サファリジャケットを着た若きイヴ・サンローラン。この写真はロンドン、ボンドストリートのプレタポルテ(既製品)のブティック「イヴ・サンローランリヴ・ゴーシュ」のファサードで撮影されたものです。

イヴ・サンローランのタイムレスなサファリルック

40年前の着こなしとは考えられないオーラ

モードの革命家=イヴ・サンローランにとってサファリルックは、象徴的な着こなしだ。そしてスカーフ使いもお得意だった。この'69年のサンローランの着こなしは、そのままいただきだ! これを〝タイムレス〟な着こなしと言わずしてなんとする!写真:STILLS/GAMMA/アフロ

ファッションの民主化、つまりイヴの既製服店展開は1966年のパリを皮切りに、その2年後2号店をニューヨークに。ロンドン店は1969年9月オープン、同年5月にはパリの6区に「リヴ・ゴーシュプールオム」をロウンチしています。このメンズ専門店は、おりしも米国から興った「ピーコック革命」の影響もあり、男たちが積極的にファッションへ参加する契機になったといわれています。

イヴは、ギャバジンのサファリスーツといった、じぶんのゴージャスなボヘミアン的スタイルをもとにメンズ・コレクションをつくり、また、はじめてサファリを登場させた1968年秋冬コレクションを「五月革命」で闘った若者たちにささげた、といったような記述がアリス・ロウソーンの著書『イヴ・サンローラン喝采と孤独の間で』(深井晃子監訳 日之出出版刊)にあります。ファッションで時代のトビラを開こうという気概がありますね。

そんなわけで時代と格闘する男の肖像はうつくしいばかりですが、しかし40年以上も前の写真にそう感じる理由はそればかりではなさそうです。これがサファリではなくソーシャルな服であるスーツであったばあい、たとえ3年前のものであったとしても陳腐な印象をもってしまうということもあります。スーツは基本形に毎シーズン小さな差異をつけることで社会性を、つまりは時代感覚を表現する服だからしかたないんです。

ひるがえってサファリは、タイムレスな服といってよいでしょう。当時のイヴにとっては革命服であったかもしれないサファリは、出自が暗黒大陸での狩猟旅行に着用する機能服でもありますから。

写真のイヴはこの機能服をエレガントに着こなしています。シルクのスカーフはボヘミアンとしての「しるし」ですね。カッコいいからタイムレスなのか、それともその逆なのでしょうか?

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TEXT :
MEN'S Precious編集部 
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MEN'S Precious2010年春号、今月の表紙をひもとくモノ語りより
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WRITING :
大住憲生
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