ナポレオンと運命的な出会いを果たしたジュエラー「CHAUMET(ショーメ)」ってどんなブランド?

創業者:マリ=エティエンヌ・ニト
創業地:フランス・パリ
創業年:1780年。皇帝ナポレオン1世や皇后ジョゼフィーヌをはじめ、ヨーロッパ各国の王侯貴族の御用達であったことでも名高いジュエラー。1812年にヴァンドーム広場15番地に店を構え、1907年に現在も本店があるヴァンドーム広場12番地に移転。自然をモチーフに、伝統とモダニティを融合させたエレガントなジュエリーやウォッチを数多く手がけている。

皇帝の威信を映し出す壮麗さと、自然のモチーフがブランド基盤

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1907年にパリ・ヴァンドーム広場12番地に移転したショーメのブティック © Chaumet

■創業当時のエピソード

ショーメの歴史は、1780年に王妃マリー・アントワネットの宝石商のもとで修業を終えたマリ=エティエンヌ・ニトが、パリのサントノレ通りに開いた店から始まります。

彼は、宮廷の宝石類の管理を任され、また後の皇后ジョゼフィーヌが生まれ育ったボワルネ家にも出入りしていました。

そしてある日、将校だった若きナポレオン・ボナパルトが乗った馬車が、暴走の末にこの店の前で転倒。ナポレオンは、彼を救出しただけでなく、店で手当てもしてくれたニトに深く感謝するとともに、店に飾られたジュエリーの美しさにも魅了されたのです。

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ナポレオン1世の肖像画 © Chaumet

その後、1802年にフランス皇帝を即位したナポレオン1世は、ニトを皇帝御用達ジュエラーに任命。ニトと彼の息子は、ナポレオンの戴冠式に用いられた宝剣や宝冠など、帝政時代の権力と豪華さのシンボルとしてふさわしい、壮麗な宝飾品の数々を生み出しました。

また、ショーメでは創業当時からジュエリーウォッチも制作していました。中でもユニークなのは、1811年に皇后ジョゼフィーヌの息子からバイエルン王国のオーガスタ妃への贈りものとして作られた2つのウォッチです。ひとつは時間を表し、もうひとつは日付を表すカレンダーで、両手につけるようデザインされています。

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1811年に創業者ニトが制作した2本のジュエリーウォッチ © Chaumet

■ブランドの転機

創業から2世紀以上の歴史をもつショーメにはいくつかの転機があり、それぞれが現在も受け継がれるブランドの大切な基盤となっています。

最初の大きな転機は、ナポレオン御用達ジュエラーとなったことを契機に、皇后ジョゼフィーヌや皇后マリー・ルイーズをはじめとする宮廷の女性たちのために、数々のティアラを制作するようになったことです。

とりわけ、ナポレオンが愛した女性であるジョゼフィーヌは、現在でもショーメのミューズとして「ジョゼフィーヌ」コレクションのインスピレーション源。

そしてティアラは、ショーメを象徴するアイテムとして受け継がれています。

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1811年頃に皇后ジョゼフィーヌのために制作された「麦の穂のティアラ」 © Chaumet

ジョゼフィーヌのために制作された「麦の穂のティアラ」に見られる、まるで本物の麦の穂が風にそよいでいるかのような繊細な表現は、ニト父子の後を継いだジュエラーたちによって「自然主義」というスタイルに確立されていきます。

とりわけ1885年に店を継ぎ、店名を現在の「ショーメ」と名乗るようになったジョゼフ・ショーメの時代には、それまでのデコラティブだったデザインに、自然のモチーフの美しさとアーティストの感性が取り入れられ、クリエイティビティを重視する、現代のジュエリーの基礎が築かれました。

彼が手がけたジュエリーに用いられた、朝露やミツバチ、アジサイなどのモチーフは、現在でもショーメの「オルタンシア」や「アトラップ モワ」のテーマとなっています。

1970年に発表された「ブティックライン」も、画期的なものでした。産業の発達に伴う生活様式の変化や、女性の社会進出によるジュエリースタイルの変化、モードのトレンドなどに対応するために、より日常的なデザインや素材で、価格も手ごろなジュエリーを世に送り出したのです。

ショーメのアイコンコレクションのひとつである「リアン」も、この時代に登場しました。

■ブランドのアイコン・定番アイテム

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「リアン」コレクション ジュ ドゥ リアン ハーモニー ペンダント © Chaumet

2本の組み合わさったクロスモチーフで、愛の“絆”を表現している「リアン」。恋人や家族、友人といった自分を取り巻く人々とのつながりはもちろん、自分自身への誓いや秘めた想いを表すジュエリーとして、人気のコレクションです。

伝統のクロスモチーフは再解釈が重ねられ、デザインもアイテムもバリエーション豊富に更新されています。

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「ジョゼフィーヌ」コレクション スプレンダー アンペリアル リング © Chaumet

ショーメの永遠のミューズである、皇后ジョゼフィーヌの感性を華麗に表現した「ジョゼフィーヌ」コレクションは、ショーメ独特の軽やかでエレガントなスタイルを継承。眩い宝石の輝きと、洗練されたデザインが見事に調和しています。

創業以来育まれてきた創造性と高度なサヴォワフェールの伝統とともに、現代的な新しい息吹も感じることができる、ラグジュアリーなコレクションです。

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「オルタンシア」コレクション エデン ウォッチ【2020年4月発売 日本限定モデル】 © Chaumet

ベゼルにアジサイの花があしらわれた「オルタンシア」コレクションのウォッチは、創業当時からジュエリーウォッチを手がけてきた、ショーメらしさを堪能できるデザイン。フェミニンなルックスの中に漂う高貴なオーラが、身につけた女性の手元に華やぎをもたらします。

■ブランドを愛用するセレブリティーとエピソード

創業以来、ヨーロッパ各国の王侯貴族や大富豪に愛されてきたショーメのジュエリー。中でもブランドの歴史に欠かせない人物が、ナポレオンが愛し、ショーメの初代ミューズであった皇后ジョゼフィーヌです。

感性豊かで自由に生きる女性だったジョゼフィーヌは、常に時代をリードする存在だったといわれています。彼女は豊穣と繁栄のシンボルであり、ショーメのアイコンとして受け継がれることになった「麦の穂」のモチーフのほか、個性的なデザインを好み、ニトの美意識を大いに刺激しました。

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皇后ジョゼフィーヌの肖像画 © Chaumet

1930年代以降は、インドの王子たちやアメリカの富豪、映画俳優などが顧客に加わります。若くして億万長者になったバーバラ・ハットンも、ショーメでティアラをつくりました。リチャード・バートン、ローレン・バコール。カトリーヌ・ドヌーヴ、カーラ・ブルーニなども顧客として名を連ねています。

2019年にモナコで開催された、ショーメのアーカイブピースを披露するエキシビションのガラパーティには、ナタリー・ポートマンが出席しました。

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ショーメのジュエリーを身につけたナタリー・ポートマン © Chaumet

 ■現在のCEOとブランドの新たな取り組み

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ショーメCEOのジャン=マルク・マンスヴェルト © Chaumet

2015年にCEOに就任したジャン=マルク・マンスヴェルトは、およそ2世紀半の年月を重ねるショーメというブランドの歴史や世界観、優れたクリエイティビティを伝えることに注力。

日本では2018年に三菱一号館美術館で開催されたエキシビションなど、世界各国でアーカイブピースを披露する機会をつくるとともに、新たなハイジュエリーコレクションの制作にも精力的に取り組んできました。

また、「自分の個性を表現するためのジュエリー」というブランドのフィロソフィーを表すために、意外性のある広告ビジュアルも展開。あえて後ろを向いたモデルがティアラをつけているなど、伝統と格式のあるハイジュエラーとしては斬新ともいえるアイディアが目を引きました。

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2018年に発表された公告ビジュアル © Chaumet

そして彼の指揮のもと、ブランド創立240周年を記念するプロジェクトとして、2020年2月29日にパリのヴァンドーム本店がリニューアルオープンしました。

ショーメのアイコンである麦の穂やミツバチ、自然主義からインスパイアされた植物のモチーフを中心とするモダンなインテリアに生まれ変わったブティックから、ショーメの新たな時代がスタートします。

サロンの素晴らしいおもてなしが体験できる!ショーメがパリのヴァンドーム本店をリニュアルオープン

CHAUMET(ショーメ)の問い合わせ先

CHAUMET(ショーメ)の公式サイト

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この記事の執筆者
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EDIT&WRITING :
谷 花生