人生を豊かにする!労働先進国ドイツ流、オン・オフの切り替えメソッド

昨日公開された【キャリア編】では、日本女性ならではのきめ細やかな視点で、仕事相手を気遣うことの大切さを語ってくれたゼンフトさん。労働先進国ドイツ仕込みの仕事とプライベートの両立術や、運気アップのための意外すぎるマストハブアイテムなど、キャリア以外の気になるエトセトラをお聞きしましょう。

 
ゼンフト理加さん
KSPジャパンデスク責任者/日本行政書士、米国公認会計士
(ぜんふと りか)1976年アメリカ・ロードアイランド州で生まれ育つ。1999年上智大学法学部を卒業後、新卒で住友銀行(現・三井住友銀行)入行。総合職として1年半勤務したのち、2000年にプライスウォーターハウス(旧・中央青山監査法人)へ転職。シニアアソシエイトとして3年弱、税務コンサルティングに従事。2003年、結婚を機にドイツへ移住。フリーランスとして、また国際会計事務所JAXとKPMGで経験を積んだのち、2020年4月より現職。プライベートでは、16歳・13歳・11歳の3児の母。

国際税務コンサルタント・ゼンフト理加さんへ10の質問

キャリア_1,家_1,リモートワーク_1,インタビュー_1
ゼンフト理加さんと三人の息子さん

──Q1:暮らしている街の環境を聞かせてください。

ライン川左岸にあるドイツ第四の都市ケルンで、シュタットヴァルトと呼ばれる森から少し離れた一軒家に暮らしています。ドイツへ移住した当初は、近隣のデュッセルドルフという街に住んでいました。少々スノッブな印象のデュッセルドルフ人に比べると、ケルン人はのんびりとしてフランク。異なる文化的背景をもつ人々にもオープンなので、住みやすいです。

デュッセルドルフにあるKSPのオフィスには週3回車通勤。ちなみに結婚して18年になる夫は、2008年から週4日単身赴任を続けていましたが、パンデミック下の影響で週3日在宅勤務になりました。1週間のうち夫が数日不在だと、再会のたびに新鮮な気持ちになります(笑)

キャリア_2,家_2,インタビュー_2
長男の十三祝いをしたときの思い出の家族写真。ご主人は同業者であり、仕事においてもよき理解者。

──Q2:よりよいパフォーマンスを引き出すための生活習慣とは?

規則正しい生活をキープすること。運動も習慣づけています。ジョギングは週2回、仕事前に10kmのランを。テニスは週1回、友人らとプライベートレッスンを受けています。

キャリア_3,家_3,インタビュー_3
自然に囲まれて夏〜秋はウォータースポーツ、冬はスキーを楽しむゼンフトファミリー。理加さんはスタンドアップパドルボートに挑戦

──Q3:ワークライフバランスの取り方とは?

オフを取得している金曜日を含め、オフ時間は仕事を完全にシャットアウト。金・土・日は一切メールをチェックしません。正社員のみならず契約社員なども対象に、週6日労働の場合、最低でも年に24日の有給休暇取得を義務づける「連邦休暇法」を定めているドイツ。実際のところ、多くの企業は年間30日の有給休暇を規定していて、その消化率はほぼ100%。土日を含めると年間6週間は休めるので、一度に3〜4週間の長期休暇を取得できます。長いホリデー中には、1日の終わりにメールチェックすることもありますが、平日と休日はキッパリ分けるのが鉄則。

──Q4:趣味や最近凝っていることとは?

テニスとジョギングのほかは、趣味といえば食べること、料理すること。我が家には成長盛りのサッカー少年が3人もいますから、ハンバーグやグーラッシュ(ドイツ風ビーフシチュー)などのボリューム満点男子向き料理が多いですね。シュペッツェレ(南ドイツ版ショートパスタ)も自家製です。ドイツで購入できる豆腐がおいしくなかったので、以前は豆腐も大豆から作っていました。

年に3回。アクティブな「休み方」でエナジーチャージ!

──Q5:週末と休暇の過ごし方は?

長男16歳、次男13歳、三男11歳の息子全員がサッカークラブに所属しているので、週末はもっぱらサッカーの試合観戦。夏休みは、息子らを連れて1か月ほど日本へ里帰り。スポーツ好きのアクティブ一家なので、冬休みはオーストリア・アルプスでスキーを。秋休みはイタリア・サルデーニャ島などヨーロッパ内にて、夫の趣味であるウィンドサーフィンをはじめ、ウォータースポーツに興じるのが定番です。

キャリア_4,家_4,インタビュー_4
オーストリア・アルプスで過ごす、恒例のスキーホリデー

──Q6:コロナ禍ではじめた新しい生活様式はありますか?

自分だけでなく家族全員に対して、規則正しい生活を徹底すること。去年、息子たちの学校はホームスクーリングやオンライン授業が数か月続きましたが、7時すぎには子どもを起こし、朝食後に午前中はみっちり勉強、午後は森でスポーツといった具合に。朝方の夫は6時のジョギングから1日をスタート。私も週2回は早朝に走っています。

昨年のステイホーム期間中から、息子たちに料理を覚えさせはじめました。グーラッシュやシュペッツェレなどのドイツ料理からケーキまで、3人がそれぞれにネットで気になるレシピを見つけ出して孤軍奮闘していましたね。

コロナ禍でも私のワークタイムは9時〜14時。仕事を終えたら息子たちを車でピックアップし、それぞれのサッカークラブへ連れていくのが日常です。

──Q7:コロナ禍に得た気づき、新たな目標とは?

当たり前だと思っていた世の中は当たり前ではなかった、世は常に移り変わるのだと実感。ビジネスに対しても常にアンテナを張ろうと意識するように。現職KSPジャパンデスクは、私自身の裁量でビジネスを動かせる環境にあります。自由を与えられたからこそ、取引先の新たな可能性を見出すために、自分の考えを試したいと感じています。

──Q8:よく使う頼れるアプリとは?

「Time Tree(タイムツリー)」というカレンダー共有アプリで、家族5人のスケジュールをシェアしています。タイムツリーに入力していない予定は却下、が我が家のルールに。

──Q9:最近読んだなかで、印象深い本とは?

アメリカではその題名が流行語にもなったベストセラー、『タイガー・マザー』(※)。中国系アメリカ人大学教授の母親が、ふたりの娘に対して厳しい英才教育を貫く母娘の物語ですが、「親が子どもに残してやれる財産は教育と技能である」とする価値観は、自分にも通じるものがあると。実はドイツでは、子ども時代には思う存分に遊ばせるべきと考える親が大多数の風潮にあって、我が家では勉学、サッカーのほか、ピアノと日本語教育も両立させています。

※日本語版は朝日出版社刊

飾って、願いを託して。目標に近づくための守り神は「だるま」

キャリア_5,家_5,インタビュー_5
左/実家の掛け軸には、だるまのモデルとなった中国禅宗の開祖・達磨大師の姿が。右/少林山達磨寺のピンクのだるまに健康を願って

──Q10:心を鼓舞し勇気をくれる、お守りのようなアイテムとは?

守り神はずばり「だるま」。実家に達磨大師の掛け軸が飾ってあったこともあり、母親の影響で子どもの頃から大のだるま好き。縁起だるま発祥の寺として知られる、群馬県高崎市の「少林山達磨寺」に足繁く通ってはサイズも色もさまざまなだるまをドイツへ持ち帰り、ストックを欠かさないのが常なんです。

飾ったり、願いをこめたり。だるまの彩りにはそれぞれ意味合いがあります。ドイツ人の同僚がガンを患った際には、病気治癒に効くと伝わる白いだるまを贈ったことも。

キャリア_6,家_6,インタビュー_6
息子たちがまだ小さかった頃から、少林山達磨寺をたびたび訪問

数年来のお守りジュエリーといえば、夫に贈られた「ティファニー キー」ペンダント。大事なミーティング時にはよく身につけています。母親から譲り受けたハートモチーフのダイヤモンドペンダントも、勇気をくれる最愛ジュエリーのひとつに。

キャリア_7,ネックレス_1,インタビュー_7
相棒ジュエリーは、「ティファニー キー」ペンダントと母親から譲り受けたハートペンダント

以上、ドイツ在住国際税務コンサルタント・ゼンフト理加さんへのライフスタイルにまつわるインタビューをお届けしました。

仕事に全エネルギーを注いでいた日本での独身時代から一転、子育てや人生のライフステージに合わせてプライベートも優先させながら、専門性の高い仕事を時短勤務で継続しているゼンフトさん。そのバランスの取れたドイツ流ワークライフには、一度きりの人生を謳歌するためのヒントがあふれています。すべての働く女性たちに、しなやかに生きるためのTipsを。

関連記事

この記事の執筆者
1974年東京生まれ。「MISS」「家庭画報」「VOGUE NIPPON」「Harper’s BAZAAR日本版」編集部勤務を経て、2010年に渡独。得意ジャンルはファッション、ジュエリー&ウォッチ、ライフスタイル、犬、ラグジュアリー全般。現在はドイツ・ケルンを拠点に、モード誌や時計&ジュエリー専門誌、Web、広告などで活動中。