【目次】

ほうれい線とシワは「表情筋」の衰えが原因


ほうれい線や下がり口角などの「老け影」は、エイジングの代表的な悩み。ほうれい線の原因となるのは加齢だけでなく、姿勢の影響や肌の乾燥・ハリの低下など、毎日の表情やスキンケア、ライフスタイルがほうれい線の原因となっています。そして口周りをはじめとする表情筋の衰えが、たるみやほうれい線などのしわをさらに定着させて「老け顔」を加速させることに。さらに、その顔の筋肉は首の筋肉や鎖骨にまでつながっています。肩が内側に巻いて猫背になっていたり、首が前に出ていたりと姿勢が悪くなると、体の前側の筋肉が縮んでしまいます。その影響で顔の筋肉まで下に引っ張られてしまうので、よりほうれい線が目立つ結果になるのです。

エクササイズによって顔の表情筋やその周りの筋肉を刺激し、少しずつでも固くなった筋肉をほぐしてリセットしてあげると、徐々にほうれい線が解消され、肌と筋肉にもハリと弾力が蘇るので、毎日こつこつほうれい線解消エクササイズを続けることが大切です。

1日2分でOK!恐怖の口元老化が食い止められる「表情筋トレーニング」習慣

ほうれい線はシワじゃない!ほうれい線の「特徴」


見た目年齢をいちばん左右する頬の影・ほうれい線。みなさんは、ほうれい線をシワだと認識していませんか? 実はほうれい線の正体は、シワではなく「たるみ」なのです。これは、立っている状態と仰向けに寝ている状態を比較してみると、よくわかります。まず、立っている状態(右写真)。このとき、ほうれい線は見えます。次に、仰向けに寝ている状態。このとき、ほうれい線は見えなくなっています。

左/仰向けに寝ている状態、右/立っている状態
左/仰向けに寝ている状態、右/立っている状態

これがどういうことかというと、重力があるかないかの差にあります。寝た状態で重力がかからなくなると、ほうれい線が見えなくなるということは、ほうれい線は「頬が下がって」現れる線だということ。そのため、ほうれい線は「たるみ」に分類されるのです。一方のシワはどうかというと、重力とは関係がなく、肌深くに刻まれていくものなので、仰向けに寝ても、消えることはありません。ほうれい線=たるみであることを認識すると、おのずとお手入れも変わってきます。

老けて見える「ほうれい線」の正体を知る

江連智暢さん
資生堂 アドバンスト リサーチセンター 主幹研究員、農学博士
(えづれ とものぶ)「たるみ」と向き合い続け、最近ではたるみと関係する脂肪に着目するなど、最先端のアンチエイジング研究に従事。各学会から多くの賞を獲得するなど、資生堂が世界に誇る頭脳。近著に『「他人目線」でたるみケア』がある。

■「ほうれい線」をつくってしまう3つの要因

そもそも、なぜほうれい線ができるのでしょうか? 要因は3つです。ほうれい線=たるみですから、まずは真皮の空洞化が挙げられます。ふたつ目の要因は、表情筋の衰え。加齢による衰えだけでなく、使わない筋肉と使いすぎる筋肉が出てくるため、バランスが崩れ、それもたるみにつながります。そして、最先端のトピックは皮下脂肪の肥大化です。

江連さんは「皮下脂肪が多くなると、悪い因子が過剰に分泌されるようになり、弾力を司っている真皮にダメージを与えていることがわかってきました。すると、肌はハリや弾力がなくなり、たるむのです。その逆に、皮下脂肪が小型だと、アディポネクチンという美肌因子が分泌され、コラーゲンやヒアルロン酸の合成が促され、真皮の状態がよくなるということもわかってきたのです。そのくらい脂肪が、実は肌を左右する重要なものだと、最近では認識が変わってきました。つまり、皮下脂肪を増やさないことがたるみ予防につながります。ただ脂肪を減らすというのは大変なので、脂肪細胞を小型化させることが秘訣に」と言います。真皮の空洞化や表情筋の衰えだけでなく、皮下脂肪もほうれい線に影響しているということですね。

真皮がふっくら弾力アップ!2週間で「ほうれい線が薄くなる」簡単マッサージ

【1】「頭筋」マッサージで顔の印象が10歳若返る<1STEP>


教えてくれたのは…
山本幸恵さん
(やまもと ゆきえ)深頭筋ヘッドセラピスト。テレビやCM、製品開発などで幅広く活躍中。3万人以上の頭皮を見てきた経験から、独自の「深頭筋マッサージ」を開発。著名人からの指名も多い、隠れ家サロンを主宰。

ほうれい線が目立つ「老け顔」の悩みを解消するカギは「頭筋(とうきん)」にあり。ほうれい線やたるみなど、老け顔の悩みは頭の筋肉と直結しています。顔の筋肉を支えている側頭部の筋肉を刺激するとエクササイズやマッサージの効果が特に高く現れやすいのです。

フェイスラインのたるみ、ほうれい線に効く「側頭部」

<STEP.1>「側頭部」の筋肉を刺激してフェイスラインを引き上げる

ほうれい線やフェイスラインのたるみ、口角の下がりを引き起こしているのが側頭部のコリ。ここのコリの大きな要因は食いしばりなど、奥歯をかみしめるクセだそう。そのため、我慢強い人やストレスフルな人は特にコリやすいとのこと。5本の指で適度な圧をかけながら側頭部をしっかりほぐせば、「フェイスラインのたるみ」や「ほうれい線」「口角の下がり」など、顔全体の印象を左右するエイジングサインに働きかけてくれますよ。顔の印象が10歳は若返ります。

簡単にできる!ほうれい線を解消するエクササイズ7選

【2】「オトガイ筋」をゆるめてほぐす<2STEP>


教えてくれたのは…
村木宏衣さん
エイジングデザイナー
(むらきひろい)大手エステティックサロン、整体院、美容医療クリニックでの勤務経験を経て、小顔、リフトアップ、むくみ、ボディメイキングなど女性の悩みに対して、独自の「村木式 整筋」美容メソッドを確立。現在は「クリニックF」内「Amazing♡beauty」を開設。著書に『一生劣化せず今すぐ若返る 整筋・顔体大全』(日経BP社)など多数あり。

あごがシワシワになり「梅干しあご」になるのは、ストレスによる食いしばりや口をすぼめる表情のクセが原因。これによって、あごにある「下唇を上に引き上げるための筋肉=オトガイ筋」を酷使して硬直することで「梅干しあご」が定着すると考えられます。

若々しいか、老けて見えるかの別れ道は口元の印象が大きく影響していることは、マスク生活で誰もが実感していることでしょう。なので「梅干しあご」が気になっている人は、定着して老け見えする前に、対策が急務です。エイジングデザイナーの村木さんいわく、「オトガイ筋を緩めるケアをすれば、内側からハリが生まれて若々しさが取り戻せる」のだそう。指でほぐすだけの簡単メソッドなので気になっている人は毎日の習慣にしてくださいね。

<STEP.1>圧をかけてほぐす位置を確認

オトガイ筋は下顎の中央部分にある表情筋。これを緩めるために、下唇の下からあごにかけて、左右対称の縦2列を左右各3か所、計6か所をほぐしていきます。

圧をかけてほぐす位置を確認

<STEP.2>あごを挟むように固定して、人差し指でほぐす

はじめにマッサージに適した指の形をつくります。こぶしを握り、人さし指を立ててかぎ型に曲げましょう。この第二関節の側面を肌に沿わせてマッサージしていきます。

人さし指を立ててかぎ型に曲げる

人さし指の第二関節の側面を下唇の下に当て、親指はあご下の骨に引っかけてあごを挟むように固定を。 それから人さし指の第二関節の側面で「グリグリ」と小さな円を5回描きながら圧をかけます。骨をほぐすようなイメージで、STEP.1で確認した6か所に行いましょう。

曲げた人さし指の第二関節の側面で下唇に圧をかける

【村木宏衣さん直伝】口元が老ける “梅干しあご” を解消するマッサージメソッド

【3】「咬筋」「頬筋」「広頚筋」「口角挙筋」「口輪筋」の5つを鍛えて、口元老化を一気に防ぐ<5STEP>


唇の周辺にあり、口元を支えている「咬筋(こうきん)」、「頬筋(きょうきん)」、「広頚筋(こうけいきん)」、「口角挙筋(こうかくきょきん)」、「口輪筋(こうりんきん)」。これらの筋肉をほとんど動かしていない状況が続くと、表情筋が硬く縮み、ハリがなくなり、そして支えを失った唇は薄くなりへの字形になってしまいます。口周りの表情筋を動かすことが、「唇老化」防止に役立ちます。

<STEP.1>噛み合わせ部分の「咬筋(こうきん)」をほぐす準備運動をする

奥歯を強く噛むと、ボコッとふくらむところが咬筋。まずはこの部分に手のひらを当てて、ゆっくりと円を描くように回します。1回転に5秒くらいかけて3回行ってください。

咬筋をほぐす。

<STEP.2>「頬筋(きょうきん)」を鍛える

頬筋とは、頬の脂肪を支える筋肉。これがたるめば頬の脂肪が下がることで、ほうれい線が深くなり、口角も下に引っ張られます。上の歯と下の歯を当てないようにして、少し歯を見せるくらいに口を軽く開きます。

軽く口を開く。

口の両端と頬を思いっきり上げた状態で5秒微笑み、ゆっくりと元に戻しましょう。

「きー」と強く言って口角を上げる。

<STEP.3>「広頚筋(こうけいきん)」を鍛える

下あごから首につながる広頚筋は、口を開けるための筋肉。ここがたるむと下に引っ張られ、口角下がりになります。背筋を伸ばし、頭をまっすぐにして、「れっ」と言い、その口の形を保ちます。

「れ」の口にする。

口角を横に引っ張るように意識し、首に筋が出るくらい力を入れ5秒キープしましょう。

首の筋が見えるほど強く「れー」と言う。

<STEP.4>「口角挙筋(こうかくきょきん)」を鍛える

上唇をキュッと上に持ち上げているのが、表情筋です。ここがゆるむと口角が下がり、鼻の下が伸び、山がつぶれることになります。上の歯と下の歯を当てないようにして、唇を閉じる。舌は上の歯の裏に当てます。

唇を閉じる。

口の両端を頬を思いっきり引き上げて5秒間微笑み、ゆっくりと元に戻しましょう。

「んー」と言って口角と頬を上げる。

<STEP.5>「口輪筋(こうりんきん)」を鍛える

口輪筋は、唇の開閉の役目を担う筋肉。口角下がりだけでなく、上唇にできる梅干しジワも口輪筋の衰えによるものです。上の歯と下の歯を当てないようにして、唇を閉じる。舌は上の歯の裏に当てます。

唇を閉じる。

唇を「チュー」の形にし、唇の周り(口輪筋)に力を入れて5秒キープしましょう。

唇を思いっきり前に突き出す。

1日2分でOK!恐怖の口元老化が食い止められる「表情筋トレーニング」習慣

【4】「舌骨下筋群」を鍛える舌まわしエクササイズ<2STEP>


首を左右にゆっくりと回してみてください。イテテ、とコリを感じている人は要注意。首に負荷がかかりすぎていて、ガチガチに固まっている状態です。放っておくとスマホ首=ストレートネックになる可能性が。これが首コリ、肩コリを悪化させますし、ひどい場合は頭痛やめまいを引き起こすことも…。なので日々のケアで簡単にできる対策術を知っておくといいでしょう。そこでエイジングデザイナーの村木さんが教えてくれたのが、「舌回し」のエクササイズ。なぜ「舌回し」が効くのかといえば、舌の動きに繋がっている「舌骨下筋群(ぜっこつかきんぐん)」がポイントです。

<STEP.1>まずは首の可動域をチェック

首をゆっくり左右に動かして、首の可動域、コリ具合をチェックしましょう。舌回しエクササイズが終わったら、変化を確認するために、再度可動域をチェックしますよ。

首の可動域をチェック

<STEP.2>上下の歯ぐきをなぞるように舌で円を描く

口を閉じたまま、上下の歯ぐきをなぞるように舌で右回りに円を描く。これを20回。このとき、舌の先で内側から押すように行うとほうれい線ケアにも効果的。

上下の歯ぐきをなぞるように舌で円を描く

左回りも同様に20回行いましょう。最後に首を左右に動かして、可動域をチェックしてみて。初めよりも可動域が広がり、スムーズに動くようになっているはずですよ。

上下の歯ぐきをなぞるように舌で円を描く

【まとめ|村木宏衣さん直伝 コリもほうれい線も解消できる「舌回し」エクササイズ4か条】
1.首コリが慢性化している人は「舌骨下筋群」も凝り固まっている可能性が。
2.舌を動かすときに使う「舌骨下筋群」をストレッチして緩めると首コリ解消に。
3.舌で上下の歯ぐきをなぞるように円を描くだけの簡単エクササイズに。
4.舌で内側から押すことでほうれい線ケアにも効果抜群。

【村木宏衣さん直伝】コリもほうれい線も解消できる「舌回し」エクササイズ

【5】「フェイスライン」のもたつきを解消する舌スイングエクササイズ<2STEP>


「舌スイングエクササイズ」は、舌を思いっきり出し、虹を描くようにスイングさせるエクササイズ。舌の根元はあごの組織とつながっているため、舌を出して動かすことであごまでも鍛えられるのです。すると、自然とフェイスラインのもたつきもすっきり解消! しかも、口角から鎖骨につながる筋肉もしっかり伸ばせるので、年齢とともに気になる首のしわにも効果てきめんです。

<STEP.1>舌をしっかり伸ばして左右にスイング

両手を胸の前でクロスさせ、首の前側を伸ばして反らせます。

左右にスイングを8回

<STEP.2>舌を出してスイングを8回繰り返す

舌を思いっきり出し、目とともに虹を描くようにスイングさせます。8回行ったら舌を引っ込めて正面を向き、手を下ろしましょう。

ほうれい線解消エクササイズ|ほうれい線のケアに効果的なエクササイズ&グッズまとめ

【6】「上唇挙筋」と「上唇鼻翼挙筋」に効く深層リンパケア<4STEP>


筋肉と同じ深さにある深層リンパを流し、コスメがより効きやすい肌に整えていく方法です。深層リンパは、筋肉が硬くなると流れづらくなります。そこで、使いすぎていて硬くなっている筋肉をほぐし、使えていない筋肉を刺激してリフトアップへと誘導していきます。多くの人が使いすぎなのが、大頬骨筋と小頬骨筋。逆に使えていない筋肉が「上唇挙筋(じょうしんきょきん)」と「上唇鼻翼挙筋(じょうしんびよくきょきん)」。この使えていないふたつの筋肉が頬を持ち上げる役割を果たしています。2週間も続けると、ほうれい線が薄くなるのを実感できるはず。肌の奥からパンとしたハリ感が出てきます。

<STEP.1>食いしばりの「凝った筋肉」をほぐす

リラックスして、口の力を抜き、半開きに。手をグーにして、下の点の部分におき、自然な呼吸をしながら、1か所につき、外回しを10回行いましょう。このとき、肩や首に力が入らないように気をつけてください。

食いしばりの凝った筋肉をほぐす。
かみ合わせの部分(頬骨の下あたり)から下に向かって3か所ほど行いましょう。その後、口角の下あたりにある筋肉もほぐしておくこと。すると、口角の下がりも解消できます。

<STEP.2>鼻の下の伸びた筋肉を縮める

「口輪筋(こうりんきん)」という、口をぐるっと囲んでいる筋肉に対し、垂直になるように指2本をおき、指を小さく上下させて、筋肉を刺激しましょう。10往復繰り返して。この筋肉に弾力が戻るとほうれい線が薄くなります。

鼻の下の伸びた筋肉を縮める。
鼻の下あたりから口角に向かって4か所くらい行いましょう。両手で同時に行い、中央から口角に向かって移動させてください。

<STEP.3>ほうれい線をつくるコリをほぐす

人さし指でカギ形をつくり、ほうれい線の始まり部分から横に小さくスライドさせましょう。10往復行ってください。顔の内側から外側に向かって移動させながら、同様に行っていくことがポイント。骨をほぐすようなイメージでやってみましょう。

ほうれい線をつくるコリをほぐす。
ほうれい線の始まりから頬骨の上まで、縦に4か所。さらに顔の内側から外側に少しずつずらしながら、4か所くらい行いましょう。外側のほうがより凝っているのでしっかり行ってください。

<STEP.4>リンパを流してすっきりシャープにする

しっかりほぐし終わったら、人さし指でカギ形をつくり、最後に頬骨(きょうこつ)の下に沿わせながら、耳たぶの下を通り、鎖骨までリンパを流していきましょう。最後にコレを行うか否かで、顔のスッキリ感が違ってきます。

リンパを流してすっきりシャープにする。
頬骨の下や耳の周りは、リンパがたまりやすく、滞りやすい部分。流す途中の耳の前で止まり、圧をかけてから、次の位置まで流すのがオススメ。鎖骨も最後に圧をかけておきましょう。

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【7】「咬筋」を徹底的にほぐすリフトアップメソッド<3STEP>


ふだんから大きな力が加わっている「咬筋(こうきん)」は、硬くなりがち。ここを中心にゆるめていくのがポイント。特に頬の下のほうが硬くなりやすいので、そこを意識的にしっかりゆるめると効果的です。

<STEP.1>咬筋に反対側の親指を引っかけて固定し、咬筋に沿って上から下へ3か所行って

頬骨の下、口を開閉したときに動くのが「咬筋(こうきん)」。この咬筋のヘリのくぼんだ部分を頬とは反対側の親指でとらえる。ほかの指は軽く握ってエラに引っかける。咬筋に沿って、親指を上から下にずらしながら、合計3か所行う。反対側も同様に行って。

<STEP.2>咬筋をとらえながら口を「あ」と開ける

咬筋(こうきん)をしっかりと挟んで押さえながら、口を「あ」の形で開ける。

<STEP.3>咬筋をとらえたまま口を「ぐ」と閉じる

咬筋(こうきん)をしっかりと挟んで押さえたまま、今度は口を「ぐ」の形で閉じる。この「あぐあぐ」を6セット繰り返す。片頬3か所、反対側も含めて合計6か所行って。

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この記事の執筆者
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