1842年に28年の歳月をかけて完結してから200年近くの時を超え、今なお漫画やアニメ、映画、舞台、歌舞伎と多彩なジャンルで二次創作が行われている『南総里見八犬伝』。最新の技術を駆使して実写映画化した本作『八犬伝』は、里見家の呪いを解くために、八つの珠に引き寄せられた八人の剣士たちの運命=【虚】の世界と、物語を生み出した滝沢馬琴の生活や創作への葛藤を映し出す=【実】の世界が交錯しながら、物語が展開します。作中の重要な歌舞伎シーンに三代目 尾上菊五郎役で出演している尾上右近さん。実力、人気ともに今最も期待される歌舞伎役者である右近さんの魅力を、一問一答で紐解きます。
【役者・尾上右近さんインタビューVol.1】血縁関係のある“三代目 尾上菊五郎”をいま演じることの、大きな意味
【役者・尾上右近さんインタビューVol.2】どんな海を渡ろうと、最後は“歌舞伎”に骨をうずめたい。
実力、人気ともに今最も期待される歌舞伎役者である右近さんへ、一問一答!
Q.さまざまな役柄を器用にこなす右近さん。自分らしさがいちばん活かせるのはどんな役?
「歌舞伎に限らずですが、エネルギーを発散する役だと思います。静かで大人しい表現よりも、動きが多くてエネルギッシュな役が好きです」
Q.演じるうえで常に心がけていることは?
「一振り一振りに気持ちや力を籠めるというのも大事だと思うんですが.…。僕は、目立とうという気持ちが大事かなと思います。クセを持たせたりちょっとみんなと違うことをやったり…。悪目立ちしないように、でも目立つように、と考えています。踊りもお芝居もですね。爪痕をちゃんと残そうという意識が常にある。実は引っ込み思案なので、そんな自分に発破をかける意味もあります」
Q.自分の中でこれは爪痕を残せたなという作品は?
「それこそ(六月博多座大歌舞伎)の『東海道四谷怪談』だったなと思います。何しろ4時間という超大作だったので。自分が物語の軸を担い続けるというか、三役演じましたので、ずっと舞台にでているし、自分が引っ張っていかないといけないなと感じました。自分の中にも爪痕が残りましたね」
Q.同世代の方たちと「これからの歌舞伎」についての話はしますか?
「話します。未来というか、今の歌舞伎の状態や自分たちの思い、お互いのことを常にやりとりしていますね。一カ月会わないと、相手が何を考えて何をやっているのかってわからなくなっちゃうので。プライベートでご飯に行ったり、家に来てもらったりもします」
Q.同世代をライバル視することは?
「正直あまりないかな。特に一緒の作品に関わっているときはないです。それよりも、フライヤーが出て、“あ、あいつこれやるんだ、いいな~”とかは思ったりします。代わりに自分がオファーもらったらよっしゃーってなります」
Q.自分の体の中で「好きなパーツ」はどこですか?
「う~ん、後頭部ですかね。いわゆる“絶壁”じゃないところ」
Q.息抜きしたいときにすることは?
「直近の自分が出演する作品に関係のない歌舞伎をみる。歌舞伎の息抜きに、歌舞伎を見るんです(笑)。面白いですよね。お好み焼きをおかずに、ご飯を食べるみたいな感覚かな(!?)」
■Information■ 映画『八犬伝』10月25日(金)ロードショー
里見家の呪いを解くため、八つの珠に引き寄せられた八人の剣士の運命をダイナミックなVFXで描く「八犬伝パート【虚】」とその物語を生み出す作家・滝沢馬琴と浮世絵師・葛飾北斎の奇妙な友情を通じて描かれる「創作パート【実】」が交錯する新たな『八犬伝』。物語を生み出す苦悩と葛藤と共に作者の目線で描かれる『八犬伝』は、未だかつてない映画体験へと導いてくれる。
原作:山田風太郎『八犬伝 上・下』(角川文庫刊)
監督・脚本:曽利文彦
製作総指揮:木下直哉
出演:役所広司、内野聖陽、土屋太鳳、栗山千明、中村獅童、尾上右近、磯村勇斗、大貫勇輔、立川談春、黒木 華、寺島しのぶ
製作:木下グループ
制作:unfilm
配給:キノフィルムズ
公式サイト / 公式X / 公式Instagram
(C)2024『八犬伝』FILM PARTNERS.
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- 葛川栄蔵(hannah)
- STYLIST :
- 三島和也(Tatanca)
- HAIR MAKE :
- 白石義人(ima.)
- WRITING :
- 大椙麻未
- EDIT :
- 福本絵里香