【目次】
顔の脂が過剰分泌される原因【5選】
【1】スクラブやピーリング、角栓パックのやりすぎ
「鼻の頭の気になる黒い角栓や、頬の毛穴詰まりを、角栓パックでむしり取ったり、指で押し出したりすることはやめましょう。毛穴の周りは、常に皮脂によって微弱な炎症が起きているため、刺激することで炎症が悪化。これにより、肌の防衛反応が起こり、皮脂分泌が盛んになったり、角質が厚くなったりと、より角栓ができやすくなってしまいます。
スクラブやピーリングも同様、肌がツルツルになるからとやりすぎると、毛穴が小さくなるどころか、摩擦による炎症で毛穴の開きが悪化することも」(亀山先生)
【2】高脂肪・高糖質な食事
「脂身の多い肉や揚げ物、炭水化物、甘いものなど高脂肪&高糖質な食事は、皮脂腺に刺激を与え、皮脂分泌を増やします。さらには、腸内の悪玉菌を増やし、腸内環境を悪くすることも分かっています。悪玉菌が作り出す有害物質は、腸から吸収されて全身を巡り、過剰な皮脂やニキビ、毛穴の炎症を引き起こす原因にもなっています。
毛穴レスな美肌を目指すなら、納豆やヨーグルト、食物繊維が豊富な野菜など、善玉菌を増やす食事を心がけ、腸内環境を整えることも大切です」(亀山先生)
【3】生理前に甘いものを食べる
「生理前になると、チョコレートやケーキ、アイスクリームなど、甘いものを食べたくなる人は多いと思いますが、控えるようにしましょう。排卵後から生理前は黄体ホルモンが優位になるため、皮脂の分泌が増え、肌がベタつき、毛穴も開きやすくなっています。甘いものは皮脂腺に刺激を与え、皮脂分泌を増やすため、さらに追い討ちをかけることになってしまうので要注意」(亀山先生)
【4】睡眠不足
「『成長ホルモン』は、睡眠中に多く分泌され、骨や筋肉の成長を促す他、代謝をコントロールしたり、女性ホルモンの分泌を促すなど、美肌に欠かせない重要なホルモンです。しかし、睡眠時間が短いと、成長ホルモンの分泌が少なくなり、代謝が低下。ホルモンバランスの乱れにより、皮脂分泌も活発になり、毛穴が開いてしまうのです。また、眠りが浅いなど、十分に疲れが取れていない状態が続くことでも、皮脂分泌は増加します。
『成長ホルモン』は、入眠30分から1時間の間に最も多く分泌されるので、睡眠時間を確保するだけでなく、この時間帯に深く眠っていることも毛穴レスな美肌にとって重要なポイントになります」(亀山先生)
【5】ストレスを溜め込んでしまう
「大人の毛穴には、ストレスが大きく関係しています。毛穴が目立ってしまうのは、皮脂量が多いことによるものですが、ストレスは皮脂の分泌を増加させるので、毛穴を目立たせる原因に。毛穴の出口がぽっかりと開いた『すり鉢毛穴』や、角栓が詰まった『詰まり毛穴』は、過剰な皮脂が原因で起こります。
また、ストレスを感じると交感神経が優位になり、毛細血管が収縮し、血流が低下。肌に栄養が行き渡らなくなることで、肌の弾力に欠かせないコラーゲンやエラスチンが減少し、『たるみ毛穴』を進行させます。40歳を過ぎると、加齢による肌のたるみはすでに始まっていますが、ストレスでさらに毛穴のゆるみを加速させないよう、できるだけストレスを減らすことを心がけましょう。
運動はストレス解消に役立つばかりか、体内でAMPKという美肌と若返りの酵素が増えるので、毛穴レスな肌はもちろん、エイジング対策にもおすすめです」(亀山先生)
大人の毛穴悩みに皮膚科医が回答! 毛穴の目立ちを加速させる、8つのNG習慣とは?
【改善法1】スキンケアを見直す
【洗顔】
【1】洗顔は皮脂の多い「Tゾーン」から洗う
CMの影響からか、頬から洗うのがクセになっているという方が多いよう。
「洗顔は、皮脂分泌の多いTゾーンから洗うのが鉄則です。なぜなら、脂分を落とすのがいちばん大変なので、ほかの部位が洗い終わるまで泡をのせておいても肌への負担が少なくてすみます。
皮脂腺のほとんどない頬は乾燥しやすいので、なるべくササッと洗いたいもの。泡のクッションの上から優しく洗って、こすらないようにだけ注意してください」(友利先生)
朝洗顔や順番の見直しを! 意外と知らない正しい洗い方と、おすすめ洗顔料2選
【2】Tゾーンだけではなく「角質ケア」を意識する
Tゾーン(写真の青線部分)をしっかり洗うクセはついていても、ほかは適当、という人が少なくないのでは? しかし、大人肌は、角質が全体に溜まりがち。それだけでは不十分なんです。ゴシゴシと擦る必要はありませんが、頬やUゾーンもきちんと意識して洗いましょう。たるみ始めた大人の毛穴は、額は下へ、それ以外の場所は斜め下に向いているので、たっぷりの泡を下から上へ行き渡らせることがポイントです。
【保湿】
【1】「プレ美容液」で肌をほぐし、水分の入りやすい肌に
肌の水分がなくなってくると、肌は硬くゴワつき、くすんだ印象になってしまいます。そんな肌にローションで水分を与えても、なかなか入っていきづらいのが現実…。
そこで、まずはプレ美容液で肌をほぐしながら潤し、水分が入っていきやすい通り道をつくってあげることが先決です。いつものスキンケアに取り入れやすい、洗顔後すぐに使うアイテムでもあるので、ぜひ毎日のお手入れに組み込んで、肌をほぐす習慣づくりを。
<STEP.1>手のひらに出し、のばし広げておく
<STEP.2>顔の内から外へ塗り広げる
【2】「サラサラ化粧水」で肌の水分量を満タンに!
プレ美容液で水分の通り道ができたら、あとは化粧水で水分をたっぷりと与えていくだけなのですが、ここでは化粧水のタイプが重要なポイントに。保湿力の高いとろみタイプが40代・50代女性には人気ですが、水分にこだわるとそれでは足りないのです。
そこで選ぶべきはサラサラとした水っぽい化粧水。水を感じながら、肌がたっぷり水分を含むまで、何度でも重ねづけをしてみてください。コットンよりも手のほうが肌がモチッと水分を含むのが確認しやすいので、オススメです。
<STEP.1>顔全体にローションを塗布
<STEP.2>重ねづけしてから押し込む
<STEP.3>手の甲で満タンになったかチェック
【3】「オイル」で疑似皮脂を増やし、やわらかさ&艶をアップ
たっぷりと水分を含んだ肌に、次はオイルで油分をチャージ。年齢とともに水分だけでなく、皮脂量も減ってくるので、オイルはアラフォー・アラフィフ女性が積極的に取り入れたいアイテムのひとつです。
オイルの油分は瞬時に疑似皮脂となって肌をやわらかく、艶やかに見せてくれる効果が。化粧水のあと、また乳液のあとなどにも使えるので、いつものスキンケアのなかで使いやすい順序で取り入れてみてください。
<STEP.1>適量は全顔で1~2滴
<STEP.2>指先に塗り広げてスタンバイ
<STEP.3>「塗る」のではなく「おく」のがコツ
肌の水分と油分のバランスが整うと、肌のコンディションがよくなるので、透明感やハリ感もアップ。水分をたっぷり与えて、栄養をプラスする、そんな土壌を整える基本的なケアがいくつになっても重要なのです。
始めた人から-5歳!「美ほっぺ」ケアで若返り【スキンケア編】
【番外編:顔のテカリを抑えるパウダーメイク】
■2種のフェイスパウダーを使い分けてくずれ知らずに
「ほとんどの方が、1種類のフェイスパウダーでメイクを仕上げていると思いますが、メイクくずれが気になるようなら、『塩』と『砂糖』の2種類のパウダーの使いわけを。
『塩』パウダーは、粒子が細かくサラサラで肌に溶け込むタイプ。いわゆるフェイスパウダーやおしろいに分類されるもの。『砂糖』パウダーはミネラルが主成分でしっとりとした質感が特徴です。ミネラルパウダー=『砂糖』パウダーとして覚えていただいてOKです」(ヘア&メイクアップアーティスト・長井かおりさん)
■おすすめのベースメイクアイテム
■2種のフェイスパウダーを使い分けるメイクプロセス
<STEP.1>塩パウダーをTゾーンに
・ファンデーション(イヴ・サンローラン)を塗った肌に、パウダーをのせます。
・まずはサラサラタイプの塩パウダー(ラ・プレリー)をパフに揉み込み、皮脂の多いTゾーンにオン。
<STEP.2>塩パウダーを目の下にも
・続いて塩パウダーをアイシャドウブラシにとり、目の下を2往復。
・これが、アイメイクのにじみやくずれを予防する防波堤に。
<STEP.3>砂糖パウダーをブラシにとる
・しっとりタイプの砂糖パウダー(オンリーミネラル)をブラシにとります。
・まず余分な粉を落とし、その後ブラシの先を上に向けてトントンと粉をブラシの中に入れ込みます。
<STEP.4>Uゾーンと首筋に砂糖パウダーを
・乾燥しやすいUゾーンに、ブラシに含ませた砂糖パウダーをオン。
・ファンデーションがよれないよう中央は点置き、フェイスラインのみ軽く払うようにのせるのがコツ。
・ブラシに残ったパウダーを首筋にものせます。
<一日中くずれないメイクの完成>
1日中メイクがくずれないと噂の「塩」パウダー&「砂糖」パウダー使いとは?
【改善法2】正しい食べ方を身につける
■正しい食べ方を身につける食事改善法【5選】
【1】高たんぱく・中糖質・低脂質な食事を心がけよう
「40代女性が心がけたいのは、程よく糖質を摂ることと、積極的なたんぱく質の摂取。脂質はなるべく減らしつつ、食事の時には良質なタンパク質を必ず摂取するようにすると、良いバランスを保つことができます。エネルギー源となるご飯は白米、玄米、雑穀米など何を食べてもOK。
また、できるだけ魚を食べる方が、低脂質で高タンパクな食事メニューを作りやすくなります。タラやサケ、タイなどの白身魚、アジ、イワシ、サバなどの青魚がおすすめです」(森さん)
【たんぱく質の1日の摂取量について】
「1日に必要なたんぱく質量は体重1キロあたり1グラム。例えば、体重50キロの女性であれば50グラムのたんぱく質が必要です。代謝アップを狙うなら体重1キロあたり1.2グラムくらいを目指して摂取しましょう。1日に肉と魚を手のひら2枚分、これに卵1〜2個、納豆や豆腐など2〜3品プラスするのがおすすめです」(森さん)
【1食における理想の献立は?】
「理想の献立は、肉、魚、卵などの動物性たんぱく質と、納豆や豆腐などの植物性たんぱく質を組み合わせ、1食『見た目の50%』をたんぱく質にするのが理想的です。うち動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の割合は7:3が目安と成ります。圧倒的にたんぱく質が不足気味なので、毎食、十分に摂取するように心がけましょう」(森さん)
【プロテインドリンクもおすすめ】
「間食など甘いものが欲しくなる人は、プロテインドリンクを飲むことで、欲求を抑えられる方も多いようです。手軽に手に入るので、取り入れてみるのもおすすめです」(森さん)
【2】「ベジタブル・ファースト」よりも「プロテイン・ファースト」を意識
「血糖値の上昇を抑えたり、食べ過ぎ予防にも効果があるとして、野菜を先に食べる食事法『ベジタブル・ファースト』が話題になりました。食べ過ぎが心配な方は、この食べ方はおすすめです。
しかし、代謝を良くすることが目的であれば、『プロテイン・ファースト』を意識する方が良いでしょう。たんぱく質を優先しても、血糖値の急上昇は防げます。ビタミンやミネラル、食物繊維を含む野菜の摂取は大切ですが、肉や魚、卵などのたんぱく質の方が栄養価も高く、ダイエットには効果的です」(森さん)
【3】食べ過ぎた翌日は「絶食」「減食」でなく、食の調整を!
「外食など食べ過ぎた翌日は、前日に食べ過ぎた分を調整することは大切ですが、絶食したり、量を少なくするのは、栄養不足になりかえって逆効果。意識すべきは、何をどれくらい食べるかということなのです。
例えば、前日に食べたもので脂質が多かったのであれば、低脂質なものを選び、糖質やタンパク質は最低限の量を摂取すればOK。具体的には、ご飯、味噌汁、白身魚や大豆を使ったお惣菜などを組み合わせた、脂質を控えめにした和定食がおすすめです。自分が食べ過ぎたものをある程度把握しておけば、翌日に何を食べるべきかがよくわかります。サラダにしたからといって、ドレッシングをたっぷりかけていたら、脂質がオーバーになるので気をつけましょう」(森さん)
【4】噛み応えのある、自然の素材を使った食事をしよう
「麺類、柔らかいパン、スープなど、あまり噛まなくていい食べ物は避け、よく噛んで食べる食材を選ぶようにしましょう。咀嚼は脳を刺激し、摂食中枢に働きかけて、食欲を正しく制御します。また、顎の力が弱ると、フェイスラインが崩れる他、首が短くなり、首の横ジワも目立つようになります。美容面においても、しっかり噛んで食べることは重要というわけです」(森さん)
【5】1日2リットルの水を飲む必要なし!食事中の水分摂取も控えめに!
「『水は1日2リットル飲む』という説がありますが、科学的な根拠は一切ありません。水の過剰摂取は、水分代謝が低い方の場合、むくみの原因になることも。夏場なら1リットル、冬場なら500ml程度で十分です。飲めば飲むほど老廃物が排泄されたり、痩せるといったこともないので、ほどほどにしておきましょう。また、食事中の水分の摂りすぎは、噛む回数を減らしてしまうので、控えめに」(森さん)
ダイエット指導の達人・森 拓郎さんに聞く! 40代女性が陥りがちな「間違ったダイエット」とは?
【改善法3】睡眠できる環境を整える
■ぐっすり眠るための快眠テクニック【10選】
【1】規則正しい生活リズムを保つこと
「私たちの体内時計は光の影響を最も強く、そしてダイレクトに受けるので、光を味方につけることが欠かせません。朝と昼はなるべく部屋に光を取り込んで、明るくすること。そして、就寝1時間前になったら、やや暗めの暖色系の照明に切り替える。こうして昼夜の光のメリハリをつけることが体内時計を乱さないために重要なことです。
そして、基本的には就寝時間よりも、起床時間を一定にする方が身体のリズムは乱れません。起床後は、真っ先に窓際1メートル以内に立って、太陽の光を15秒間、目の中に入れます。すると、覚醒モードのスイッチが入ると同時に、そこから約14~16時間後に眠くなる予約のスイッチが押されるので、自然と夜になると眠気が訪れ、生活のリズムが乱れにくくなります。
睡眠や健康、美容に関するホルモンの分泌や体温のリズム、自律神経のバランスなどを考慮すると、0時から6時にかけて7時間程度睡眠をとっている状態が理想です。テレワーク中は、これらを意識しながら、生活を行うようにしてみましょう」(友野さん)
【2】起床後、1時間以内に朝食を摂取!
「夜ぐっすり眠るためにも、起床後1時間以内に朝食は必ず食べるようにしましょう。中でも積極的に摂取したいのがタンパク質。タンパク質に含まれるトリプトファンは、セロトニンの原料となるもので、眠りを促す働きのあるホルモン、メラトニンに変化します。
セロトニンの生成には、トリプトファン以外にもビタミンB6と炭水化物が必要で、この3つの成分を含むのがバナナ。朝食を食べる習慣のない方は、まずはバナナだけでも食べるようにしてみてください」(友野さん)
【3】寝る部屋と仕事をする部屋は別々に!
「テレワーク中は、寝る部屋と仕事をする部屋は別々にするのがベスト。ワンルームの場合は、簡易的でも良いので、布やパーテーションで仕切りを作るようにしましょう。特に、ベッドの上で仕事をすることは控えるようにしましょう。不眠の大きな原因となってしまいます」(友野さん)
【4】3つのルール守って、お昼寝を取り入れよう
「お昼寝は寝不足の解消にもおすすめです。日々、溜まっていく睡眠負債を補うだけでなく、QOL(生活の質)や生産性も上がることがわかっています。ただし、以下の3つのルールを守って、お昼寝をするようにしましょう」(友野さん)
<お昼寝の3つのルール>
1.昼寝は15時まで。それを過ぎるとその日の夜の睡眠に悪影響を及ぼします。
2.昼寝の時間は20分以内。
3.座った姿勢でお昼寝を!横になると20分では起きることができなくなります。
【5】ヨガやストレッチなど運動を心がけよう
「スポーツクラブなどが休館中のため、運動する機会も失われがちですが、心地よい眠りのためには、運動はできるだけ行うのがベター。快眠へつなげるためには、19時前後に30分程度、運動をすることが望ましいです。体内時計だけでなく、身体が疲れることで、眠くなる作用も質の高い睡眠には必要だからです。この時間帯に運動しておくことで、体温が上昇し、その後、体温が下がって眠くなる際の落差が大きくなるので、よりスムーズに眠れるようになります。
また、運動は心の健康を維持する効果もあります。ただし、21時以降は深部体温が低下して、身体がおやすみモードに入っているので、呼吸があがったり、心拍数が高くなるような激しい運動は避けましょう。気持ち良いと感じる程度のストレッチやヨガがおすすめです」(友野さん)
【6】寝室の睡眠環境を整えよう
「寝室の環境は、睡眠の質を大きく左右します。リラックスして眠れるよう、寝具も含め、寝室の空間作りにもこだわりましょう。心地よく眠るための寝室の温度は1年を通じて19~27℃の間、湿度は60%がベストです。寝床内気候は、1年を通して33℃前後が良いといわれています。冷たい空気は下に、暖かい空気は上にたまりやすいので、空気を循環させるためにもサーキュレーターを上手に活用してください。
また、沈みすぎるマットレスや合わない枕では、寝返りがしにくくなり、体の痛みや歪みを引き起こす原因に。寝返りは、就寝中の体の健康を保ち、質の高い睡眠を維持するためにも重要です」(友野さん)
【7】パジャマを着て寝る習慣を身につけよう!
「スウェットやパーカーなどで寝ている人も多いと思いますが、ルームウェアなどの分厚い衣類では、寝返りが上手にできないため、睡眠の質が悪くなってしまいがち。快眠を目指すなら、きちんとパジャマを着て寝るようにしましょう。パジャマデビューする人は、コットン素材のものがおすすめ。肌触りや心地いいと思うものを選びましょう」(友野さん)
【8】寝る30分〜1時間前にはスマホはオフ
「テレビやPC、スマホの画面から発せられるブルーライトは、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌を抑制し、入眠を妨げます。特にスマホ画面からのブルーライトは暴露量が非常に高く、顔との距離も近いので要注意です。就寝30分〜1時間前になったら手放すようにしましょう。
また、不安になるようなニュースもできるだけ避けるようにしましょう。夜は脳も疲れていて、ネガティブになりやすいので、なるべく情報量は少ない方が良く、心が和むこと、リラックスできることに時間を使うことで、快眠がサポートされます」(友野さん)
【9】眠れないときは、一旦ベッドから出ましょう
「ベッドに入って30分以上眠れない場合は、一旦ベッドから出てください。そこに居続けると眠るための場所なのに休まらない場所と脳に意識づけされてしまい、翌日ベッドに入っても眠りづらい状態が起こりやすくなってしまいます。結果、人によっては入眠障害へと発展しまうケースも。ベッドから出たら、次のことを守って行動してください。
1.光の刺激を受けない。スマホやテレビは見ない。
2.頭を使わずにできる単調な作業を行う。読書や塗り絵、洗濯物をたたむなど。
3.時計は絶対に見ない。
4.眠くなったらベッドに戻る。
この4つが『眠れない時の夜のお約束』になります」(友野さん)
【10】スリープセレモニーでよい眠りをサポート
「スリープセレモニー(入眠儀式)とは、『これをすると眠れる』といった、無条件な意識づけを脳にさせるための行いのこと。例えば、ピローミストなどお気に入りの香りや、ヒーリング音楽など、自分だけのおまじないを持っておけば、スムーズに眠りのスイッチを入れやすくなります。また、おすすめの快眠法を以下にご紹介します」(友野さん)
<4−6呼吸法>
4秒かけて吸い、6秒かけて吐く「4−6呼吸法」は就寝前におすすめです。ゆっくりとした深い呼吸はリラックス感を高め、快眠を促進してくれます。
<足浴>
女性は末端冷え性の方が多いですが、手や足が冷えていると入眠が妨げられてしまうので、快眠促進効果のある足浴がおすすめです。43度程度の熱めのお湯で10分間、リラックスできる香りの精油をプラスすると良いでしょう。面倒な場合は、レッグウォーマーを着用し、10cm程度離したところから1分間ドライヤーの温風を当ててあげるのもおすすめです。
睡眠コンサルタントに聞く! 免疫力を高める「快眠」テクニック10選
【改善法4】ストレスを解消する
■自宅でできる!ストレス解消法【8選】
【1】普段はやらないことに意識的に挑戦する
「人間のストレスは大きく分けると2種類あります。1つは結婚・離婚や転職、職場の異動、引っ越しなど自分のキャパを超えた環境の変化に晒されたときに感じるもの(結婚や出産などハッピーな出来事でも、急激な変化自体がストレス源になります)。もうひとつは、変化がなさすぎるがために、心が疲れてしまうというものです。
体は健康だけれど、自宅で自粛生活を送らざるをえないことによって生じるストレスは、後者だと考えられます。
自粛生活で視界に入るものといえば、四六時中、見慣れた部屋の光景ばかり。たまに外に出ることはあっても、今は生活に必要なものの買い出しを、近場で済ませることくらいしかできない……。こうした極端に変化のない状況が長引けば、ストレスがたまらないわけがありません。
こうした現状を打破するためには、変わり映えのない日常において、意識的に変化を生み出すことを心がける必要があります。
もちろん、家にいるしかない状況では、選択肢に限りはありますが、たとえば、自宅にいる時間が長いからこそ、新しい資格試験や語学などにチャレンジしてみる。普段はあまり家事をしない人が、凝った料理に挑戦してみるなど、いろいろできることはあるのではないでしょうか。
あるいは、読書や映画鑑賞が趣味という人は、今まで自分がまったく興味のなかったジャンルの作品を、敢えて選んでみるのもよいでしょう。変化に富んだ毎日は充実感を生みます」(櫻井さん)
どんな些細なことでもいいので、1日1個ずつでも“自分が今までやったことがないこと”に挑戦してみてはいかがでしょうか?
Precious.jpの「stayathomeに使えるアイディア」を見る
【2】ヨガをする
「さきほど、あまりにも変化がないことがストレスの要因になるとお伝えしましたが、実は、姿勢や体勢にも同じことがいえます。ずっと同じ姿勢や体勢でいることによって、ひどく疲れを感じた経験があると思いますが、身体的な変化のなさは、メンタルにも悪影響を及ぼしてしまうのです。
この観点から、ヨガはおすすめのストレス解消法だといえます。ヨガにはさまざまなポーズがあるので、今までやったことがない身体的変化を味わうことができますし、また凝り固まった体をヨガで緩めることは、心の凝りをほぐすことにもつながります」(櫻井さん)
「コロナ太り」対策に! 自宅で本格ヨガレッスンが受けられる「オンラインヨガ」おすすめ3選
わざわざヨガ教室に通わなくても、YouTubeなどでいくらでもヨガの解説動画が無料で視聴できますし、運動不足解消もかねて、ヨガに取り組んでみましょう。
【3】気功(呼吸法)をやってみる
「もう1つ、自宅で体を動かす系のストレス解消法としておすすめなのは気功です。
気が滅入る、気が沈む、気がふさぐ……など、“気”に関する表現はたくさんありますが、ここでいう“気”とは実は呼吸に関係しています。
自粛生活では、人と話す機会も減り、おのずと呼吸が浅くなりがちなのも、ストレスの一因です。そこで、浅くなった呼吸を整えたり、体内の淀んだ気を放出して新鮮な気を取り込んだりするためにも、気功は有効な手段だと考えられます」(櫻井さん)
気功もヨガ同様、ネット上に解説動画がたくさんあります。体を動かすのが好きな人は、もちろんヨガも気功も両方やってみるといいのですが、もし「体が硬いからヨガは難しいかも……」など苦手意識がある場合は、まず気功に挑戦してみるといいかもしれません。
【4】1日に1回思い切り感情を発散させる
「自粛生活といえば、とにかく我慢の連続です。旅行などのレジャーはもちろんのこと、買い物に行くのも我慢、外食も我慢……と行動を抑制していると、心のエネルギーが行き場を失って、それがストレスとなります。
パンパンにふくらんだ風船のようなものなので、爆発してしまわないように、ためこんだエネルギーを1日1回うまく放出してあげましょう。
具体的な方法は、人それぞれだと思いますが、たとえば、思い切りゲームに没頭する、お笑い動画を見て爆笑する、あるいは、感動する作品を見て涙を流すなど、自分の感情が揺すぶられるものであれば、何でもOKです。
もし、自宅でできる範囲でそのような趣味がどうしても思い当たらないのであれば、お風呂を活用しましょう。バスソルトなど温熱効果のある入浴剤を入れたお風呂に入って、いつもよりたっぷり汗をかくことでも、ストレス解消効果があります」(櫻井さん)
スポーツクラブやサウナに出かけることはできなくても、工夫しだいで自宅で汗をかきストレス発散することは可能なのですね。
【5】断捨離する
「自宅で過ごす時間が長い今だからこそ、家の中を徹底的に掃除したり、断捨離したりするのもストレス解消にもってこいです。
人間は視覚情報によって、よくも悪くも心に影響を受けるもの。ごちゃごちゃと物が片付いていない部屋にいると、どうしてもストレスがたまりやすいですし、逆に、断捨離してすっきり片付いた家の状態を目の当たりにすることには、ストレス解消効果が期待できるでしょう。
そもそも、捨てるのが苦手な人というのは、ものを大切にする人という肯定的な見方もできますが、一方で、過去に執着して、ネガティブな出来事をいつまでも記憶に保存してしまう傾向があります。
家のなかの不要なものとともに、過去の嫌な記憶やストレスも処分するつもりで、断捨離に取り組んでみましょう」(櫻井さん)
【6】暗い情報に接したあとは意識的に明るい情報で中和する
「今はテレビでもネットでも、否が応でも暗いニュースを見聞きせざるをえず、これがストレスに拍車をかけます。もちろん、自分の健康のためにも社会全体のためにも、最新のニュースをチェックして、正しい情報を仕入れることは大切です。しかし、新型コロナウイルスに対する不安が高じて、公式のニュースだけでなく、SNSの情報などをずっと深堀していくのは、メンタルヘルス上はおすすめできません。
体を健康に保つには、体にいい食べ物をとることが推奨されるように、心の健康を保つには、気持ちが明るくなったり癒されたりする情報に意識的に接することが不可欠です。どのような情報に接したときに、気持ちがポジティブになるのかは個人差があるので、こうすればいいと一概にアドバイスはできないのですが、まずは、自分がどんな物を見たり、聞いたりした時に心の状態が上向くのか?振り返ってみてはいかがでしょうか」(櫻井さん)
例えば、前向きな内容の本を読む、音楽を聴く、かわいい動物の動画を見る、好きな人の画像や映像を見るなど、いろいろ方法はあると思いますが、ニュースをチェックした後、すぐにそうした心の癒しにアクセスできるように、ブックマークなど準備をしておくといいかもしれませんね。
【7】ポジティブな妄想をする
「社会全体が暗いムードに包まれ、気分がふさぎこみがちな今、できれば1日に数分でいいので、ポジティブな妄想タイムを設けましょう。この先どうしよう、どうなってしまうのだろうと、不安のあまりお腹が痛くなった経験のある人は多いと思いますが、人の心と体は密接につながっているもの。心のもちようで病気になることもあれば、逆に、病気から回復することもあります。
実際に、サイモントン療法といって、ガン患者のかたにポジティブな想像をしてもらうことによって、ガンの進行を遅らせるという心理療法があるくらいです。もちろん、これからどうするのか現実を直視することも大切ですが、心身の健康を保つためには、現実と脳を切り離す時間も必要だといえます。どんな荒唐無稽な内容でもいいので、1日に数分、ポジティブな妄想に浸りましょう」(櫻井さん)
新型コロナウイルスがいつ収束するのかは、専門家でさえも今は正確に予測することができません。そうした状況では、誰しも先行きが不安になるのは当然ですが、「一体こんな状態がいつまで続くのか」と不安にさいなまれるだけでなく、敢えて「状況が落ち着いたらあそこへ旅行に行こう」など、楽しい計画に思いを馳せるのもいいかもしれませんね。
【8】誰かのためにできることを考えたり、行動を起こしたりする
「過酷な状況から回復する能力のことを、心理学ではレジリエンスといいますが、このレジリエンスの高さには、他人のことをいかに思いやれるかが関わっているのではないかと考えられています。実際、東日本大震災などにおいて、被災者のなかで自ら現地でボランティア活動に携わった人たちは、比較的、立ち直りが早かったそうです。
なぜ、人のためを思うことが、レジリエンスを高めるのか原因は3つ考えられます。
1つは、他人のことを考えていると、自分のことがひとまず後回しになり一時的に悩みから解放されるという点。2つ目は、人を思いやることで脳内ホルモンのオキシトシンが分泌され、ストレス緩和になるという点。そして、3つ目は、実際に人の役に立つ行動を起こすことで、自己肯定感が高められるという点です。自粛生活が続く中、仕事が減ったり、四六時中顔を突き合わせている家族とコミュニケーションがうまくいかなかったりして、『なぜ自分だけがこんなに辛いのか』と悩んでいる人は多いかもしれません。
しかし、意識が自分にばかり向いてしまうと、ますますその悩みは深まるばかりです。もちろん、人によって事情はさまざまで、自分のことで精一杯という状況もあるかと思います。ただ、今回の新型コロナウイルスの影響で直接大きなダメージを受けたのではなく、静かに自粛生活を送っているみなさんは、大変な状況だからこそ、自分のことだけでなく、人のために何かできることはないか考えてみてはいかがでしょうか?
といっても、今は自宅での自粛が第一ですので、ボランティア活動など大々的なことを考える必要はありません。身近な家族や友人など、辛い思いをしている人の話に耳を傾ける。しばらく会っていない旧友や昔お世話になった人に安否確認の連絡をとり、もし相手が何か困っていれば、可能な範囲でサポートするなど、小さな“人のため”を実践してみましょう」(櫻井さん)
まさに、情けは人のためならず。自分の悩みや辛さにばかりフォーカスするのではなく、自分が周りのために何かできることがないか?考えることが、回り回って自分にとってもプラスになるのですね。
おこもり生活のイライラが消える!自宅で簡単にできる「ストレス解消法」8選
- TEXT :
- Precious.jp編集部