憧れの野菜づくりを夢見て、セカンドハウスを探し始めてから5年目。

ようやく理想の古民家に出合え、妄想を現実にしていく楽しい生活が始まりました。田舎で過ごす週末は、まるで浦島太郎が竜宮城で時を忘れたように刺激に満ちた、濃い時間。初めての経験に満ちた田舎暮らしは面白く、人生新たな生きがいが見つかったと喜びを嚙みしめています。

今回は、初めての庭づくり【1:駐車場編】をレポートします。

完成した駐車場(手前)とバラ用のフェンス(奥、家手前)

まだまだ発展途上で、憧れのローズガーデンからは程遠いのですが、毎朝コーヒーを片手に、自分の大好きなバラを植えた庭を眺めるのは幸せなひとときです。この喜びを、著名なハーブ研究家・ベニシアさんはこんな一節で表現しています。

「The gardening is like a painting an ever-changing picture.」(ガーデニングとは、常に変わりゆく絵を描いているようなもの)
(引用:著ベニシア・スタンリー・スミス「ベニシアの庭づくり ハーブと暮らす12か月」世界文化社)

私もこんな気持ちを胸に、理想の庭をかたちにしていきたいと思います。

庭はどうやってつくるもの?

以前東京で、ルーフトップバルコニーが付いた家に住んだときに、主人の手ほどきでプランターでの家庭菜園と薔薇を栽培し始めたことがきっかけで、土いじりの愉しみを知りました。そのときは単純に、植物を管理しやすいように柵に沿ってぐるりと鉢を配置しただけ。「庭のデザイン」などは考えたこともありませんでした。

そのため、古民家のリノベーションを進める最中、パートナーに「庭、どう変える?」と意見を求められたとき、私にはひとつもアイディアがありませんでした。庭をつくるのって、どこから考えをスタートすればいいんでしょう? 実際に何から着手すればいいのでしょう? 頭のなかでもやもやしつつ、古民家の改修でいっぱいいっぱいだった私たちが実際に庭について動き出したのは、セカンドハウスを購入して1年が経ったころ。

まずは「お庭屋さん」を探してみようということになり、手始めにインターネットで検索をしたり、車を走らせている途中で見かけた造園屋さんに相談をしてみました。しかし、どういう庭にしたいのかビジョンが決まっていなかったため、見積もりが一向に取れません。私の憧れは「古民家だけど、パリっぽく。バラやラフに咲き乱れる草花が豊かな庭にしたい」だったのですが、そのイメージがまったく通じません。

それもそのはず、自分で実際に見たことがないもののイメージを他者に伝えたところで、共通解は得られません。私自身が個人宅の庭を片手で数えるほどしか見たことがなく、慣れ親しんだ祖父の庭を思い出しても、甘い実をつける大きな柿の木、椿、つつじなど、完全「和」テイストの草木を植えた、昔の王道とも言えるデザインだったため、憧れのローズガーデンとは違います。

私たちが譲り受けた古民家の庭の特徴は3つ。

■1か所に見事な大きさに成長したサツキやオオデマリが植栽されている

庭の全景パノラマ。サツキやオオデマリが植えられています

■家から門への動線はコンクリートの道で作られていたため、外出はしやすい

■敷地がぐるりと一周、槙の樹で囲われている

という特徴をもっていました。

敷地を囲う槙の樹

比較的発想力がたくましいパートナーも、現在の庭の「和」な状況から、私の理想を実現するアイディアは思い浮かばないようでした。「和」な庭のどこに、バラを植えればいいのでしょう……?

手始めに庭に関する本を大量に買い求めました。東京の本屋で探してみると「小さな庭」というキーワードのものか、山を切り崩してつくり上げている広大な庭について触れている本がほとんど。私たちの庭は、200坪ほどの大きさなのですが、なかなか自分たちの庭と同等のサイズをテーマにした本が見当たりません。

結局、古民家をリフォームしてくれた建築家の方が、私のリクエストを汲み、ガーデンデザイナーの宇井英喜さんを紹介してくださいました。あとからわかったことですが、宇井さんはセカンドハウスを一緒に探してくれた不動産屋さんの社長宅の庭を手掛けていて、ナチュラルさとモダンのバランスが素敵なお庭だな…と、好印象を抱いたデザイナーさんでした。

もともと大規模な公共事業にも携わっていた経験があったそうですが、きっちりと区画されたような設計よりも、個人宅の庭造りの方がバラエティーに富んでいて面白いと感じ、関東圏を中心に口コミで評判を集め活躍しています。宇井さんと丸1年もの間、毎月、頻繁な時は本当に毎週打ち合わせをじっくりと重ね、具体的にイメージが湧くよう何度もスケッチを提出してくれ、こだわりだけは強い私の納得がいくまでとことん付き合っていただいたおかげで、庭が造られていきました(付け足しておくと、打ち合わせには多大なお時間と労力をいただきましたが、工事が行われていないこの時点では費用は発生していませんでした)。

まずは駐車場づくり

一番初めに庭をつくり替えた場所は、駐車場でした。参考までに、一般的に駐車場やガレージのリフォーム予算は、平均相場が50~100万円と言われています。地面を均してコンクリートを敷き、門を付けるとこの程度に収まります。さらに、屋根やカーポートを追加したり、ゲートの種類によって倍になっていきます。

さて、私のセカンドハウスは傾斜に建っているため、正面入口から母屋までが坂になっており、その道を補強するようにコンクリートが敷かれ、車は母屋の前に停める位置関係になっていました。

車は母屋の前に停める位置関係に

この状況には「レイアウト」と「コンクリート道路」というふたつの問題点がありました。縁側からお庭のバラを眺めたいのに、車が邪魔をして楽しめない点。それから、車で道を下るときに車底がこすれてしまう急な角度と、狭すぎる道幅のコンクリート道路です。

計画当初、真っ先に駐車スペースを変えることには主人も宇井さんも合意に達しました。一方で後者の課題は、もともと「農家の家」である古民家の主が足に使っていたのは、小回りが利く軽トラックであり、当時は問題ない傾斜と道幅だったと思うのですが、私たちには不都合に感じられ、改善する必要が出てきました。

話がそれますが、道について少し詳しく説明しておくと、一般的に車道は歩道に比べ、車の重量に耐えられるようにコンクリートを厚めに敷きます。交通量が多い道路では50~60cmほどですが、我が家のコンクリートの厚みは20cm強ほどでした。そのため、この分厚いコンクリートを重機ではがし、廃棄処分する費用を考えると負担に感じ、なるべく道をつぶさずに活かせる方法がないかと悩み、決めかねていたのです。

最終的には、使わなくなる道ならば、と思い切ってコンクリートをはがすことにし、バラを存分に植えるスペースを確保することにしました。

バラを存分に植えるスペースを確保

ついでながら、田舎の道幅は普通車では狭く感じる通りが多く、二拠点生活に備えてマイカー・ドライビング講習を受けたのですが、怖がりな私はまだ田舎では運転できていません。

あれこれ考えた結果、ゲストの人数も話し合い、車2台が敷地内に入れば十分だろうと考え、勝手口の裏に着ける形で駐車場スペースを確保することになりました。

駐車場スペース。ここに砂利を敷きます

槇の生垣を開口し、家と道路のグランドレベルが、80cm差ある部分は階段で繋ぐことにし、斜面には芝生を植えました。地面にはナチュラルなデザインに寄せたかったのと、水はけ、霜や雪が降ったときを考え、コンクリートではなく砂利を敷くことにし、結果的にコンクリートを敷く予算よりもミニマムになりました。

砂利を敷いて立派な駐車スペースに
駐車場への階段もつくって80cmの段差を解消

それから車の出入庫時の負担を考え、オープン外構にし、入口の両サイドに枕木を立て、その間をチェーンでガードしています。始めチェーンは、ステンレスのしっかりした素材を考えていたのですが、長さ3.5メートルのチェーンを実際に手にしてみると、ずっしりと重たく使い勝手が悪いと感じ、軽量のプラスティック素材を選びました。ちなみに、オープン外構は防犯面で問題点が指摘されますが、我が家は傾斜地に家が建っているうえに、入り口の幅が長いため、しっかりブロックできるアコーディオン式や跳ね上げ式の門扉は選択肢に選びませんでした。実際に使い始めると今のところ不都合はなく、使い勝手とデザインに満足しています。

憧れのバラの庭、第一歩は「フェンスのDIY」でした

駐車場の仕上げはDIYをプラス。友人にも協力してもらい、2×4材にステンシルシートで塗装し、主人好みのやんちゃな米軍基地風の看板を作成しました。

ステンシルシートを養生し、ペイントをしてくれている友人
できあがった米軍基地風の看板と、堀江夫妻

なお、ステンシルシートは、ホームセンターでも購入できますし、インターネットでもなさまざまなバリエーションを見つけることができます。気をつけたいのは、スプレーを吹き付けるとき。塗装部分とシートに隙間があると、文字がぼやけてしまうため、きっちりとマスキングテープや両面テープで張り合わせておくことがポイントです。よりくっきりとした仕上がりを目指す方は、刷毛で塗るのもおすすめです。失敗した場合は、乾いてから下地のカラーをもう一度塗り直せば再度チャレンジできるので、ぜひ楽しんでみてください。

続いてバラのツルを絡ませるフェンスを立てます

続いて、駐車場ヘリの部分には、ツルバラを絡ませるフェンスを設置しました。材料はホームセンターでTAKASHOのフェンス用パーツをそろえ、晴れの日を選んで、まずはバラを植えるフェンスを固定する「穴掘り」です。ガーデンデザイナーの宇井さんに相談をし、バラを絡ませる重さと、ポールの太さから、50cm深く(直径も50cm)支柱を埋めるようにとアドバイスを受けました。バラも50cmほど深く穴を掘って植え付けるので、最低でもバラよりは深く沈める必要があります。

フェンスの設計図(堀江さん作)

深さ、50cm…。

これが庭いじりの最初のハードルでした。私たちが住むエリアは、しっかりした地盤で安心とうたわれている反面、地面がとにかく硬くて!! 表土15cmくらいは鼻歌交じりに軽々掘り返せるのですが、その下は私がジャンプをしてスコップに飛び乗ってもびくともしません。見れば灰色をした岩のような粘土質が見えてきました。困り果てていると、宇井さんが道具を貸してくださいました。見た目は同じスコップなのですが、プロの道具は一味違います。硬い地面をサクサク掘り起こせるようにと日ごろからスコップを研いでおくんだそうです。

「ペラペラになって、すぐに消耗してしまうんですけど、女性の力でも掘りやすいでしょ?」

おかげさまでもう10cmは頑張れたのですが、それ以上はもう掘り返せないと断念し、急きょホームセンターでダブルスコップを購入。

スコップ(左)とダブルスコップ

ここからすっかり私の出番はなく、男手に頼りました。慣れないダブルスコップを頭上から両手で力一杯振り下ろしたら、土をぎゅっと両腕で寄せて捕まえて、スクワットのようにしながら立ち上がって穴の外に排土します。8月の熱い陽気の中、日ごろから運動不足の彼は、マグマのように汗を吹き出させ頑張ります。

本人曰く、ダブルスコップでの穴掘りは、無酸素運動なのでとってもつらいそうで、後日お庭屋さんの職業病ともいわれている、腱鞘炎になってしまいました。1年経って少し慣れてきた今は、無理をしない穴掘りのコツがつかめてきたようです。

さて、話を戻して…。目標の深さまで掘り下げたら、砂利を2cmほど敷き、その上にハーフサイズのコンクリートブロックを設置します。砂利はブロックを水平に置くために馴らせればOK。

インスタントコンクリート
砕石

続いて、ブロックの穴にポールの先端に着けた杭の部分を差し込み、ブロックと杭が動かなくなるようにモルタル(砂、セメント、水)を入れ、垂直に立たせた状態で固定し、半日乾かした後、土を戻します。これを必要な本数繰り返し作業し、ポールが立ったところでメッシュ状のフェンスを付けていくと、完成です。

バラのツルを絡ませるフェンス、完成!

フェンス完成図

フェンスの長さは2種類、それぞれ直線の部分には長いものを、曲線の部分には短いものを選びました。ここにバラが咲いてゆくはず…!

フェンスには薔薇のツルを這わせます
フェンスの全景

予想以上に大仕事でしたが、おかげさまで憧れのツルバラを絡めることができました。

冬の間は、葉が落ちて枝だけになるため、目隠しには心許なくなってしまいますが、春から秋までは自慢のフェンスです。ただ、枝の本数が充実すれば、冬でも程よくブラインド代わりにはなってくれるとも聞くので、主人がつくってくれたフェンスをしっかり活用できるよう、バラを大切に育てよう!と改めて決心をしたのでした。

庭のリフォーム編第2回では、庭全体のテイストとレイアウトについてご紹介します。どうぞお楽しみに!

東京⇔田舎で二拠点暮らし。シリーズ「セカンドハウスライフ」

この記事の執筆者
<プロフィール> 1980年、東京生まれ。大学を卒業後、マスコミ業界に就職。テレビ、雑誌、WEB、ラジオの企画や制作に携わったのち、20代後半からグラフィックデザインを学ぶ。美容業界でデザインや広報の仕事をする傍ら、2015年9月に関東圏の古民家をセカンドハウスとして買い取り、東京と地方を行き来する生活を始める。 好きなものは、本、カメラ、花、ティファニーとTシャツ。趣味は、読書、アート鑑賞、カメラ、陶芸、料理、ピラティス、ゴルフ。「たくさん、よりも、自分に合う、永く愛せる物や人間関係を大切にしたいと思います。また、そういったものに巡り合っていきたいです」
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