型は知っておいたほうがいい、ただそこに縛られるものではない

平成から、次の世へ。さまざまなニュースから時代の変革を感じる今日この頃。これまで「当たり前」だったことや「型」が次々と刷新されていく世相を目の当たりにし、これからの自身のあり方も考えることが、増えているのではないでしょうか。

歴史ある日本に受け継がれてきた文化や知恵や道具は、どのように次世代へとバトンタッチされていくのでしょうか? 今回は、中川政七商店の「日本人への日本文化の継承」に関する、素敵な取り組みについてご紹介します。

日本の伝統工芸や文化の中で用いられてきた、さまざまな「暮らしの道具」を現代に受け継ぐ中川政七商店グループから生まれた「茶論」は、敷居の高いイメージもある日本文化のひとつ「茶道」の間口を広げ、毎日の暮らしの中で自由に楽しまれてきた「本来のお茶の在り方」を現代に提唱するブランド。

ブランドディレクターには茶人・芳心会主宰の木村宗慎(きむら そうしん)氏が就任し、ほかにも多様な識者や文化人とともに、興味深い取り組みをスタートさせています。

お着物で茶室の畳に座して…というイメージを覆す斬新なアイディアに注目です。

2018年4月24日にオープンした一号店「奈良町店」は、中川政七商店の本拠地でもある奈良に、待望の二号店「日本橋店」は2018年9月25日にオープンした日本橋高島屋S.C.の新館内にあります。

【関連記事】茶道を気軽に楽しめる「茶論」が日本橋髙島屋S.C.にオープン!

オープン当初から注目されているのが、ネットから予約をして、初心者でもおひとりさまでもマイペースに茶道と触れあう機会のもてる「稽古」。これまでの「茶道」というと、流派や師範によってお作法や指導内容にどういう違いがあるのか、情報が得られる機会も少なく、せっかく学校の茶道部や教室に通っていた方でも、続けることが難しくてすっかり離れてしまった…という方も多いのではないでしょうか?

茶論の稽古には「これをやってはいけない」「こうでなくてはいけない」という堅苦しさはなく、生徒自身の興味とタイミングで学べるフラットさも特徴。おもてなしの「」や、礼儀作法・お点前などの「」、歴史やルールという「」をバランスよく吸収することで、「やってみたい」「続けたい」「おもてなしをしたい」という純粋な想いを、当たり前の愉しみにできる方法として、新たに提案されています。

開講から実際にお越しになっている生徒さんも、初心者を中心に昔習っていたという方も含め、20~60代の男女と実に幅広く、おひとりさまも多いそう。

実際にお茶の「体験稽古」を受けてきました!

「茶論 日本橋店」のエントランスをくぐり、カウンターにいるスタッフの方に「体験稽古に来ました」とお伝えすると、今日の講師を担当してくださる日本橋店店長・西さんが笑顔で迎えてくれました。

■1:はじめまして|服装自由、特に持ち物はナシ

広いテーブルで行われる「体験稽古」。

広いテーブルがある暖簾のかかったエリアへとお通しされ、荷物台に持ちものを置いて椅子に腰かけます。茶道教室に来たというよりも、はじめましての方と会食するような、お茶するような…不思議な気持ち。

稽古を受けるテーブルの近くには荷物台があります。服装は自由ですが、繊細な作りでできた茶道具を保護するために、身に着けている指輪やアクセサリー類は外します。

体験稽古はお茶の基本的な説明をダイジェストにした90分間の内容になっています。まずは、気持ちを落ち着かせるためにおもてなしされるのが、シソを浮かべた「香煎(こうせん)」というお白湯。生徒さんが全員集まり稽古が始まるまでの時をゆっくりと楽しみます。

■2:お点前、ちょうだいします|講師によるデモンストレーション

点前道具の揃った茶箱がテーブルに置かれると興味津々。

ほどなく稽古の開始時刻になると、講師が茶箱を持って暖簾をくぐりテーブルに着きます。先ほど迎え入れてくださった時の佇まいとはモードチェンジ。ひとつひとつ研ぎ澄まされた所作に、お稽古の始まりを感じます。

無駄のない所作でササッと取り回されていく様子が美しく…ついつい見とれてしまいました。

まずは、講師のお点前を拝見するデモンストレーションから。テーブルに置かれた茶箱から、ササっと支度をはじめると、ちいちゃな魔法の道具が飛び出てくるみたいでときめいてしまいます。一連の流れの中にあるひとつひとつ段取りは、なんだかおまじないをかけられているみたいで、見飽きることがありません。

稽古の本コースでも、毎回「季節のお菓子」と自身の点てたお茶をいただくパートがあります。

講師によるお点前は、奈良から取り寄せている「樫舎(かしや)」の季節の和菓子と共にいただきます。美しいとは、けして見た目の華美なことを指すのではなく、相手やその場に合わせる気配りや無駄のないシンプルなセレクトなのだなぁ…と実感。

菓子切りや懐紙の使い方はこれであっているのだろうか…なんて気にしなくても大丈夫。楽しい、美味しい、ホッとする…そんな気持ちの方が大切です。いわば「ティータイム」を生徒や講師と共にカジュアルなトークをしながら過ごします。毎回、どんなお菓子が登場するのかも楽しみですね。

■3:ご存知ですか?|茶道のイメージ、歴史をひも解く

知っているようで知らないことってあるものです。

お点前を終えたところで、次はスライドを用いた座学の時間。茶道の歴史や、お茶にまつわるエピソードを興味深く伺います。知っているようで知らないこと、新たな発見もたくさん。

型だけ、おもてなししたい心だけではなく、一歩深いところまで「知っている」方や知性の観点からみたお話は、たしかに説得力が違ってきます。

■4:イメージトレーニング|主道具、茶筅の扱い方

座学を終え、いざ実践…!その前に主道具でもある「茶筅(ちゃせん)」の扱い方についてのレクチャーがありました。

今回の講師、茶論 日本橋店店長の西さん。まずは抹茶やお湯を入れる前に、茶碗や茶筅の扱い方を学びます。
まるでそこに道具があるみたい…指先までピッとした気が伝わってきます。
正しい姿勢がわかると、そこまで力まずに点てられるように。

初めて扱う方も、扱いなれた方でも、どういう持ち方や点て方をすればいいのか「素振りで確認してみる」のは大切なことみたい。なにごとも奇跡を起こさない限り、準備や練習が肝心なのは、言うまでもないこと…。

■5:実際にお茶を点ててみましょう|茶碗に抹茶とお湯を入れ、茶筅で点てる

茶碗に抹茶とお湯を入れます。感覚的な中にも実は適切な量や温度があります。
稽古に用いられるのは、茶論オリジナル抹茶の「薄茶・白」。苦味と甘味のバランスがほどよいスタンダード。

抹茶の量、白湯の量や温度、点てる時間の長さによってお茶の味は変わってきます。計測すればブレの少ないレシピができあがるのかもしれませんが、どれくらいの量や温度がいいか、お好みの味に仕上げるには…。

ひとつのお茶を点てるために自分の感覚やアンテナを研ぎすませることが、おもてなしの感性をあげる最大のポイントなのかも。さて、いよいよ実際にお茶を点てますよ!

さきほど教わったことを思い出しながら茶筅でお茶を点てていきます。
手早く点てていくと、だんだんクリーミーな色味へ変化していきます。
きめ細やかで滑らかなお茶が出来上がりました。

初めての方は講師や生徒さんの見よう見まねでも大丈夫! 知ることができたのですから、経験はやっただけ身についていくもの。これを機会に茶道やお茶に関することをもっと知りたい、やってみたい、という方がどんどん増えていくといいなぁと思います。

■6:お点前はいかほど…?|自身の点てたお茶をいただきます

自身で点てたお茶をそれぞれいただきながら、体験稽古はこれにて終了。最後にコースの説明などを受けて解散となります。

お点前はいかほどでしょう。

初級コースは全6回の受講で「お茶を美味しく点てる」ことが目標。抹茶を中心に、煎茶、緑茶、ほうじ茶など日本茶全般を美味しく淹れる方法が学べるのもうれしいところ。

必要な道具は、教室が用意してくれますが…こうやって何度も何度も稽古を繰り返す中で愛着がわいてくると、自分だけのお稽古道具をそろえたくなってしまいますよね。一度自分なりの「型」ができてくると、どんどんステップアップしたくなるもの。稽古帰りに「見世」でいろんな道具に出合っていくのも、楽しみになりそうです!


「稽古」そのものも、一期一会

茶論の「稽古」は、お茶のことをもっと「知りたい」「やりたい」気持ちにそっと手を差し伸べ寄り添い、いい距離感で続けられる受講システムになっています。基本的なことが学べるコースと、特に興味のあることだけ学べる単科コースがあり、「体験稽古」や本コースの日程は、稽古の始まる2時間前まで予約可能。1回単位で学べたり、チケット制でネットから受講予約をして通えるお茶道教室って、なかなか新鮮!

木村宗慎氏により体系化された初級・中級・上級コースは全6回、それぞれの回にテーマが設けられていて、その時その時で集まる生徒のみなさん(最大8人)の顔ぶれも変わっていきます。お稽古そのものも一期一会、どのコースも最終回は「お茶会」がテーマ。学んだことの集大成が実践できて、初級から中級、中級から上級へとステップアップするたびに、ご自宅で家族や友人を招いての「おもてなし」の力量も上がっていくという仕組み。

詳しくは茶論ホームページでご確認を。2018年11月30日までは、体験稽古を受けた当日に初級コースへ申し込むと、入会金が無料になるキャンペーンも実施中です。


専門家や著名人を招いた「特別公開講座」が続々登場!

■10月20日(土)茶論 日本橋店|公開講座「竹と茶筅」谷村丹後氏(満員御礼)

特別公開講座の講師をつとめる茶筅師・谷村丹後氏。

さまざまなゲストを招いての特別公開講座も、今後順次開催される予定とのこと。近々の予定では10月20日に茶論 日本橋店にて、伝統ある奈良・高山の茶筅を現代に受け継ぐ茶筅師・谷村丹後氏が講師として登場します。すでに予約開始早々に満員御礼となっているとのこと。来月以降の講座にも期待が高まります。

茶道をテーマにした映画『日日是好日』とのタイアップも!

■10月10日(水)~茶論、中川政七商店|『日日是好日』展

(C)2018『日日是好日』製作委員会/出演:黒木華、樹木希林、多部未華子、監督:大森立嗣。2018年10月13日公開。

茶論2店舗および中川政七商店の一部店舗では現在、エッセイスト・森下典子さんの約25年の茶道教室通いの日々がつづられた人気の自伝『日日是好日-「お茶」が教えてくれた15のしあわせ-』が映画化された、2018年10月13日公開『日日是好日』とのタイアップ企画展も開催中です!

作品中には、黒木華の演じる主人公・典子が「茶道」のお稽古を通じて、人間として次第に成長を遂げていくストーリーが描かれています。もちろん茶道具、用語、お作法などが登場するシーンも多く、初めてのお茶の世界に触れる方でもわかりやすく、お稽古を続けている方にとっても新たな発見がみつかりそう!お茶の先生役・樹木希林さんの佇まいや台詞からは、なんとも言い表せない問いやシンプルな答えが伝えられているようで、何度も反芻しながら、ゆっくりとその意味について想い馳せたくなります。

「茶論別注」花ふきん 水屋用×『日日是好日』限定パッケージ(\700)/「茶論」オリジナル抹茶 左から「昔」「白」「碧」(各\2,500)

企画展が実施されている下記店舗では、茶論別注で抹茶色に染め上げられた水屋用花ふきん『日日是好日』限定パッケージや、映画のキャストをそれぞれイメージした、茶論オリジナル抹茶が販売されます。

開催期間/2018年10月10日(水)~終了日は後日あらためて告知予定
開催場所/茶論(日本橋店・奈良町店)、中川政七商店(東京本店・ルミネ新宿店・ルミネ立川店・GINZA SIX店・横浜タカシマ屋店・ルクア イーレ店)

ちなみに「」はスッキリとしたほろ苦さがあり、「」は茶論の稽古でも用いられる苦味と甘味のバランスがとれた定番、「」は芳醇な香りとまろやかな甘みが特徴になっています。それぞれどのキャストを思い浮かべるでしょうか…? 一部の映画館(詳しくは公式サイトにてご確認を)でも、コラボ商品の展示販売が行われるとのこと。見つけたらぜひ立ち寄ってみて。劇場で作品を観たあとに、ご自宅でお茶を点ててその日の余韻を味わってみる…なんて過ごし方も素敵だと思います!

映画『日日是好日』公式サイトhttp://www.nichinichimovie.jp/

※掲載した商品の価格はすべて税抜です。

問い合わせ先

  • 茶論 日本橋店
    営業時間/「稽古」 10:30~21:00、「喫茶・見世」10:30~20:00(LO 19:30)
  • 定休日/施設の定休日に準ずる
    TEL:03-5542-1144
    住所/東京都中央区日本橋2-5-1 日本橋高島屋S.C.新館4階

     
  • 茶論 奈良町店
    営業時間/「稽古」 10:00~18:30、「喫茶・見世」10:00~18:30(LO 18:00)
  • 定休日/毎月第2火曜(祝日の場合は翌日)
    TEL:0742-93-8833
    住所/奈良県奈良市元林院町31-1(遊 中川 奥)

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