「有名セレブやスーパーモデルが健康維持やダイエットのために食べている」として一躍、脚光を集めているチアシード。決して新しい食べ物ではなく、古くマヤ、アステカの時代から優れた栄養をもつ作物として、大切にされてきました。「走る民」と呼ばれるメキシコの先住民族の持久力の秘密は、チアシードにあると言われるほど。ここではチアシードの基礎知識、歴史、その優れた栄養成分などをご紹介していきます。

スーパーフードとして話題のチアシードって何?

マヤ、アステカ文明からスーパーフードだったチアシード

チアという植物の種子であるチアシード

チアシードはチアという植物の種子。チアはシソ科の植物で、学名は「サルビア・ヒスパニカ」と言い、小さな紫の花を咲かせます。メキシコ南部が原産地と言われています。

小さな紫の花を咲かせるチア

チアの種子のチアシードは1ミリ程度と、ゴマよりも小さいもの。最近、スーパーフードとして人気を集めていますが、紀元前3000年以前から当地の人々はチアシードを食べていたと考えられており、この地に栄えたマヤ、アステカ文明においては、トウモロコシと同様に重要な作物でした。

水を加えると膨らんでジェル状になるのが、チアシードの特徴

水に浸すと約10倍以上に膨らんでジェル状になるチアシード

チアシードのユニークな特長は、水に浸すと約10倍以上に膨らんでジェル状になることです。無味無臭なので、そのまま飲んだり、ジュースやスムージーに加えたり、ドレッシングやスープにしたり、さまざまに使えます。デザートにも向いています。

走る民「タラウマラ族」の驚異的な持久力はチアシードの賜物!?

メキシコ北西部にはタラウマラ族、またはララムリという山岳民族が住んでいます。彼らは「走る民」と呼ばれ、驚異的な持久力を誇っています。その彼らが食べているのがチアシード。もちろんチアシードだけが、タラウマラ族、ララムリの走る力を生み出しているわけではありません。

ですが、走る民とチアシードは、切っても切れない関係にあります。彼らは袋にチアシードを詰め、あとは水筒だけを持って長い距離を移動したり、シカなどの動物を何日も追いかけて狩りをしたり、時にはサッカーのような遊びを楽しみました。ただし、サッカーと違うのは、ゴールが40キロ以上先にあることです。


チアシードの栄養成分

チアシードは私たちの体に欠かすことのできないオメガ3と呼ばれる油を含む

チアシードには、「チア=力、チアシード=力の種」という意味があります。現地の人々が長年の経験の中から感じ取っていたとおり、チアシードは私たちの体に欠かすことのできない油を豊富に含んでいます。オメガ3と呼ばれる油です。その他、食物繊維、必須アミノ酸を含む良質なタンパク質、カルシウム、カリウム、鉄、亜鉛などのミネラル、ビタミンBなどを多く含んでいます。

チアシードに含まれる油、オメガ3とは?

私たちが食べている油は4つの種類に分けられます。飽和脂肪酸、オメガ9、オメガ6、そしてオメガ3の4つです。

飽和脂肪酸は、バター、牛肉、チーズなどに含まれます。
オメガ9は、豚肉、鶏肉、オリーブオイル、なたね油、アーモンドなどに含まれます。
オメガ6は、サラダ油、コーン油のほか、マヨネーズやインスタント食品に含まれます。
オメガ3は、エゴマ油、アマニ油、青魚、そしてチアシードなどに含まれます。

この4種類は、さらに「体の中でつくることができる油」と「体の中でつくることができない油」に分けられます。後者の体の中でつくることができない油は、食べ物から取る必要があり「必須脂肪酸」と呼ばれます。

オメガ3は詳しく見ると、さらにいくつかの脂肪酸に分けられますが、チアシードにはオメガ3脂肪酸であるα-リノレン酸が豊富に含まれています。

α-リノレン酸は、ほうれん草にも含まれていますが、1日に必要な量2gを取るには、ほうれん草を1キロ以上食べる必要があり、現実的ではありません。また牛肉の油にも含まれていますが、牛脂を1日300g食べる必要があり、こちらも現実的ではありません。

一方、チアシードであれば、1日大さじ1杯程度(約10g)で、必要な量2gを取ることができます。

チアシードに含まれる、α-リノレン酸の効果

チアシードのα-リノレン酸には、体の炎症を抑える働きや動脈硬化のリスクを下げる効果も

α-リノレン酸には、体の炎症を抑える働きや動脈硬化のリスクを下げる効果があります。また産後うつなど、うつの症状を抑える働きもあります。

さらにα-リノレン酸は、体の中でDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)に変わります。DHAは、学習機能など脳の働きを改善することで知られています。EPAは、血液が固まることを抑える働きがあり、血液を「さらさら」な状態にします。DHAもEPAも青魚に豊富に含まれていることは、よく知られています。

食物繊維が豊富なチアシード

チアシードは水に浸すと約10倍に膨らみ、ジェル状なります。このジェル状のものは、グルコマンナンという植物繊維です。

食物繊維は便秘の改善をはじめ、腸内環境を改善します。またグルコマンナンの水で膨らむ性質は、少ない量でも満腹感を与え、ダイエットにもオススメです。

チアシードに含まれる良質なタンパク質

チアシードには、タンパク質も多く含まれています。タンパク質は約20種類のアミノ酸からできていますが、私たちは約20種類のアミノ酸のうち、9種類のアミノ酸を体内でつくることができず、食べ物から取らなければなりません。この9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」と呼びます。

一般に、食べ物に含まれるタンパク質の栄養価を表現するときには、この「必須アミノ酸」を多く含むものを「栄養価が高い」「良質なタンパク質を含む」などと表現します。肉や魚、卵などの動物性タンパク質は必須アミノ酸をバランスよく含んでいます。「畑の肉」と言われる大豆も必須アミノ酸をバランスよく含んでいます。

一方、植物性タンパク質は9種類の必須アミノ酸を含んでいても、一部のアミノ酸の含有量が少ないものが多いのです。ですが、チアシードは9種類の必須アミノ酸をバランスよく含んでいます。


チアシードの健康効果

チアシードい含まれるDHAやEPAは、コレストロールや中性脂肪を下げ、脳の学習機能を向上させると言われる

チアシードの健康効果 その1:老化や生活習慣病の予防

チアシードに含まれているα-リノレン酸は、体内でDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)に変わります。DHAやEPAはコレストロールや中性脂肪を下げることで、動脈硬化や心筋梗塞、生活習慣病の予防につながるとされています。

チアシードの健康効果 その2:認知症やうつの予防

またDHAやEPAは、脳の学習機能を向上させると言われています。さらに青魚をよく食べる国ほど、うつの発症率が低いことから、DHAやEPAはうつの予防や改善も期待されています。

チアシードの健康効果 その3:アレルギーの改善

必須脂肪酸であるオメガ3、オメガ6はどちらも私たちの体に欠かせない成分なのですが、現代人の生活はマヨネーズやインスタント食品に含まれるオメガ6が多くなりがちです。オメガ6が多くなると、免疫のバランスが崩れて、アレルギー症状が起こりやすくなると考えられています。

チアシードの健康効果 その4:便秘の改善

チアシードは食物繊維を豊富に含み、水に浸すと約10倍に膨らみます。食物繊維や便秘の改善をはじめ、腸内環境を改善します。水で膨らんで満腹感を得られやすいので、ダイエットにも最適です。


チアシードのレシピ

チアシードの食べ方

チアシードは水に浸してから使うことをおすすめします。12時間程度水に浸すとよいでしょう。

また、チアシードに含まれるα-リノレン酸(オメガ3脂肪酸の一種)は、熱に弱い性質を持っています。加熱は避けてください。

チアシードを使ったレシピ その1:チアシードヨーグルト

手軽にチアシードを食べることができる、チアシードヨーグルト

水に浸したチアシードを市販のヨーグルトに混ぜるだけ。手軽にチアシードを食べることができます。

水に浸すのが手間な場合は、チアシードを市販のヨーグルトのパックに入れ、よく混ぜて一晩(できれば12時間以上)冷蔵庫で保存してください。

チアシードを使ったレシピ その2:チアシードのネバネバ冷製パスタ

水に浸したチアシードをプラスしてチアシードパスタに

納豆やオクラを使ったネバネバ冷製パスタは、夏のスタミナ食にオススメです。そこにさらに水に浸したチアシードをプラスしてみてください。

チアシードを使ったレシピ その3:チアシードドレッシング

チアシードドレッシングをかけたサラダはとってもヘルシー

水に浸したチアシードをオリーブオイル、酢、塩、コショウと混ぜてドレッシングに。

チアシードを使ったレシピ その4:チアシードのスムージー

チアシードをオシャレに楽しむ、チアシードスムージー

お気に入りのスムージーに、水に浸したチアシードを加えるだけで、見た目にも楽しいスムージーに。


チアシードを食べる時の注意点

チアシードは、食べる前に水に浸すことをおすすめします。ゴマに似ていますが、そのまま食べると少し食べにくいと感じる場合もあります。

チアシードを水に浸す理由

食べる前に浸水すると食べやすくなるチアシード

チアシードの発芽毒(=発芽抑制物質)について言及されることもありますが、その心配はなく、浸水せずに食べても人体に影響はありません。それよりも、そのまま食べると口内の水分を奪われて、口やのど・食道に張り付いてしまい、炎症を起こす恐れがあるため、浸水して食べることをおすすめします。

加えて、消化をよくする、殻の中の栄養の吸収をよくする目的で10分以上の浸水、またはよくかみ砕いたりパウダーにすることが推奨されています。

東京農業大学の教授・藤井良晴氏によれば、「チアシードの安全性について危惧される方は、フィチン酸・アブシジン酸を発芽抑制物質として心配されるようですが、こちらに関しては、植物に対する作用であり、人体に関しては問題ありません。植物の種子の発芽を阻害する成分という意味で、人間には毒ではありません。フィチン酸は玄米やヌカに大量に含まれており、重金属を吸収してその毒を解毒する作用があるはずです。アブシジン酸も植物ホルモンですが人間には猛毒ではありません」とのこと。また、アメリカでチアシードの再発見に寄与されたアリゾナ大学のDr.ウエイン・コーツ氏による見解も同様です。

監修者:植西杏子さん
一般社団法人 日本スーパーフード協会 スーパーフードアカデミー講師
(うえにし きょうこ)スーパーフードの正しい知識を普及・啓発する活動を通して、人々の健康と幸福を維持増進するライフスタイルを創造する「一般社団法人 日本スーパーフード協会」。スーパーフードのプロフェッショナルを育成する教育制度として「スーパーフードマイスター」等の資格認定制度の運用。スーパーフードアカデミーの運営を通して、通学・通信(e-ラーニング)講座や、セミナー、イベントなどを通して広報活動を実施。
一般社団法人日本スーパーフード協会

スーパーフード関連記事

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。