新天皇の即位が2019年5月1日に決まり、新元号「令和」が2019年4月1日に発表され、「平成」という1つの時代が、30年間で終わろうとしています。この30年の間に、「たまごっち」や「アムラー」、「だんご三兄弟」など、多種多様なブームが生まれ、進化し衰退していきました。
また、インターネットの普及によりSNSや動画サイトなど、新たなカルチャーや情報手段と、それにまつわる習慣や風習も次々に誕生。年代によっても「懐かしい!」と感じるキーワードは異なることと思います。
そこで、「ユーキャン新語・流行語大賞」の受賞ワードと、現在の40代女性に人気が高い資格や習い事から、ユーキャン広報の山本さんとともに、平成という時代を振り返ってみましょう。
■【平成元年~5年】バブル景気真っ只中、女性たちがディスコのお立ち台で踊りまくる!
平成は、1989年1月8日、バブル景気の真っ只中に始まりました。ワンレンボディコンの女性たちが、ジュリアナ東京のお立ち台で羽根付き扇子を振って踊っていたこの時代。女性たちの勢いはとどまることを知りませんでした(イケイケ、という言葉でも表現されていましたね)。
平成2年、「アッシーくん」が流行語に
平成2(1990)年には、「アッシーくん」という言葉が流行語に。電話1本で車ですぐに飛んできて、見返りを求めず“足代わり”となってくれる男性のことをこう呼びました。ちなみに、ご飯をおごってくれる「メッシーくん」もいましたね。当時の若者に人気だったイタリア料理は「イタめし」と呼ばれていました。
同年、「オヤジギャル」たちも話題に
また、女性の社会進出に伴い、いわゆる“オヤジ”のように電車の中でスポーツ新聞を読み、ガード下で一杯飲んで……、そんな「オヤジギャル」たちも話題になりました。こちらも平成2年に、オヤジギャルが主人公の漫画『スイートスポット』の作者である中尊寺ゆつこさんが流行語大賞を受賞しました。
【平成元年~5年】の社会情勢
平成元年にはベルリンの壁が崩壊し、東西冷戦構造が音を立てて崩れました。一方、日本は当時、バブル経済の好況の真っ只中。しかし、いつか泡は消えるのではという不安もささやかれはじめ、平成3(1991)から平成5年(1995年)10月までの「景気後退期」に突入。これがバブル崩壊と言われる期間で、「損失補填」が流行語になるなど、ついにバブル経済は弾けてしまいます。
✔「当時40〜45歳の女性」に人気だった習い事や資格人気の習い事BEST5
1位:ボールペン字講座
2位:書道講座
3位:パッチワーク講座
4位:ワープロ講座
5位:手編み講座
「現在では、資格講座が人気ランキングの上位を占めていますが、30年前は趣味系講座が上位を占めていました。書道のほか、パッチワーク・手編みなどの手芸系講座が人気でしたね。ワープロ講座が3位にランクインしているのが時代を反映していると思います」(山本さん)
■【平成6~10年】アムラー全盛期!ルーズソックスの女子高生が渋谷を闊歩
平成8(1996)年頃は、2018年9月に引退することを発表したシンガー・安室奈美恵さんのファッションが、女子高生を中心に大流行。「アムラー」と呼ばれ、茶髪のロングヘアに、細眉、超ミニスカートに厚底ブーツ、バーバリーチェックのマフラーが定番スタイルでした。
女子高生たちの必携アイテムは「ポケットベル」と「たまごっち」
女子高生たちは制服を着るときはスカートを短くして、厚手で長い靴下を緩ませて履く「ルーズソックス」を履きました(元祖はイージースミス社製)。そのまま履くとずり落ちるため、ソックタッチという糊で固定。ソックタッチ以前には、工作用の糊を塗るというツワモノもいました。彼女たちの必携アイテムはもちろん、ポケベルと「たまごっち」! ポケベルの加入数は、平成8(1996)年に1000万人を突破。当時のNTTの公衆電話は、ポケベルの送信キーとして使われた「※」と「2」だけ擦り切れていたのを記憶している方も、多いのではないでしょうか?
そういえば、「チョベリバ(超ベリーバッド)」「チョベリグ(超ベリーグッド)」などの造語も流行りましたね。
【関連記事:当時の女子高生は早打ち名人!懐かしの「ポケベル」あるある5選】
【平成6~10年】の社会情勢
平成6(1994)年には「就職氷河期」も流行語に。大学生の就職難が社会問題になりました。そして、平成7(1995)年1月は阪神・淡路大震災やオウム事件などが続発し、日本の「安全神話」が崩壊。混沌とした時代でした。また、平成9(1997)年には消費税が5%になっています。
✔「当時40〜45歳の女性」に人気だった習い事や資格人気の習い事BEST5
1位:ボールペン字講座
2位:筆ペン講座
3位:パッチワーク講座
4位:介護福祉士講座
5位:書道講座
「ボールペン、筆ペン、書道など硬筆・毛筆系講座が全盛期で、この人気は平成15(2003)年ごろまで続きます。手芸系講座の人気も続いていましたね。また、平成7(1995)年に日本が高齢社会となったこともあり、介護福祉士講座の人気が伸び始めました」(山本さん)。
■【平成11~15年】ノストラダムスの大予言が外れ…、ミレニアムに突入!
1999(平成11)年、恐怖の大王が人類を滅亡させるというノストラダムスの大予言が、何かと話題になっていました。そんな世紀末思想が蔓延する中、世の中を賑わせたヒットソングが生まれます。教育番組『おかあさんといっしょ』から生まれた『だんご3兄弟』です。軽快なタンゴのリズムは、一度聴いたら忘れられず、子どもから大人まで口ずさんでいましたね。
そして、ノストラダムスの大予言は見事に外れ、コンピューターの2000年問題(1999年から2000年に西暦が変更する際にコンピューターが誤動作する可能性があった)もあったものの、事前対策によって大きな混乱は起きず、無事にミレニアムに突入しました!
また、平成11(1999)年に、渋谷に拠点を構えるITベンチャー企業の経営者たちが発表した、有能な起業家を輩出しようとする活動「ビットバレー構想」がきっかけとなって、ITベンチャー企業が東京・渋谷に集います。ビットバレーとは、アメリカのIT企業が集う西海岸のサンタクララ近郊「シリコンバレー」を元にした造語で、データの最小単位「bit」に、bitter=ビターな「渋」と、valley=バレー「谷」を掛け合わせたもの。堀江貴文氏やサイバーエージェントの藤田晋氏、DeNAの南場智子氏ら、現在のIT業界の著名人の多くが飛躍するきっかけとなったムーブメントでした。
ガングロギャルたちの「パラパラ」、アザラシの「タマちゃん」が人気者に
平成12(2000)年には、ガングロギャルたちがユーロビートに合わせて「パラパラ」を踊り、平成13(2001)年には吉本興業の芸人たちが歌った『明日があるさ』が大ヒット。
平成14(2002)年には、多摩川に突如現れたアザラシの「タマちゃん」が人気者に。“たわしコロッケ”で話題をさらった、“The 昼ドラ”『真珠夫人』(主演・横山めぐみさん)も、この年に放送されました。
【平成11~15年】の社会情勢
平成10(1998)年には、PHSの加入数が700万人を超え、平成11(1999)年には携帯電話の加入数が5000万人を超えました。同年、NTTドコモが携帯電話からインターネットにアクセスできる『iモード』を開始しています。平成12(2000)年には「IT革命」、平成13(2001)年には「ブロードバンド」が流行語になるなど、この時期にIT化が急速に進化しました。
また、東京都内では駅のすぐそばに、巨大な商業施設+オフィス棟を完備した大型ビルが建立されていきます。2000年4月には渋谷のマークシティ。2001年3月には渋谷のセルリアンタワー。2003年4月には六本木ヒルズと、第一線の企業やファッション、ホテル、レストラン、育児や医療業態が入居する「仕事とプライベートが両立する」商業施設は、日本の都市部にさらに増加してゆくことに。仕事とプライベート両方の充実が叶うとして、のちのワーク・ライフ・バランスの見直しにも一役買っていく存在になってゆきます(2007年3月には六本木にミッドタウン、2012年3月には渋谷にヒカリエ、2013年4月にはグランフロント大阪など)。
✔「当時40〜45歳の女性」に人気だった習い事や資格人気の習い事BEST5
1位:ボールペン字講座
2位:筆ペン講座
3位:介護福祉士講座
4位:パッチワーク講座
5位:書道講座
「依然として硬筆・毛筆系講座の人気が続いていましたが、手芸系講座はこの時期を最後に人気が下降。また、平成10(1998)年にケアマネジャー試験が開始され、介護系資格講座がすぐに人気講座になりました。
なお、ランク外ですが、8位にはパソコン入門講座が入っています。『どのパソコンを買っていいかわからない』というお声に応えて東芝のパソコン付きの講座でした。ユーキャンでは、わからないことはすぐに電話で質問できるパソコンサポートセンターを完備し、多くの受講生に受講いただきました。パソコン全盛期ならではの人気講座だったと思います」(山本さん)。
■【平成16~20年】「負け犬」論争勃発!?アラサー&アラフォーの葛藤
平成16(2004)年、酒井順子さんの『負け犬の遠吠え』がベストセラーに。本の中では、30代以上で未婚・子ナシは「女の負け犬」とされ、各所で論争が巻き起こりました。
40前後の女性を指す「アラフォー」が流行語に
その4年後、平成20(2008)年には、40前後の女性を指す「アラフォー」が流行語に。天海祐希さん主演のドラマ『Around40 〜注文の多いオンナたち〜』では、仕事や結婚、出産など、さまざまな決断を迫られるアラフォー世代の葛藤が描かれました。
【平成16~20年】の社会情勢
ITバブル到来。前年にオープンした六本木ヒルズにIT長者たちが住み、彼らは「ヒルズ族」と呼ばれるように。平成17(2005)年にはYouTubeがサービスを開始し、平成19(2007)年にはよりiPhoneが登場。同年には、SNS(ソーシャルネットワーキング)ブームの走りともいえる「mixi(ミクシィ)」が流行しました。
一方で、平成18(2006)年には「格差社会」が流行語になるなど、所得や教育、職業などにおいて二極化が進んだと言われています。平成19(2007)年には、定住する住居のない人たちを指す「ネットカフェ難民」という言葉も生まれました。
✔「当時40〜45歳の女性」に人気だった習い事や資格人気の習い事BEST5
1位:ボールペン字講座
2位:ケアマネジャー講座
3位:介護福祉士講座
4位:英会話講座
5位:医療事務講座
「ユーキャンでは応用言語学者・ピンズラー博士の語学習得メソッドを採用した英会話講座が人気となりました。また、第8位には、人気漫画・ドラマにもなった『カバチタレ!』の影響で、行政書士が入っています」(山本さん)。
■【平成21~25年】「草食男子」が話題に。女子会ブームもこの頃から
平成21(2009)年には、恋愛や消費に積極的ではない若い男性という意味の「草食男子」が流行語に。この後、「ロールキャベツ男子」(見た目は草食、中身は肉食)、「肉食女子」など、「○○男子」「○○女子」などというたくさんの派生語が生まれました。
女子会ブームが始まったのもこの頃で、平成22(2010)年には「女子会」が流行語になりました。女子というと若い女性をイメージしますが、“大人女子”たちも女子会を開きます。世代を問わず、女性同士が集まっておいしいものを食べておしゃべりをする会が「女子会」ですね。
【平成21~25年】の社会情勢
平成21(2009)年には、「Twitter(ツイッター)」が、平成22(2010)年には「Facebook(フェイスブック)」がブームに。平成23(2011)年には、東日本大震災が発生。「3.11」「帰宅難民」「こだまでしょうか」「風評被害」そして、「絆」など、震災関連の言葉が多数流行語に選ばれました。
✔「当時40〜45歳の女性」に人気だった習い事や資格人気の習い事BEST5
1位:ボールペン字講座
2位:ケアマネジャー講座
3位:医療事務講座
4位:介護事務講座
5位:調剤薬局事務講座
「医療事務・調剤薬局事務・介護事務といった、主婦の方でも働きやすい資格講座が人気となり、今でもその傾向は続いています。また、仕事にもプライベートにも役立つファイナンシャルプランナーの人気も伸びてきており、10位につけています」(山本さん)
■【平成26~30年】SNSやビッグデータが政治・経済・ファッション・生き方の中心に!
Twitter、Facebook、InstagramなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)が、私たちの生活の細部により深く入り込んできたのが、この時期。なかでも現在、私たち女性にもっとも親和性のあるのは、2010年にアメリカでスタートしたInstagram(インスタグラム、略称インスタ)ではないでしょうか? 写真だけで誰かと繋がれるのが魅力のインスタは、平成26(2014)年2月に日本語対応がスタート、平成28(2016)年3月には1200万人が日本でユーザー登録を行い、同年、全世界のユーザーが5億人を越すほどの規模のサービスに成長。…このままいくと、全世界の人がインスタをやっている未来も遠くないかもしれません。
また、平成28(2016)年の流行語「PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)」は、YouTube上で公開した動画を、世界的ポップミュージシャンであるジャスティン・ビーバーがツイッターでお気に入りだと公言したことから人気に火が付きました。
同年の流行語「ゲス不倫」も、東日本大震災の教訓も活かされて平成23(2011)年6月に生まれたコミュニケーション・アプリ「LINE」の流出がきっかけで、騒ぎが大きくなりましたね……。
平成29年、「インスタ映え」が新語・流行語大賞の年間大賞に
そして、記憶も新しい昨年、平成29(2017)年は、「インスタ映え」が新語・流行語大賞の年間大賞に輝きました。まさに、SNSがトレンドの中心にある時代がやってきました!
【関連記事:2017年流行語大賞は「インスタ映え」に決定!CanCam it girlが授賞式に登壇】
【平成26~30年】の社会情勢
ロボット掃除機「ルンバ」が2016年10月末で、日本での販売台数が200万台を突破するなど「家事の自動化」が目立ってきたのも、この5年間のできごと。コーヒーマシンや食洗機、電子レンジの進化や、床拭きロボットなどの新しく便利な家電の発明は、私たちの暮らしをより快適で、貴重な時間を仕事や育児など別のことに取れることにも繋がっていますよね。
経済においても、巨大で複雑なデータを取り扱い、分析やプログラム開発に使える「ビッグデータ技術」が発達し、これと「ディープラーニング」技術を用いた「AI」の進化の激しい進化が世界中で進行しています。これにより、さまざまな便利なサービスが人間の手を借りずに行えるようになってきました。
また、「セクハラ」「パワハラ」に続いて、平成26(2014)年には「マタハラ」も流行語になり、さまざまなハラスメントについて考えさせられる機会が多くあります。今、ハリウッドを発信源に、世界中で起こっている「#MeToo」ムーブメントもしかりです。
芸能では、平成28(2016)年にはSMAPが解散し、平成30(2018)年には安室奈美恵さんが引退を発表するなど、ひとつの大きな時代が終わろうとしています。
北朝鮮動静の目まぐるしい動きや、イギリスのUE離脱を控えた欧州の混乱。TPP11などの「世界中で関税を低くして経済交流をよくしていこう」という動きと、米中経済摩擦の激化などの、相反するグローバリゼーションの混在など、世界は類を見ない混沌期、新しい時代のスタートに入っているとも言えます。
✔「当時40〜45歳の女性」に人気だった習い事や資格人気の習い事BEST5
1位:ボールペン字講座
2位:調剤薬局事務講座
3位:医療事務講座
4位:ケアマネジャー講座
5位:介護事務講座
「傾向は、近年とほぼ変わりませんが、直近の傾向としては介護系資格の取得が困難となり、人気に陰りが見え始めました。一方で、ドラッグストアやスーパー、コンビニなどでも一般用医薬品を取り扱う店が増え、平成27(2015)年から受験資格も不要となった登録販売者が人気になり、8位に入って来ています」(山本さん)。
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お笑い芸人の平野ノラさんのネタのように、太眉ソバージュのバブリーな女性が、肩に掛けるショルダーフォンで「しもしも」と電話していた時代に始まった平成。当時は、手のひらサイズのスマートフォンでオシャレな写真を撮って、インスタグラムにアップして……、なんて想像もつきませんでしたね。
2019年5月1日には、新元号「令和」の日本が始まります。その先には、どんな未来が待っているのでしょう。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部