オフタイムの充実は、リセット力とその先の未来を見据える視点が鍵

先に公開された【キャリア編 Part1】【キャリア編 Part2】では、責任の重さやプレッシャーを仕事の面白さに変えていきたいとポジティブに語っていた、キユーピー上席執行役員 新規市場開発担当の藤原かおりさん。

新規事業「フレッシュストックᵀᴹ」のトップとして、需要がまだ見込めないなかでも売上目標何十億円という目標を掲げ、あらゆる意思決定を背負う日々。サクセスとストレスが背中合わせのなかで、プレッシャーをパワーに変えていく藤原さんの心と身体のメンテナンス法とは? 仕事以外の気になるあれこれをお聞きしましょう。 

藤原かおりさん
キユーピー株式会社 上席執行役員 新規市場開発担当
(ふじわら かおり)1974年埼玉県生まれ。1997年慶應義塾大学法学部を卒業後、旭硝子に入社。新商材のビジネスデベロップメント業務に従事。2001年にマッキャンエリクソンに転職し、広告のストラテジックプランナーとしてBtoCマーケティングに携わる。その後、電通の契約社員を経て2007年にダノンウォーターズオブジャパンへ入社し、「ボルヴィック」のブランドマネージャー職に従事。2011年カルビーに転職。2012年から「フルグラ」のマーケティングに従事し、「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2016」ベストマーケッター賞を受賞。2017年よりカルビー執行役員 フルグラ事業本部長を務める。2020年3月より現職。

キユーピー上席執行役員・藤原かおりさんへ10の質問

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イタリア・シチリア島にある天空の街エリチェで、バカンスを過ごす藤原さん

──Q1:暮らしている街の環境とは?

自然や緑を少しでも身近に感じられるように、世田谷区の公園の近くで暮らしています。生活に根ざした、静かな環境を好んでいます。

──Q2:モーニングルーティンは?

朝ヨガです。5分〜10分程度の短いエクササイズですが、テレワークの日も出社する日も、ヨガで1日をスタートします。

職業柄、朝食には卵メニューや野菜を取り入れるように心がけていますね。もちろんフルグラも(笑)。

キャリアと人生を見つめ直す相棒。仕事も休暇も「手帳」が必需品!

──Q3:よりよいパフォーマンスを引き出すための生活習慣とは?

商談時や長距離移動中、ホリデー中でさえ、手帳がないと落ち着きません。オンオフ問わずの習慣ですが、考えごとをするときはいつも手帳を開いて「文字を書く」タイプ。

たとえアイデアが何も浮かばなくても、「なぜ○○なのだろうか?」のように独り言を書き込む。受験勉強も手を動かすことで覚え、能率アップさせる方でした(笑)。

文房具_1,手帳_1,小物_1,インタビュー_2,キャリア_2
愛用しているシステム手帳はイギリスの老舗スマイソンのもの

なりたい自分をいつでも再認識できるよう、手帳の後半ページには目標とする「将来の抱負」を記録し、年をまたいで残しています。そうしてキャリアを考える際に見返す。「家族を大事にする」という抱負を目にして、実家訪問の予定を立てることも。

スマホにメモしても見返さないし頭に入りませんが、実際に手帳が手元にあると、長い時間軸で物事を俯瞰できます。

社長からの提言なども、ディテールまで思い出せるように詳しく記録しています。仕事以外のもの、たとえば欲しいジュエリーなども、イラストとともにできるだけ具体的に書き残します

手帳には、プリントアウトした自分の「強み」に関する自己分析結果も挟み込んで持ち歩いています。キャリアデザインのためだけでなく、手帳は人生のマストアイテムそのもの。

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オンライン記者発表時にも、キユーピー長南社長の隣でペンを手にしてメモを取る姿が

スイッチオフは不可欠。晩酌&食事で自分を取り戻す

──Q4:ワークライフバランスの取り方とは?

毎日のリセットが大切。仕事を終えたら、自宅で晩酌して気分転換を。どんなに嫌なことがあっても、翌日には持ち越しません。オンオフのスイッチははっきりと、晩酌のあと仕事は絶対しません。緊急時でない限り、夜はスマホで仕事メールもしません。

ちなみにワイン派です。旬野菜と旬のお刺身にスパークリングワインを、その後お肉料理に赤ワインを合わせることが多いです。また、開発中の商品を自宅で試食することも。「フレッシュストックᵀᴹ」事業で販売中の殻なしの「ゆでたまご」をつぶし、マヨネーズと野菜と混ぜて、フランスパンやクラッカーに乗せて食べるのがマイブームです。

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「フレッシュストックᵀᴹ」事業で展開中の「ゆでたまご」。殻が剥いてあるのでそのままパクっと食べられ、2週間冷蔵保存でき多忙な日々の味方

キユーピーがドレッシング以外にも、野菜をおいしく食べるための調味料やソースを「キユーピー3分クッキング」ブランドから豊富に出しているので、ゆで野菜と和える、オイルソースで炒めるなど、野菜料理のレパートリーが増えました。

──Q5:趣味や最近凝っていることとは?

コロナ禍でベランダガーデニングを始めました。以前からフラワーアレンジメントを習っていたのですが、今は花々を愛でる時間がもっと増えました。花を絶やさずに飾ったり、部屋の中にグリーンを置いたりと、自然との触れ合いを意識しています。

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山野草をはじめ自然味あふれる植物たちをベランダでガーデニング
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自宅のリビングには四季折々の花々を飾って。右はみずみずしいグリーンで仕立てたクリスマスリース

──Q6:休暇の過ごし方は?

年に一度はリフレッシュ休暇を。例年は9月ごろ、主にヨーロッパ方面へ1週間ほどバカンスに出かけていました。

お気に入りの旅先はイタリア・シチリア島。大自然とノスタルジックさ、海と山の歴史ある食文化に惹かれます。なかでも印象深いのは、ジブリ作品の『天空の城、ラピュタ』の舞台になったと言われる、雲上にそびえる中世の街エリチェ。

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シチリア・エリチェ。天空にそびえるノルマン城を望む、忘れられない風景
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情緒漂う石畳と宝石のような海で名高い、シチリア・ファビニャーナ島にて

withコロナ時代に「食」と「住」環境を再考中

──Q7:コロナ禍ではじめた新しい生活様式とは?

コロナで自宅時間ができたので、今さらですが料理を本格化。気になりつつもこれまで手を出していなかった調理家電、「バーミキュラ ライスポッド」と「バーミックス」を購入しました。料理研究家の有元葉子さん、高山なおみさんのレシピのファンです。

──Q8:コロナ禍に得た気づき、新たな目標とは?

キユーピーでは働き方改革を推進しています。仮に日本社会全体がテレワーク中心になったとしたら、必ずしも東京に暮らす必要はないのではないかと。衣食住の「住」の要素を長期的に見つめ直したいと思っています。

──Q9:最近読んだなかで、印象深い本とは?

ウォルト・ディズニー・カンパニー会長・前CEOのロバート・アイガー氏の自伝、『ディズニーCEOが実践する10の法則』は、成功哲学を読み解くビジネス書として興味深かったです。

それから、『フードテック革命 世界700兆円の新産業「食」の進化と再定義』。日本にいると海外の進んだフードビジネス新事情をひとまとまりに得ることが難しいのですが、この本は情報密度が濃くまとまっている。海外に比べ、日本では食のテック化が遅れているのだと実感しました。

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Kindleで読書することが多いが、自宅には週末に読もうとストックしている食&ビジネス書籍がずらり

──Q10:勇気をくれるお守りのようなアイテムとは?

数年前に亡くなった母から譲り受けた大切なジュエリー。なかでも、華やかなアコヤ真珠のネックレスは、ここぞという時に身につけています。新規事業「フレッシュストックᵀᴹ」の記者発表時にも首元に飾り、母が見守ってくれているように感じました。

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お守りジュエリーは母から譲り受けたパールネックレス。腕元にはカルティエの「パシャ」ウォッチを。凛とした印象を放った新規事業の記者発表時

以上、キユーピー上席執行役員 新規市場開発担当の藤原かおりさんに、ライフスタイルにまつわるインタビューをお届けしました。オンでもオフでも、藤原さんのポジティブで潔い思考や視点には、女性エグゼクティブに限らず、現代を生きるすべての女性たちにも通じるヒントが垣間見えました。

「なりたい自分」に向かって一歩を踏み出す「勇気」の尊さを、藤原さんの言葉が教えてくれたような気がします。

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この記事の執筆者
1974年東京生まれ。「MISS」「家庭画報」「VOGUE NIPPON」「Harper’s BAZAAR日本版」編集部勤務を経て、2010年に渡独。得意ジャンルはファッション、ジュエリー&ウォッチ、ライフスタイル、犬、ラグジュアリー全般。現在はドイツ・ケルンを拠点に、モード誌や時計&ジュエリー専門誌、Web、広告などで活動中。
EDIT :
谷 花生