手のひらの上で愛でたい、それはもうアート【和菓子の小宇宙】
その歴史は、縄文時代までさかのぼるとされる和菓子。脈々と受け継がれた伝統や技術、日本の四季や風土を映す心を継承しながら、多様な素材やデザインを取り入れ、和菓子は今も、日々進化し続けています。
このうえない口福と美しい佇まいで、至福の時をもたらしてくれる麗しき和菓子たちを、その世界観と共にお楽しみください。
京都「末富」の『うすべに』
四季折々の “薄紅色” を見事に汲み取った茶菓子
月下のほのかな紅葉色、紅梅に降り積む雪のにじみ、春の曙、おぼろ夜の桜花、露けき朝に咲き出るすみれ…。 そんな四季折々の風情を見事に汲み取った干菓子『うすべに』。
茶会を彩る茶菓子をつくり続けてきた京都「末富(すえとみ)」のこの名品は、四季を問わずいただけるお茶席のお菓子を、と考案されたとか。
茶人好みの麩焼きせんべいを半分の厚みに切って、ざらりとした中面をあえて表にして白蜜を塗り、間に梅あんを挟んだもの。白い麩焼き煎餅に、うっすらと透けて見える梅あんの淡紅色は、愛らしく、どこか儚はかない佇まい。そこには、日本の美意識が詰まっているといってもいい。
薄くて軽やかな麩焼きゆえ、ひと口噛じるとシャリッとした食感が、その後は淡雪のように口の中ですっと溶けていく。静かにあとに残るのは、ふっくらと肉厚な青あお谷だにの梅を裏ごしして煮詰めた梅あんのほのかな酸味…。
優しさが余韻となって広がる、繊細な味わいは唯一無二といえる。
※掲載商品の価格は、税込みです。
◇お店DATA
住所/京都府京都市下京区松原通室町東入
営業時間/9:00~17:00
休み/日曜・祝日
問い合わせ先
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- PHOTO :
- 川上輝明(bean)
- EDIT&WRITING :
- 田中美保、古里典子(Precious)
- スタイリング :
- Chizu