足元のおしゃれとしてサンダルを履く機会が増える時期ですが、一方で、素足で履くサンダルは、靴擦れが起きやすい悩みも。そこで今回は、設立53周年を迎えるシューフィッター養成認定機関「一般社団法人 足と靴と健康協議会(FHA)」の事務局長で上級シューフィッターの木村克敏さんに取材。

木村さんによると、気軽に選びがちなサンダルこそ、足にしっかり合っていないと靴擦れしやすくなってしまうのだとか。靴擦れしにくいサンダルの選び方のポイントや靴擦れしにくくなる対策方法、そして靴擦れした場合の対処方法を教えていただきました。

正しいサイズの測り方は?まずは自分の足を知る

まずは自分の足のサイズとタイプを知りましょう
まずは自分の足のサイズとタイプを知りましょう

木村さんは「サンダル選びで最も大切なのは自分のサイズに合ったものを選ぶこと」だといいます。

「足に合ったものを選ぶには、まずはご自分の足について知ることです。普段、購入するときに●●cmというサイズを規準にされていると思いますが、それは『足長』という縦の長さをいいます。それ以外にも測る寸法や知っておくポイントがあるのです」(木村さん)

そこで、正しく足のサイズを測るポイントを教えていただきました。

■1:「足長」と「足囲」を測る

靴を選ぶときに必要なのが「足長」と「足囲(そくい)」の寸法です。どちらも把握することで、靴の長さだけでなく幅や甲の高さの目安になります。自分でも測れるので、ある程度正しい寸法を知っておきましょう。

・足長(かかとから一番長い指までの寸法)の測り方
定規を壁と垂直に床に置き、上に足を乗せ、一番長い指の長さをチェック

・足囲(足の一番幅のある部分の太さ)の測り方
親指の付け根と小指の付け根一番出張っている部分を通るように紐などを一周巻いて、その長さを測る。そのとき、しゃがむようにして足に体重がかかっている状態で測るとよい

「足長」と「足囲」どちらも測りましょう
「足長」と「足囲」どちらも測りましょう

足は左右で大きさが違うこともあるので、必ず両足とも測りましょう。

■2:つま先の形を知る

靴との相性を見るにはつま先の形を知ることも大切です。3つのタイプがあるので、ご自身の足を上から見て当てはめてみてください。

・スクエア型:親指から中指までがほぼ同じ長さ。靴を合わせるのが難しいタイプ
・ギリシャ型:人差し指が一番長い。いろいろな靴に合わせやすいタイプ
・エジプト型:親指が一番長い。日本人に最も多いタイプ

左からスクエア型、ギリシャ型、エジプト型
左からスクエア型、ギリシャ型、エジプト型

例えば、スクエア型やエジプト型の方は、先のとがったデザインよりも丸みのあるタイプの靴を選ぶとよいことがわかります。

「寸法は合っているはずなのにイマイチしっくりこない……」と思ったら、つま先の形が合っていない可能性があります。足の形に合ったデザインを選びましょう。

フィットしたサンダルとは?サンダルを合わせるときのポイント

自分の足のサイズを把握したところで、いよいよサンダル選びです。木村さんによると、サンダルならではの注意点があるとのこと。そのポイントを教えていただきました。

足に合ったサンダル選びのポイントを見ていきましょう(画像:FHA公式webサイトより)
足に合ったサンダル選びのポイントを見ていきましょう(画像:FHA公式webサイトより

■1:つま先に5mmほどの余裕がある

サンダルがパンプスなどのほかの靴と大きく異なるのは、つま先やかかとなど肌が露出していること。特につま先が靴よりも前に出てしまっていると、怪我をしてしまいやすく危険です。

足先はジャストから5mmほど余裕があるのが丁度いいサイズの目安。足に合わせるだけではなく、両足とも履いて少し歩いてみて足が前に滑ってこないものを選びましょう。

指がサンダルより前に出てしまっている場合は、全体にサイズが大きすぎて足が前滑りしてしまっている可能性があります。前滑りしやすいときは、サンダルのサイズを1つ下げてみましょう。

■2:かかとは2〜3mm出るくらい

かかとはジャストサイズか、2〜3mm出ているくらいがベスト。はみだし過ぎていては危ないですが、サンダルが大きすぎるのもよくありません。中底面全体に足裏が密着している状態が理想です。

■3:土踏まずと靴の曲線がぴったり合っている

足と中底面のカーブが合っていないと、歩くときに靴底の曲がる部分が足とずれてしまい、歩行に支障をきたしてしまいます。必ず、試着時に少し歩いて中底面が足にフィットしているか確認しましょう。

また、靴底が厚いサンダルは靴底が歩行に合わせて曲がりません。この場合は、足を踏み出すときにつま先で押し出せるよう、つま先に少し反り返りがあるサンダルを選んでください。

タイプ別の特徴と靴擦れの注意点

さまざまなデザインのあるサンダルは、タイプごとに特徴が異なります
さまざまなデザインのあるサンダルは、タイプごとに特徴が異なります

サンダルはさまざまなタイプがあり、材質やベルトの形でだいぶ雰囲気も違ってきます。タイプによっては靴擦れの注意点も変わります。そこで、そのポイントを種類ごとに確認しましょう。

■1:バックストラップのあるタイプ

ドレッシーな服装やフォーマルな場に合わせやすいストラップのあるタイプ
ドレッシーな服装やフォーマルな場に合わせやすいストラップのあるタイプ

紐やベルトのバックストラップ(またはアンクルストラップ)で足首やかかとを固定できるもの。このタイプは、前滑りしにくく安定感があります。

選ぶときのポイントは、ストラップがフィットしているかどうか。きつ過ぎると歩いたときに足首が痛くなってしまいます。逆に緩ければ、足首を固定できずストラップの意味が半減してしまいます。ストラップが足の後ろにしっかりフィットし、歩いても痛くないものを選びましょう。

バックルでストラップの長さを調節できる形のものは、調節穴が3つあるものが多いです。この場合は、中央の調整穴でストラップがフィットするのが、丁度いいサイズの目安です。 

■2:スライドタイプ

ちょっとした外出に気軽に履きやすいタイプ
ちょっとした外出に気軽に履きやすいタイプ

バックストラップがなく、足を入れるだけで履けるタイプ。気軽に履けるのが特徴です。

注意したいのは、大きすぎる場合でも楽に足が入ってしまうこと。そのため、サイズを気にしないで買ってしまう方が多いようです。

しかし、木村さんによるとこのタイプこそサイズが合っていないと歩きにくく靴擦れしやすいそう。「つま先に5mmのゆとり、かかとは3mm出る、土踏まずのカーブが合っている」という基本のポイントが合っているか、必ず確認しましょう。

■3:トングタイプ

ビーチやプールサイドなどで履くことも多いタイプ
ビーチやプールサイドなどで履くことも多いタイプ

草履やビーチサンダルのように鼻緒があるタイプ。スライドタイプと同じく、バックストラップがないので気軽に履きやすいデザインです。

トングタイプもスライドタイプと同様に、サイズが合っていないと靴擦れしやすくなります。また、鼻緒部分が肌の弱い指の間で擦れやすいのもトングタイプの靴擦れの要因。サイズの合ったものを選び、慣れるまでは長時間の利用は避けると靴擦れしにくいそうです。

靴擦れしにくくするには?履く前におさえておきたい靴擦れ予防ポイント

靴擦れは、ちょっとした工夫で軽減することも
靴擦れは、ちょっとした工夫で軽減することも

サンダルは素肌が直接紐やベルトに触れて擦れるため、たとえサイズが合っていても靴擦れしやすいこともあります。そこで、靴擦れを軽減するちょっとした工夫をご紹介します。

■1:買う前に必ず試し履きをする

サンダルに限らず、靴は必ず試し履きをしてから買いましょう。その際、両足を履いて歩いてみてください。「いつもと同じメーカーだから大丈夫」と試し履きをせずに購入される方もいますが、同じメーカーでもデザインが違えば足に当たる場所も変わります。

サンダルは履いたときでも足が見えるので自分でも状態がわかりやすいはず。ベルトや紐の縁が当たっていないか、よく観察してみましょう。

■2:新しい靴は慣らし履きをする

木村さんによると、新しい靴はいきなり長時間履かないで、1回目は20~30分、2回目は数時間、3回目は1日、というように徐々に履き慣らしていくといいそう。また、素材によっては馴染んでくると全体がやわらかくなってきますが、合成皮革は伸びにくいので、買うときにどのような素材が使われているかチェックしましょう。

■3:シリコン製の滑り止めを使う

足が前滑りするのを予防し、中底面の清潔さも保てるシリコン製の滑り止め
足が前滑りするのを予防し、中底面の清潔さも保てるシリコン製の滑り止め

足がサンダルの中で前滑りしてしまう場合は、シリコンのインソールを貼ると滑りを防止できます。シリコンなので洗うこともでき、清潔に保てるのもうれしいポイントです。

サイズ調整のためにシリコンの滑り止めをストラップの内側(かかと)につけるタイプもありますが、足を前に押し出してしまいつま先が靴から出やすくなります。そのため、足先のインソールタイプのものがおすすめなのだそう。

また、トングタイプのサンダル向けに、鼻緒にはめるタイプのカバーもあります。指の間が擦れるのをおさえ、痛みを軽減できます。

もしも靴擦れしてしまったら?靴擦れの対処法

サイズの合うサンダルを選び靴擦れ予防をしても、長時間歩いたり走ったりすると「やっぱり靴擦れしちゃった」「これ以上歩いたらきっと痛くなりそう……」ということもあります。そんなときは、できるだけ早く擦れたところに絆創膏を貼りましょう。

「少し当たって痛いな」と思った段階で、早めに絆創膏を
「少し当たって痛いな」と思った段階で、早めに絆創膏を

絆創膏は面積が大きいほうがベストですが、一般的なサイズのものしかない場合は、クロスして貼ると剥がれにくくなります。

クロスすると動きや擦れに対して強くなり、外れにくくなります
クロスすると動きや擦れに対して強くなり、外れにくくなります

サンダルの匂いを抑えるお手入れ方法

靴擦れと同じく気になるのが「匂い」です。木村さんに匂いを抑えてサンダルを気持ちよく履くための靴のお手入れ方法を伺いました。サンダル以外の靴にも有効なので、日ごろ履いているパンプスやスニーカーでも試してみてください。

■1:使用後に消臭スプレーをかけて陰干しをする

靴が匂う主な原因は、靴の中底面にしみた汗が乾ききらずに残り、そこに雑菌が繁殖すること。なんと、人は1日で足の裏からコップ一杯の汗をかくのだとか!

そこで、まず消臭スプレーをかけてから陰干しでよく乾かすといいそう。そうすることで、雑菌の繁殖を抑えられます。このとき、日差しに当ててしまうと靴の素材が傷む可能性があるため、必ず風通しのいいところで陰干しにしましょう。

中底面への消臭スプレーの利用と陰干しは、どの靴にも効果的な匂いを抑えるお手入れ
中底面への消臭スプレーの利用と陰干しは、どの靴にも効果的な匂いを抑えるお手入れ

■2:毎日同じ靴を履かずに3〜4足をローテーションで履く

靴にしみた汗を乾かすためには、最低1日は干しておきたいところです。そこで、靴を十分乾かすためにも3~4足をローテーションで履くようにしましょう。木村さんいわく、特に雨の日に履いたら次の日は履かないようにするのがいいそう。ローテーションで履き回せば、靴を長持ちさせることにもつながります。

■3:中敷きを取り換える

サンダルは外側から砂やほこりが入るため、中底面が汚れやすいものです。そこで、1シーズン過ぎたら中敷きを取り換えましょう。中敷の取り換えは匂いを予防し、靴自体も長持ちします。


まとめ

【足のサイズの測り方 ポイント2つ】
■1:「足長」と「足囲」を測る
■2:つま先の形を知る

【サンダルを合わせるときのポイント3つ】
■1:つま先に5mmほどの余裕がある
■2:かかとは2〜3mm出るくらい
■3:土踏まずと靴の曲線がぴったり合っている

【履く前におさえておきたい靴擦れ予防ポイント3つ】
■1:買う前に必ず試し履きをする
■2:新しい靴は慣らし履きをする
■3:シリコン製の滑り止めを使う

【サンダルの匂いを抑えるお手入れ方法3つ】
■1:使用後に消臭スプレーをかけて陰干しをする
■2:毎日同じ靴を履かずに3〜4足をローテーションで履く
■3:中敷きを取り換える


自分の足を計測してピッタリ合う靴を一緒に探して欲しい方は、一度シューフィッターに相談してみてはいかがでしょうか? FHA認定のシューフィッターは全国に3,740名おり(2018年6月1日現在)、FHAのwebサイトで地域や取扱品目別に検索できます。

シューフィッターに足の計測や靴のフィッティングをお願いするときは、事前に予約をし、どのようなタイプの靴が欲しいのか伝えておくとスムーズです。

この夏は、足に合ったお気に入りのサンダルを気持ちよく履いて、お出かけを楽しんでください。

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この記事の執筆者
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WRITING :
加藤良子
EDIT :
廣瀬 翼(東京通信社)