「カムカム」という果物をご存知の方は、かなりのスーパーフード通と言えるかもしれません。ペルーのアマゾン川流域で育つカムカムは、ビタミンCがなんとレモンの約56倍! 果物の中で、最も多くのビタミンCを含んでいると言っても間違いないでしょう。
現地では、古くから体によい果物として親しまれてきましたが、カムカムの果実は野生の木から収穫され、また、保存技術や輸送技術も発達していなかったため、ペルー国内でも知らない人が多いほどでした。果実の輸出はペルー政府の意向でまだ禁止されていますが、果汁やパウダーとして、日本に輸入されています。カムカムの基礎知識、成分、健康効果などをご紹介していきます。
カムカムって何? スーパーフードと呼ばれるのはなぜ?

カムカムとは、アマゾン川流域に育つ驚きの果物
カムカムの原産国はペルー。アマゾン川流域の熱帯雨林に生える植物で、フトモモ科の常緑低木です。高く伸びる種類と低い種類があり、アマゾン川流域の流れの穏やかな水辺に自生しています。
水の中でも育つカムカム
アマゾン川は雨期と乾期で10mくらい水位が変化します。つまり、カムカムは雨期になると3か月から5か月近く、水の中に沈んでしまいます。カムカムはマングローブのように水の中でも育つのです。
カムカムの果実は「カムベリー」と呼ばれる
雨期が終わって水位が下がると、新芽が出て、9月〜10月に白い花を咲かせます。果実は「カムベリー」と呼ばれ、大きさは3センチ程度。12月〜3月に収穫を迎えます。
カムカムの語源
「カムカム」。とてもかわいらしい名前ですね。野生のカムカムは雨期の間は増水したアマゾン川の中で育ち、乾期になると川の上に姿を表します。12月〜3月頃の収穫期になると、緑色だったカムベリーは赤く色づきます。
完熟した果実はやがて川の中に落ちます。その果実をアマゾン川に住むバクー、タンバキといった魚が食べます。食べると言っても、果実を丸呑みするのです。そして、丸呑みした後で果実だけを食べ、口からタネを上手に吐き出します。
吐き出す時に「カカカ」という音(どうやら魚の歯にあたる音のようです)がします。そのカカカという音から「カムカム」と呼ばれるようになったと言われています。
カムカムは、日本で販売しているの?

カムカムは現在、ペルー政府が自国の産品として大切に育成しているため、カムカムの果実(カムベリー)は輸出禁止になっています。現在ペルーでは野生のカムカムを収穫するほか、カムベリーの安定供給と現地の人たちの生活の向上を目指して、カムカムの栽培が進められています。
現状、日本に輸入されているのは、果汁と果汁を加工した粉末のみです。
痛みやすく、輸送に不向きなため、現地ペルーでも貴重なカムカム

現地ではカムカムの果実を絞って作ったジュースは体によいと伝えられ、現地に住む人たちは昔からカムカムのジュースをよく飲んできました。収穫のシーズンには果実をそのまま食べることもありました。
これほど健康増進が期待できる成分を含むカムカムなのですが、果実は痛みやすく、冷蔵輸送や冷蔵保存の技術がなければ長距離・長時間の輸送には向いていません。そのため文字通り、ペルーでも現地の人たちだけが知る、驚きの果実だったのです。
ペルー政府が目指す、カムカム栽培を通した生活向上
ペルー政府がカムカムを大切に育成しているのは、将来性が大きな果実であることはもちろん、カムカムの栽培を通して、現地の人の暮らしを向上させようという狙いがあります。カムカムが育つアマゾン川流域は、かつては麻薬の原料となるコカの栽培が横行していました。
犯罪組織がわずかな現金と引き換えに、農民にコカを栽培させていたのです。農民にコカの栽培を止めさせ、犯罪組織の資金源となる麻薬製造を断ち切るには、別の収入源を用意することが不可欠です。そのための大きな手段がカムカムの栽培なのです。
カムカムに含まれる成分

アマゾン川という大自然が生んだとも言えるカムカムには、ビタミンCやポリフェノールが豊富に含まれています。さらにカルシウム、カリウムなどのミネラルやアミノ酸も豊富に含まれています。また最近では美白効果があるエラグ酸が含まれていることもわかりました。
ビタミンCがレモンの56倍もある、カムカムの果実「カムベリー」
カムカムの果実、カムベリーは植物の中で最も多くビタミンCを含んでいるとされます。特に樹高が低い種類、学名でMirciaria dubia(ミルシアリア デゥビア)といわれる種類の果実に、より多くのビタミンCが含まれています。その含有量は100gあたり2800mgで、これはなんとレモンの含有量100gあたり50mgの56倍にあたります。アセロラと較べると、アセロラの含有量100gあたり1700mgの、2倍弱にあたります。
抗酸化作用で注目のポリフェノールも豊富なカムカム
カムカムには、ビタミンCに加えて、活性酸素を抑える作用で注目されているポリフェノールも豊富に含まれています。100gあたりの含有量はなんと1400mgで、ブルーベリーの250mg、アセロラの300mgを大きく上回っています。
カムカムの健康効果

現地の人たちは、肌荒れの防止、風邪の予防、便秘、肥満、高血圧の改善などによいとして、カムカムの果実を利用してきました。
コラーゲンの生成や免疫力の働きを助けるビタミンCが豊富なカムカム
カムカムの果実に含まれるビタミンCは、改めて言うまでもなく私たちにとって大切なものです。まず、体の中でコラーゲンをつくるためにビタミンCは欠かせません。コラーゲンは真皮や靭帯、骨など体の基本的な部分を構成するタンパク質の一種。わたしたちの体を構成しているタンパク質の約30%が、コラーゲンと言われています。ビタミンCが不足して、コラーゲンが十分につくられなかったら、私たちの体は立ち行かなくなってしまうのです。
またビタミンCには、抗酸化作用があり、活性酸素が体内で細胞を傷つけてしまうことを防ぎます。鉄の吸収を促進したり、病気から体を守るべく免疫が働くためにも、ビタミンCが欠かせません。
カムカムの効果的な食べ方

ビタミンC、そしてポリフェノールも人間は自分でつくることはできず、また体内に蓄積しておくこともできません。そのため、食べ物として定期的に摂り入れていく必要があります。成人に必要なビタミンCの量は、1日100mgです。一般的にビタミンCは果物や野菜から摂ることが最も効果的、ビタミンCを多く含むカムカムは、ビタミンCを摂り入れるのに最も適した果物と言えます。
カムカムを使ったレシピ

カムカムは、果汁または粉末の状態で、私たちの手元に届きます。果汁をそのまま飲むほか、ジュースやスムージーに加えたり、ゼリーにしたり、ドレッシングをつくったりといろいろ楽しめます。
カムカムレシピ1「カムカムヨーグルト」
牛乳にカムカムジュースをくわえるだけで、牛乳が少し固まって飲むヨーグルトのようになります。牛乳が苦手な方、毎日、手軽にヨーグルトを食べたい方にオススメ。
カムカムレシピ2「カムカムゼリー」
市販のゼラチンにカムカムジュースを加えて固めます。ピンク色のきれいなゼリーができあがり。
カムカムレシピ3「カムカムドレッシング」
サラダにそのままかけたり、酢の代わりに使ってみてください。生野菜のビタミンCに、さらにカムカムのビタミンCが加わります。
カムカムを使った商品
カムカムは2005年頃、大手メーカーも注目して話題となりましたが、カムカムの安定供給がまだ難しかったこともあり、今はやや落ち着いています。ですが、レモンの56倍というビタミンCの含有量をはじめとする栄養価の高さに再び注目が集まっています。
商品も現地としっかりしたネットワークを築いている会社が信頼性の高い商品を提供しており、さまざまな商品がそろっています。ここではいくつかご紹介します。
カムカムを使った商品1「カムカムグミ」


無添加・無農薬にこだわったカムカム果汁を使った贅沢なグミ。合成ビタミンCや酸化防止剤は一切使用せず、カムカム由来の天然ビタミンCのみで仕上げました。また、1袋(42g)当たり約3億個の「乳酸菌」と、分子量が小さく、人体への吸収率が高いといわれている「マリンコラーゲン」を加えた商品です。甘酸っぱくて程よい噛みごたえの、体にうれしいおやつです。
カムカムを使った商品2「カムカムドリンク缶」

カムカムの果物からつくられた、すっきりとした味わいのドリンクです。レッシュ果汁の色合いそのままに、新鮮な原料果汁を使用、飲み心地がさらりとしています。
カムカムを使った商品3「カムカムドリンク コンク(濃縮果汁)」

東京農業大学世田谷キャンパス内の食品加工技術センターでつくられた「カムカムドリンク コンク」。水や炭酸水などで割って、ドリンクとして飲用します。製菓にも最適です。
カムカムを使った商品4「醗酵(発酵)カムカム」

発酵飲料の為、有益菌である天然酵母を一緒に体内に取り入れることができます。また、北海道産の甜菜から抽出された天然オリゴ糖(ラフィノース)を原料に加えています。ラフィノースは、胃や小腸で消化吸収されずに大腸に達し、善玉菌であるビフィズス菌の栄養になります。「醗酵(発酵)カムカム」原液20mlで、1日あたりのビタミンCの、栄養素等表示基準値に占める割合が約210%です。
原液20mlに対して、約5~6倍になるように水かお湯で希釈して飲みます。原液20mlと、牛乳または豆乳150ml、みかんをミキサーで混ぜてスムージーとして。また、ヨーグルトにソースとしてお好みの量をかけてもおいしいです。
カムカムを使った商品5「カムカム果汁100%」

紅茶に数滴入れたり、手作りのドレッシングにも。お好みのオリジナルメニューにお使いください。
その他、カムカムを使ったポン酢、カムカムの果汁入り濃縮飲料、カムカムのジュース、粉末状のパウダーカムカム、カムカムのキャンディー、カムカムのシャーベットなどもあるようです。
カムカムを「食べる」ときの注意点

ビタミンCは熱に弱いので、果汁もパウダーも熱を加えずに使うのがポイントです。ビタミンCは大量に摂取しても消化管からの吸収率が下がって、尿中排泄率が増加するため、体に悪影響をおよぼすことはないとされています。ただし、薬やサプリメントによる大量摂取で吐き気や下痢、腹痛などの影響が報告されています。
また腎臓の機能に問題がある場合は、ビタミンCの大量摂取によって腎結石のリスクが高まる可能性があります。


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- TEXT :
- Precious.jp編集部