30年間続いた「平成」のスポーツ史では、荒川静香(あらかわしずか)さんや高橋大輔(たかはしだいすけ)選手など、日本をフィギュアスケート大国へと押し上げた「氷上スター」が次々と誕生し、彼らの数々の名演技に胸を熱くした人も多いはず。

そこで、「Precious.jp」では、記憶に残る「平成の氷上スター」たちを大特集。vol.3の浅田真央さんに続き、最後にご紹介するのは、2014年ソチオリンピック・2018年平昌オリンピックと2連覇を果たした羽生結弦(はにゅうゆづる)選手です。

フィギュアスケーターとして多くの世界記録を塗り替え、今なお進化し続ける羽生選手の軌跡を振り返ります!

五輪チャンピオンになる夢を抱き、仙台から世界へ

ロシアの「皇帝」プルシェンコに憧れた少年時代

2009年 世界ジュニア選手権の表彰式にて中村健人選手、宇野昌磨選手と 写真:アフロスポーツ

1994年12月7日生まれの羽生選手は、宮城県仙台市出身。スケート教室に通い始めた姉の影響で、4歳からスケートを始めます。持病である喘息を克服するのも目的のひとつだったそう。2002年ソルトレイクシティ五輪でのエフゲニー・プルシェンコさんの演技に憧れ、スケーティングはもちろん、その髪型まで真似した時期も。2010年開催の世界ジュニア選手権では、日本人男子としては4人目の世界ジュニアチャンピオンになりました。

シニアデビュー後に、待ち受けていた大きな試練

四大陸選手権でプルシェンコの得意技でもあるビールマンスピンを披露 写真:AP/アフロ

2010年 世界ジュニア選手権での優勝を経て、2010-2011シーズンよりシニアへ。2011年の四大陸選手権ではショート・フリーともに自己ベストを更新する演技で、銀メダルを獲得。男子選手として史上最年少のメダリストとなります。しかし翌3月に東日本大震災が発生。仙台のホームリンクも被災し、練習拠点を失います。その後、復興支援のためのアイスショーなどに出演し、各地を転々としながらスケートを続けました。

「スーパースター誕生」の瞬間に、世界が驚いた

2012年、ニースで開催された世界選手権でロミオを熱演 写真:アフロ

2012年、初出場の世界選手権で銅メダルを獲得。フリー『ロミオ+ジュリエット』の鬼気迫る演技には、元世界チャンピオンのカート・ブラウニングさんも「スーパースターの誕生だ」と語ったほど。その後、練習拠点をカナダ・トロントに移し、ブライアン・オーサーコーチに師事します。4回転ジャンパーのハビエル・フェルナンデス選手とはリンクメイトとなり、切磋琢磨する仲に。同年の全日本選手権では初優勝を果たしました。

初の五輪でアジア人男子初の金メダルという快挙

ソチ五輪の表彰式で念願の金メダルを掲げて 写真:AP/アフロ

2014年、ソチ五輪のショートプログラム『パリの散歩道』で世界最高得点かつ史上初の100点超えを達成。また男子シングルの金メダリストとしては、1948年 サンモリッツ五輪を制したディック・バトンさんに次ぐ、史上2番目の年少記録となりました。さらに翌月開催された世界選手権のフリーでは、国際スケート連盟(ISU)公認大会で自身初の4回転サルコウを成功させ、逆転優勝を果たします。

■怪我を乗り越え、GPファイナルを史上初4連覇!

2016年 グランプリファイナルのショートプログラム『Let's Go Crazy』 写真:長田洋平/アフロスポーツ

2016年の世界選手権では同門のフェルナンデス選手に逆転され、銀メダルに。その後、左足甲の怪我のリハビリを経て、2016-2017シーズン初戦であるオータムクラシックに出場。ショートプログラム『Let's Go Crazy』で、ISU公認大会史上初となる4回転ループを成功させます。さらに4連覇をかけたグランプリ(GP)ファイナルでは、スピン・ステップのすべてで最高評価のレベル4を獲得し、大会を制しました。

挑み続ける王者と、進化し続けるスケーティング

■66年ぶりの五輪連覇! 最年少で国民栄誉賞を受賞

平昌五輪のフリー『SEIMEI』でのハイドロブレーディング 写真:YUTAKA/アフロスポーツ

2017-2018シーズン、映画『陰陽師』のサウンドトラックを用いたフリー『SEIMEI』で、和の表現に挑戦。右足関節外側靱帯損傷により約4ヶ月ぶりの復帰戦となった平昌五輪では、ソチ五輪に続き金メダルを獲得します。その後、故郷・仙台で開催された凱旋祝賀パレードには、なんと約10万8000人が集結。また、個人として最年少の受賞となった国民栄誉賞の授与式には、仙台の伝統織物のはかま姿で臨み、注目を集めました。

自らの「原点」に立ち戻ったプログラムで300点超え

衣装までもプルシェンコにオマージュを捧げた2019年 世界選手権での『Origin』 写真:アフロ

2018-2019シーズンは、幼少期に憧れたプルシェンコさんのプログラム『ニジンスキーに捧ぐ』をアレンジした『Origin』をフリーに選び、「原点回帰」を新たな目標に掲げます。平昌五輪後からルール変更による新採点方式が導入されましたが、世界選手権では300点を超えるトータルスコアを叩き出し、パーソナルベストを更新。惜しくも優勝は逃しましたが、ネイサン・チェン選手との熱闘に大きな拍手が送られました。

人類初の4回転アクセルを目指してさらなる飛躍を

ふたつ目となるフィギュアスケート モニュメントの除幕式で 写真:坂本 清/アフロ

今年4月、日本フィギュアの発祥地とされる仙台・五色沼に、羽生選手の活躍と功績を顕彰するための新たなフィギュアスケート モニュメントが完成しました。平昌五輪で披露したプログラム『SEIMEI』のポーズをもとにしたデザインには本人も満足げな表情。次のシーズンに向けては「武器を作って、令和に向けて頑張っていきたい」と、4回転アクセルへの挑戦に言及。平成に多くの伝説を刻んだ羽生選手の闘いはこれからも続きます。

世界記録を何度も更新し、男子フィギュアの戦国時代を築き上げた羽生選手。一流アスリートとしてのストイックな姿勢はもちろん、くまのプーさんを愛するあどけない表情も魅力のひとつ。演技が終わるたびにリンクに投げ込まれるぬいぐるみの山は、もはやスケート界の風物詩となっています。

また、平昌五輪後の凱旋祝賀パレードの余剰金2200万円を宮城県スケート連盟に寄付し、選手の強化・育成を支援したほか、ホームリンクであった「アイスリンク仙台」に多額の寄付を続けていることも有名。令和の時代には、羽生選手に続く新たなスター選手が生まれていくかもしれませんね。

「Precious.jp」では、強く美しく戦うフィギュアスケーターたちを応援すべく、今後もさまざまな情報を発信していきます。どうぞご期待ください!

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この記事の執筆者
TEXT :
Precious.jp編集部 
2019.5.6 更新
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WRITING :
Fuyuko Tsuji