創業143年の老舗料亭、7代目女将のプライベートとは?

昨日公開された【キャリア編】では、プライベートでも仕事が頭を離れることはないと語っていた、京都の料亭「京大和」の7代目女将・代表取締役の阪口順子さん。

「週に1日は休みをとるようにしていますが、繁忙期はそれもなかなか難しくて」とのことで、京都が紅葉の秋を迎えた今、ますます多忙なスケジュールをこなしています。

 
阪口 順子さん
京大和 7代目女将・代表取締役
(さかぐち じゅんこ)大阪・梅田生まれ。成城大学短期大学卒業後、北乃大和屋に入社。2010年ロードアイランド州プロヴィデンスのジョンソン&ウェールズ大学ホスピタリティー学部レストランマネージメント学科に入学。同大学を卒業した後帰国し、若女将として5年程経験を積んだ後、2017年に京大和7代目女将に着任。
京大和

そんな阪口さんが、心と身体を緩めて自分らしく過ごす時間とは? パワフルなキャリア女性のライフスタイルに関するエトセトラをご覧ください。

京大和7代目女将 阪口順子さんへ10の質問

──Q1:暮らしている街の環境は?

「自宅は八坂神社の近くで店の近所なので、通勤は楽です。年始は自宅のを窓を開けると参拝する人の列が見えます(笑)」

──Q2:モーニングルーティンは?

「今は検温です。コロナ渦で起きてすぐ検温する習慣になりました。その他にはパンの朝食と一緒に紅茶を飲みます。フォートナム&メイスンの『イングリッシュ・ブレックファスト』がお気に入りです」

──Q3:ヘアセットは?

「有職美容師のミナミ美容室に通っています。現在でも日本髪を結える方は少なくなっており、南先生は現代の名工で、葵祭の斎王代の御髪をセットされる方です。ヘアは一度セットすると、冬場なら3日もたせます。そのまま寝ているんですよ。着付けも毎朝自分でします」

──Q4:ナイトリールーティンは?

「入浴し、ハーブティーを飲みます。寝る前はルイボスやカモミールがお気に入りです。入浴剤は名湯のにごり湯がお気に入り」

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肌に潤いと贅沢な香りを与えてくれるジョー マローン ロンドンのバスオイル

「大きな仕事が終わったときなどは、ジョー マローン ロンドンのバスオイルなど、海外のラグジュアリーブランドを使うことも」

京都を離れたり、和のお稽古でリフレッシュ

──Q5:ワークライフバランスのとり方は?

「今は難しいのですが、仕事を離れたいときは、京都を出ます。東京など、どこか遠くへ出かけて環境を変えてリフレッシュ。長くて2泊3日くらいかな」

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京大和は、世界遺産・清水寺へ至る二寧坂に面したロケーション

「以前は定休日がありませんでしたが、リニューアルに際して水曜日が休みになりました。当初私は定休日をつくることに反対だったのですが、従業員に『前もって水曜日休み、とわかっていれば、お客様はそれを避けて予約をとってくれますよ』と言われ、それも一理あるな、と。

自粛期間には、仕事でなかなかできなかったお茶や書道、お花のお稽古に通いました。仕事の延長、という感覚ではなくリフレッシュになりました。現在はまた忙しくなり、なかなか通えていないのですが…」

──Q6:最近凝っていることは?

金継ぎをほかのお店の若女将さんたちと一緒に習い始めました。漆は乾くのに3週間から1か月くらいかかるので完成まで4〜5ヶ月とだいぶ長く待ちますが、気長な作業も現代では貴重で新鮮です」

──Q7:マスクファッションのこだわりは?

「着物を着る女性従業員は皆、紬(つむぎ)の生地でできたマスクを着用しています。白いと着物に合わないと思っていたら、金継ぎの仲間の女将さんが素敵なマスクを紹介してくれて」

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阪口さんご愛用のマスク

「内側には水洗いもOKな丈夫な和紙が貼ってあって便利です。残念ながら市販はしていないようですが…。普段はスーツを作るテーラーのような、京都のお店のものです」

──Q8:STAY HOMEで重宝したレシピは?

「5月はほぼ休業しておりましたので自宅にいましたが、クックパッドをチェックしたり、YouTubeで特別公開されたシェフのレシピを観て試したりしていました。

寒い時期は鍋料理をすることが多く、豚肉とキャベツのミルフィーユ鍋は定番です。柚子胡椒をつけていただきます」

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八坂の塔の眺めも素晴らしい京大和
──Q9:お気に入りのバカンスの行き先や過ごし方、滞在先は?

「ヨーロッパが好きですが、山も好きで富士登山をすることも。毎年お正月は、神奈川のバーへ。一歩外に出れば箱根駅伝の沿道があるので、ギネスを片手に選手を応援しに行きます。

ヨーロッパではイタリアが好きでミラノ、ローマなど各地をまわりましたが、なかでも南イタリアのポジターノで滞在した『イル サン ピエトロ ディ ポジターノ』はすごく素敵でした。海に面していて、ホテルを囲む街並みも可愛くて。リモンチェロやパスタ用の素朴なお皿を購入したりしました。

ホテルを選ぶ決め手は、美味しいレストランが付近にあるか、オーベルジュのように館内のホテルが美味しいところ、です。旅先は美術や建築鑑賞ができるところを選ぶことが多いかな。建築はアメリカのモダンなものも好きですし、東洋のものも好きです」

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阪口さんのお気に入り、南イタリアのポジターノ
──Q10:愛読書は?

「オペラ座の怪人を別の視点で描いている、スーザン・ケイの『ファントム』です。中学生時代に衝撃を受けて、泣きながら読んだ思い出があります。オペラ座の怪人は、アンドリュー・ロイド・ウェーバーの音楽が素晴らしく、ミュージカルも好きでサントラも持っています。それから、パウロ・コエーリョの『アルケミスト』も好きです」

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名曲揃いのブロードウェイミュージカル『オペラ座の怪人』

「あとは向田邦子のエッセイも就寝前などに何度も読み返してしまいます。ほっこりするんですよね。群ようこのクスッと笑ってしまうものも好きです。

最近は携帯を見てしまうので、あまり本を読んでいないかもしれません。以前は美味しい紅茶をいれて、チョコレートとともにゆっくり読書する時間が楽しみでしたが…」


以上、京都・東山の料亭「京大和」7代目女将・代表取締役の阪口順子さんにうかがった、ライフスタイルについての10の質問でした。

Go Toの影響もあり多忙な日々を過ごすかたわら、プライベートでも和文化に親しみ造詣を深めている様子に、代々続く老舗料亭を自分が守っていく、という男前な覚悟を感じました。しなやかに「伝統と革新」に向き合う阪口さんが舵を取る「京大和」、京の粋を感じにぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

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この記事の執筆者
立教大学法学部卒。ドイツメーカーにパーチェイサーとして勤務後、2009年に渡米し音楽修行。ジュリアード音楽院、マネス音楽院にて研鑽を積む傍ら、2014年ライターデビュー。2018年春に帰国し、英語で学ぶ音楽教室「epiphany piano studio(エピファニーピアノスタジオ)」主宰。ライターとしては、ウェブメディアを中心にファッション、トレンド、フェミニズムや音楽について執筆している。
公式サイト:epiphany piano studio
PHOTO :
Getty Images(オペラ座の怪人)