも香港らしい。
■2:港式料理 鴻禧[虎ノ門]
香港の伝説の名店「福臨門酒家」に長年勤め、錦糸町「サウスラボ 南方」の料理長も務めたトミーさんこと覃 志光(チャム チイコウ)シェフの説明から始まるコースの目玉は、なんといっても「クリスピーチキン」。
鶏全体に油を繰り返し丁寧に回しかけながらふっくらと仕上げるのは、「福臨門」仕込みの技。しかも、飴色に色づいてくる様子、アフリカンパンツが似合う陽気なトミーさんの職人技をオープンキッチンのカウンター席から眺めることができ、食欲をそそられる。
高級乾貨(乾物)を贅沢に使うトミーさんの料理は香港以上に香港の美味しさと評判で、現地在住経験のある常連も多い。
■3:ホッパーズ[茅場町]|ここでしか食べられないモダンスリランカ
スパイスカレーの名店「スパイスカフェ」店主・伊藤一城さんの2店目は、クリエイティブな町として注目の日本橋兜町。「ハレの日のスリランカ料理」をテーマに、日本の食材を使った“モダンスリランカ料理”という新しいジャンルを提案している。
現地の国民食である「ライス&カレー」は、多彩なカレーや副菜が10種類! さまざまな味や食感があり、野菜もたっぷりでバランスがいい。好みで混ぜながら食べると、甘辛のループで止まらなくなる。サービスの白湯には胃腸の働きを助けるカルダモンが入っていたりと、味わううちに体が整うかのよう。
■4:ベルプリ[下北沢]
ユーラシアのスパイス料理をテーマにした「ベルプリ」。店名は、ポン菓子や野菜などを和えたインドの屋台フードから。
具材も味もさまざまなベルプリのように、自由にお酒を楽しんでほしいと、メニューは小皿料理が中心。イスラエルのシャクシュカ、中国の豆腐干料理など、美味しいひねりを加えた料理とナチュラルワインを、シルクロードを旅している気分で堪能できる。
スパイスは主張しすぎず、箸でつまめる気楽さもいい。下北沢の路地奥、一日の余韻を味わいにふらりと立ち寄りたい。
■5:ダイナーヴァン 勝どき[勝どき]
ベトナム人が「ベトナムより美味しい」と絶賛する清澄白河の「ダイナーヴァン」の2号店。ホーチミンの人気店での経験豊富なシェフのヒエンさんは、フォーのスープもメニューごとに数種類を丁寧にとっている。カニのだしが効いた「ブンリュークア」(蟹汁麺)などをはじめ、一品料理は現地風ながら洗練された味わい。
パリのベトナム料理店をイメージした店内は、店主で空間プロデューサーの石井りかさんが選んだ骨董のバッチャン焼、美濃焼の美しいタイルなどが異国情緒を誘う。
※掲載価格は、すべて税込みです。
※掲載している料理や商品は、時期によって変更となる場合があります。
※定休日や営業時間など、最新情報は各店舗へお問い合わせ、またはHPやインスタグラムをご参照ください。
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- PHOTO :
- 長谷川 潤
- EDIT&WRITING :
- 松田亜子、安村 徹(Precious)