舞妓として成長を続けている富津愈さん。 最終回となる第4回では生まれ育った京都に対する想いや、今後の自分像について聞かせてもらいました。

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>>【第2回】お稽古やお座敷がみっちり…舞妓は修業の身
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離れていたからこそわかる京都の魅力

富津愈さんの着物と手鏡

京都以外で生活をしていたからこそ、京都の素晴らしさを強く感じると富津愈さんは言います。

「元々、京都という街も文化も大好きやったんどすけど、外国から戻ってきて、より大切に思うようになりました。例えば、季節の移ろいの表現の素晴らしさですね。ニュージーランドにも四季はありましたけど、大自然を見てなんとなく春が来たんだな・・・・と感じる程度でしてん。京都では自然だけでなく、料理や器、町家のしつらえなど、街にあるさまざまなものから季節を感じることができるんどす」。

富津愈さんの扇子
富津愈さんの着物の帯

写真で見るだけでも美しい花かんざしや扇子、帯にも京都の四季が宿っています。

「舞妓が身に着けるものもそうどす。着物はもちろん、トレードマークの花かんざしは、2月は梅、4月は桜、7月は祇園祭など、月ごとに替わりますやろ。これも、お座敷にいながらにしてお客さんに季節の移ろいを楽しんでもらう工夫の一つどす」。

また、踊りをはじめ、歌舞伎や能、狂言など、日本の伝統芸能の奥深さにもいつも感心しているそう。

「お座敷で舞う踊りをひとつとっても、指先の動き一つにまで意味があるんどす。例えば、遠くの月を見ている様子を表現するときの目線や首の角度、手の傾け方なども細かく決まっていたり。外国のダンスとは全然違いますやろ」。

芸舞妓という日本の文化を世界に発信

お辞儀をする富津愈さん

富津愈さんの活躍は京都のみならず、京都の観光PRとして、過去にはフランスやニュージーランド、ドバイなどへ海外出張に行ったこともあるそう。

「これからも京都のよさを世界の人に知ってもらう活動をしたいと思てます。また、芸舞妓への間違った認識も正していきたいし。例えば、外国人のお客さんの中には『昼間は学生してるの?』、『ほかに仕事を持っているんでしょ』と、聞く方がいはるんどす。日本人のお客さんでも、舞妓は写真を撮ったり、お酌をするだけの存在と思っている方が多いんです。そやけど、芸舞妓は日々、舞や唄、三味線のお稽古を積み、伝統技芸を受け継いでいますし、日本の方にも、外国の方にも、自分の言葉で芸妓文化を伝えていきたいどす。」

富津愈さん
富津愈
舞妓
(とみつゆ)1997年、京都市生まれ。京都に5つある花街の一つ、祗園東の置屋「富菊」所属の舞妓。中学時代はニュージーランドに留学し、帰国後、約1年の仕込み(舞妓修業)を終えて、2013年夏に、見世出し(舞妓デビュー)を果たす。京都の花街では初となるバイリンガル舞妓として注目を浴びている。
祇園東 お茶屋「富菊」

連載「彼女たちの三都物語」

<Series.1>N.Y.のカメラマンから、京都の老舗蕎麦店の16代目当主に

この記事の執筆者
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Precious.jp編集部 
2017.7.9 更新
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クレジット :
文/天野準子 撮影/竹田俊吾