「大胸筋は、バストの畑」。そう話すのは、経絡整体師の朝井麗華さん。バストの膨らみとは一見関係のないように聞こえる「筋肉」。実は、バストアップを考える上では欠かせないポイントだと言います。簡単にできて、効果を実感できる朝井式メソッドをお伝えします!

年齢を重ねてもキープしたい、バストの黄金比率

朝井麗華さん
朝井麗華さん
——まず、30、40代が目指すべきバストの指標はありますか?
朝井麗華さん(以下、朝井) そうですね。バストの黄金比率というものがあります。サイズがいくつ、という目安ももちろんありますが、見た目に美しいと感じるポイントはバストのバランスです。鎖骨と鎖骨を結んだ真ん中のくぼみと、バストトップを結ぶ三角形が「正三角形」であること。これが、正常なバランスです。次に、「筋肉のやわらかさ」です。大胸筋をはじめとする、胸周りの筋肉の適度なやわらかさが保たれているか、ですね。 続いて、「下垂」チェック。肩先から肘までの距離の2分の1より上に、バストトップが収まっていれば、合格です。収まらなければ、垂れ乳境界線に注意です! そして、アンダーバストと身体の境目である「バージスライン」がくっきりあるか、です。楽チンだから、とカップ付きインナーばかりをつけていると、バストのお肉は四方八方に散ってしまうんです。すると、バージスラインがあやふやになってきてしまいます。以上の4つのポイントが、目指したい美バストの指標です。
肌にハリがあり、重力の影響を受けた年数の短い20代の間はどうにかなっても、30、40代では、きちんとケアができているかどうかで大きく変わってくるんですよ。

重要なのは、筋肉の硬さ

——バストの硬さに関して、出産や授乳を経てバストがふにゃふにゃに感じる、という声も聞きます。
朝井 20代のときは、表面の肉質自体もハリがあるという意味での硬さがあるんですね。それが30歳を過ぎて、肉質もやわらかくなってきます。また、授乳経験があれば赤ちゃんに吸われることで、表面の皮も伸びます。授乳経験がない女性に比べると、よりバストの変化を感じるかもしれませんね。でも、バストはやわらかくても良いんです。肋骨の上に大胸筋があり、その上に乳房があります。バストの土台である大胸筋にこりが溜まっていないか、が肝になってきます。
大胸筋に関する説明の様子
——なるほど。バストの下の大胸筋のこり度合いが重要なのですね。
朝井 そうなんです。そもそも、こうした筋肉へのアプローチの大切さを実感したのは、私が整体師として男女関係なくたくさんのお客様をケアしてきた経験から。サロンでは、肩こりや腰痛がつらい、足が毎晩つってしまうというような日常的な悩みや不具合を改善するために来店される方がほとんどでした。紹介制の口コミ100%だったので、次から次へとこりの深い方がいらっしゃるんですよね。そうなると、肩こりをほぐすための背面部をケアするだけで、かなりの時間を要してしまい、既定の時間内で全身のプログラムをこなすのが難しくなってきました。
顔のこりをほぐすテクニックを開発していたあるとき、お客様のフェイシャルの一環で、デコルテラインをほぐしていたんです。すると、背面には触っていないにもかかわらず、肩のこりがふわっと溶けるようになくなったんですよね。そのときに学んだのは、バスト周りの筋肉と肩こりが密接な関係にあること。そして、バスト周りの筋肉をほぐすことで、肩こりが改善するということでした。それ以降、肩こりのひどい人に、胸の筋肉をほぐす施術をすることで今までよりずっと短時間でこりをほぐせるようになったんです。
そうしているうちに、女性のお客様から「バストに触れてはいないのに、大きくなったような気がする」とか、「肩こりが辛くて通っていたのに、バストが綺麗になった」、「付けてきたブラがパンパンになった」といった声をいただくようになったんです。私は、バストを大きくすることを目的としていたわけなくて、本来あるべき筋肉の状態に戻して差し上げただけなんですけどね。

大胸筋はバストを育てる「畑」

——本来の筋肉のやわらかさをつくってあげるだけで、バストへの変化が現れるんですね。
朝井 そうなんです。バストの土台の筋肉である大胸筋は、バストを育てる「畑」だと考えています。肩の筋肉がこるのと同じように、胸の筋肉もこります。そして、どんな筋肉もメンテナンスすることなく放って置くと、硬くなってしまうんです。硬くなった筋肉はほぐしていかないと、血液の流れも悪くなり、ますます硬く、そして脂肪や冷えも増長しやすいという悪循環になります。
——これまで、「バストに筋肉がある」ということ自体、考えたことがありませんでした。
朝井 そうですね。人間は、目や口などの粘膜部分以外のほとんどに筋肉が存在しているんです。もし、バスト周りの筋肉が固まってしまっているのであれば、ほぐしてケアすることが、美しく健康的なバストに直結します。バストの膨らみそのものではなく、その土台である「大胸筋」にこそ、働きかけるべきなんです。
——胸周りの筋肉のこりをケアするオススメの方法はありますか?
朝井 私が考案したバストケアメソッド「乳トレ」の中から、是非、毎日やっていただきたい基本のセルフケアが3つあります。まず、今回お伝えするのは、大胸筋にアプローチする「バストくるくる」体操です。

大胸筋をほぐす「バストくるくる」体操

step.1片側の手を、指をそろえた状態でバストの下側に添える
Step1:片側の手を、指をそろえた状態でバストの下側に添える。下側を支えることで、バストの無駄動きを防いで、クーパー靭帯へのダメージを防止してくれる。
step.2逆側の4本の指でバストの上部を内側から外へ円を描きながら、脇に向かってマッサージ
Step2:逆側の4本の指でバストの上部を内側から外へ円を描きながら、脇に向かってマッサージ。大胸筋をほぐすイメージで、片側10回を目安に。
step.3反対側も同様に、片側10回を目安に。
Step3:反対側も同様に、片側10回を目安に。※ケアは、オイルかクリームをつけて滑りを良くしてから行いましょう。 画像出典:朝井麗華 著「おっぱい番長の乳トレ」(講談社)
朝井 「バストくるくる」は、大胸筋ほぐしのためのセルフケアです。筋肉が硬いということは、それだけ血液循環が悪いということ。血液に乗って、栄養も酸素も全身に運ばれるので、筋肉が硬い=栄養や酸素が細胞の隅々まで届いておらず、細胞の新陳代謝がスムーズに行きづらい状態です。このケアのポイントは、表面だけをさするだけでなく、バストの下の筋肉・大胸筋のまで届く圧をかけて行うこと。イタ気持ちいいくらいの圧でしっかり効かせていきましょう。

バストケア第2回では、乳房の下にある「大胸筋」へのアプローチが、美しいバストを生み出す重要なポイントだということを教えていただきました。バストのみならず、体全体の健康まで引き上げてくれるセルフケアは、今日から毎日続けたいですね。

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朝井麗華さん
経絡整体師、美容家、株式会社キレイカンパニー代表
(あさい れいか)臨床検査業界を経て、アロマセラピーや東洋医学を学び、中国整体推拿(スイナ)療法の素晴らしさに目覚め、推拿をベースに小顔整体や筋膜剥離などを取り込んだオリジナルメソッドを確立。中でも、バストを中心とした施術の的確さから「おっぱい番長」とも称され、メディア出演、講演会やセミナー、書籍出版など多方面で活躍中。
この記事の執筆者
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PHOTO :
左納雅之
WRITING :
八木由希乃