お酒の席が増えると、ついつい食べ過ぎたり飲み過ぎたりで、気づくと体重が増えているという方も多いのではないでしょうか。うっかり太らないためにも、太りにくいお酒の楽しみ方を意識してみませんか?

今回は、ソムリエの資格を持ち、ダイエットやエイジングにも詳しい、ララクリニック総院長の青木 晃先生に、太りにくいお酒の楽しみ方を伺いました。

カロリー制限でもない!糖質カットでもない!
食べ方次第で血糖値上昇を防げる「食べ順ダイエット」を知っていますか?

食べたいものを我慢したり、食べる量を減らすのは続けるのが難しい!
食べたいものを我慢したり、食べる量を減らすのは続けるのが難しい!

どんな食事をしても、食後は血糖値が上昇しますが、食後に血糖値が急激に上昇してしまうと、大量のインスリンが分泌され、脂肪細胞にインスリンが働き、余分な糖を脂肪として貯め込んでしまいます。この脂肪を溜め込みやすい状態が、「太る」ことにも繋がってしまうのです。

血糖値を急激に上げすぎなければ、ダイエットにも繋がります。ダイエットに繋がる食べ方、飲み方に必要なことは、「血糖値の急上昇を防ぐ」「(食後の)血糖値の急降下を防ぐ」ことなのです。

血糖値の急上昇・急降下を防ぐためには?

糖質制限ダイエットが効果的といわれる理由は、「糖質が脂肪になりやすい」という性質から。しかし、我々の体は、炭水化物・ビタミン・ミネラルなどのさまざまな栄養素を摂取することで、健康を維持するようにできているため、糖質も健康維持には大切な栄養素です。

最近流行りの糖質カットダイエットは、体重も減り、効果的なダイエットではありますが、その後にはリバウンドが待ち構えています。何かの栄養素を制限してダイエットを行うのは危険が伴いますので、注意してください。

そこで提案したいのが、カロリー制限や糖質制限などをせずに、血糖値を上げない「食べ順ダイエット」です。これなら続けられるし、リバウンドもありません。ぜひ習慣にして、健康な体を維持しましょう。

血糖値の急上昇を防ぐ「おつまみの食べ方」はプロテインファースト!

おつまみは、食物繊維やタンパク質を意識して炭水化物よりも先に食べましょう。
おつまみは、食物繊維やタンパク質を意識して炭水化物よりも先に食べましょう。

空腹の状態で、突然炭水化物(糖質)から摂ると、インスリンが大量に分泌され、糖質を脂肪に変えて体に蓄積しようとしてしまいます。空腹時は特に血糖値が上がりやすい状態ですので、まずはプロテイン(タンパク質)を摂るようにしましょう。枝豆や豆腐、お刺身や煮魚、焼き鳥など、豆類、肉・魚類、卵などのプロテイン(タンパク質)は、ぜひ炭水化物の前に摂っておいてください。炭水化物を食べた時の血糖値の急上昇を防ぐだけでなく、食後の血糖値の急降下も防いでくれます。

続いては、血糖値を上げにくい低糖質のお酒をランキングでご紹介します。

血糖値が上がりにくい低糖質お酒ランキングBest5

5位…梅酒

梅酒はカロリーが高いだけでなく、糖質もビールと比べて約6倍と、かなり飲み方には工夫が必要なアルコールです。飲みやすいので、ゴクゴクと大量に飲んでしまいがちですが、ダイエットを意識したい方は、チェイサーを交えながら飲み過ぎないように注意しましょう。

3・4位…日本酒・ビール

ビールにも日本酒にも糖質が多く含まれています。飲んだ場合は、飲まなかったときと比べると、飲食中血糖値は高い状態が続いてしまうので注意しましょう。日本酒をゴクゴク飲んでしまうという方は少ないと思いますが、ビールはついつい量が増えてしまうという方は多いと思います。

ビールが好きな方は、ノンアルコールビールやオールフリービールに変える方も多いとは思いますが、ノンアルコールビールの場合は、飲み始めてからの血糖値の急上昇や、終了後の急降下はありませんが、酔わない分、どんどん飲み続けてしまうことで、血糖値が上がり続けてしまうという実験結果も出ています。

また、ノンアルコールビールやオールフリービールは、味を整えるために、人工甘味料、調味料、着色料、酸化防止剤などが加わっているものが多くあり、実は健康にあまり良くないという見方もあります。ビールを飲むのであれば、こういった人工的なものではなく、普通のビールを加減しておいしく飲んだほうが良いのです。

ビール好きの方は、飲むペースに気をつけ、はじめから1杯だけにすると決めてしまうのもひとつの方法です。

2位…ワイン

ワインはぶどうを発酵させる過程において、ぶどうの糖質がアルコールに変わる飲み物ですから、糖質が多いお酒であることは当然です。白ワインのように、甘口や辛口などに分かれるワインに関しては、糖質含有量が圧倒的に少ない辛口を選ぶようにしましょう。

1位…焼酎

焼酎の他に、ウイスキーやそれに炭酸を加えたハイボールなどの蒸留酒系は糖質を含みません。これらのアルコールは、米や麦を発酵させたお酒を蒸留してつくるので、糖質は含まれず血糖値を上げないお酒といえます。
血糖値が気になる方は、焼酎やウイスキー、ハイボールなどの蒸留酒を選ぶようにすると良いでしょう。

ただし、どんなお酒でもアルコールを摂取した後(終了後60分)に、血糖値は急降下してしまいます。この状態が、飲んだ後にラーメンやお茶漬けなどの糖質を摂りたくなる原因なのではないかと考えられています。飲んだ後に炭水化物を食べたくなる方は、おつまみにタンパク質を多く摂取して、なるべく血糖値が上がらないように工夫してみましょう。

デザートは必須?食後の血糖上昇を抑制するのはフルーツ!

ダイエットをしていると、食事や飲んだ後のデザートを我慢しているという方は少なくないのではないでしょうか。しかし、食事の後の血糖値上昇を抑制するためには、実は食後のデザートがいい働きをしてくれることもあります。

ただし、砂糖(ショ糖)たっぷりのケーキや焼き菓子などでは逆効果。おすすめはフルーツです。フルーツの中でも、食物繊維の多いフルーツ(特にバナナ、アボカド、キウイ、りんご)を選んで食べましょう。そうすることで、食後の血糖値上昇を抑えてくれ、ダイエットに繋がります。

しかし、果物には果糖が多く含まれており、ダイレクトには血糖値を上昇させませんが取りすぎると、中性脂肪が増え脂肪肝や内臓脂肪過多になることも。それに加え、体のタンパク質を糖化させる原因ともなりますので、食べ過ぎには注意が必要です。

太りにくいお酒の楽しみ方 ーまとめー

血糖値を急激に上げたり下げたりする状態を避けるためには、糖質の低いお酒を選ぶことと、おつまみの食べ順が重要です。乾杯をしたら、まずはお肉やお魚、豆腐などの豆類でプロテイン(タンパク質)を摂り、低糖質のお酒を選ぶことを意識しましょう。もちろん、一気飲みや一気食べも避けてください。

炭水化物は最後に食べるようにしますが、食べ順さえ守っていれば、血糖値の急上昇・急降下を避けることができます。また、食後のデザートも我慢せずに、果糖と食物繊維の多いキウイやりんごを食べると、さらに食後の血糖値を抑えるサポートをしてくれることがわかっていますので、どうしても食べたいという方はキウイやリンゴがおすすめです。

これらの食べ順を守ることで、飲んだ後のラーメンやお茶漬けが食べたい!という気持ちまでもが抑えられる可能性もあり、量やカロリーを気にしてストレスを貯めずにダイエットをすることができます。ぜひ、我慢する前に、食べ順を意識しながらお酒を楽しんでみてください。

青木 晃さん
医療法人社団友志会 ララクリニック総院長
(あおき あきら)元順天堂大学大学院加齢制御医学講座准教授、日本抗加齢医学会専門医、日本健康医療学会認定医、日本ソムリエ協会認定ソムリエ。著書:『40歳からのタイプ別ダイエット診断』(竹書房新書)、『いい睡眠があなたを10歳若くする』(青春出版社)、『一生若くいられる「都市型原人」という生き方』(マキノ出版)、『現役マラソン医師の走るとなぜいいか?』(新講社)など多数。ララクリニック

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この記事の執筆者
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