「都会より、田舎のほうが忙しい」。地方のセカンドハウスと東京との二拠点生活を選択し、古民家をリフォームして住み始めた堀江さんの奮闘を、二拠点生活のノウハウたっぷりでお届けしています。

今回は冬眠期こそ大切な「お庭のバラのお手入れ」について。

東京と地方の二拠点暮らしの拠点に、わざわざ古民家を選んだ私たちは、ご近所では少々物好きな夫婦に思われています。なぜなら、冬場になると、古民家はとっても寒いから!

先祖から受け継いだ由緒ある民家を、代々受け継いでいく。「渋くてカッコいい!」と、都会に住む私たちが感じずにはいられない“映画に出てきそうな古い日本家屋”の寒さは、やはり大変なもので。ご近所では、土地と家を受け継いでも、冬でも隙間風の心配が要らない、あたたか~い現代的な家屋に建て直す方が多いそうです。

間取りや仕様などは、我が家も快適にリフォームをしたつもりでいましたが、同じ関東地方でも里山の冬の寒さは予想以上の厳しさで、心底驚いています。 もし、もう一度私たちの古民家を改修するとしたら、ショールームで見かけた「暖房機能付き」のトイレを取り付けたいと思っています。便座のヒーターではなく、「暖房」です。 当初は、便座のヒーター機能で十分だろうと思っていたので、「お化粧室に暖房? 誰が必要とするのかしら?」と袖にしたのですが、今となってはタイムスリップをして過去に戻り、「ぜったいに室内が暖まるトイレを取り付けるように!」と、当時の自分を強く説き伏せたいほどです。

とはいえ、雲ひとつない朝の凍てつく寒さには、気持ちがシャンとします。布団からエイ・ヤっ!と飛び出て、パジャマを着替えて、家の周りを探検。澄んだ空気に差し込む朝日を追いかけたり、美しい霜柱を主人と競い合って見つけて、踏みつけるとザクザク音を立てる感触を楽しんだり、植物の息吹が聞こえない静寂さの中であつーいコーヒーを味わったり。辛い寒さも、田舎暮らしビギナーの私にはキラキラ輝くように目に移ります。

都内では見たことがなかった霜柱。本の中だけの世界が、ここにはあります。

唯一さみしいのは、冬季はお花が少ないこと。しかしながらバラ園芸家にとっては、一年で一番といっても過言ではない、大事な季節なのです。

春に美しく、たくさんのバラを咲かせるために、12月から2月の間、一年で一番寒いときに、せっせとバラのお手入れをするのです。

バラのお手入れに重要な期間は「12月〜2月」

というわけで今回は、造園会社のプロに習った「冬に行うべきバラのお手入れ方法」を共有させていただきたいと思います。 一般的に、造園屋さんでバラに詳しい方は日本では珍しいそうなのですが、私が習ったSさんは、自身もバラが大好きで、200本も育てているスペシャリスト。 本や教科書とは違う、実践的で効率がよいメソッドを教えていただくことができました。

造園会社のプロに、マンツーマンでみっちり教えていただきました!

なぜ冬季にバラのお手入れ? 理由は枝に水分量が少なく「折れにくい」から

まずはナゼ、水に触るのも嫌なくらい寒い冬季に、バラの手入れを行うのでしょうか?

気温が低くなってくると、バラは凍結するリスクを回避するため、水分を十分に吸収することを控えます。また一方で、水不足で自分自身を枯らさないために葉を落とし、休眠に入っていきます。

寒い時期に活動を控える点は、熊やリスといった動物と似ていますね。12月中旬を迎えたら、芽が動くのが早いつるバラからお手入れをスタートさせます(忙しくて遅れてしまっても悲しまず!誘引作業中に膨らんで来た芽が、ぽろぽろと落ちやすくなってしまいますが、休眠期中の間、最悪でも2月中旬までに行えばセーフだそうです)。

夏場の成長期に手入れを怠り・・・、フェンスの格子からアチコチに伸びてしまった枝。優しく引き戻します。

成長が充実しているピチピチの真夏に枝をしならせると、ポキっと折れてしまう恐れがありますが、枝の中の水分量が少なくなっている冬は、その心配が少なくなります。例えて言うなら、採れたての大根は、折り曲げたらボキっと折れてしまいますが、漬物用に干して水分量を減らした大根は、つの字になっても折れませんよね。

ということで、フェンスや壁に這わせていた物を一度すべてはがし、細かったり、弱っている枝を切り落とし、再び自分の咲かせたいイメージをデザインしながら、枝をしならせては誘引し直すのです。植物って賢くて、ユニーク!

「つるバラ」のお手入れを順番にご紹介します

1:構造物から枝をはがす

つるが這っている構造物(フェンスやアーチなど)から、優しくつるを剥がします。

シュートから伸びている細い枝。この子たちに翌年に花咲くので大事に。

2:細い枝や古い枝を落とす

細い枝の目安は、株元から伸びている枝から、ちょこちょこと生えている枝。また、新しいシュートが出てきにくい品種もあるので、それぞれ種類によって異なりますが、古い枝の目安は4年目を迎えるようなもの。括り付けている構造物に対してのボリュームを見て、ちょっとバランスが悪いなと思ったら、古いものから順に株元から切り落とします。

ここでは、まだ剪定はしないのがポイント。 紐で構造物に括り付けた際、芽の向きが反転してしまうことがあるため、しっかり結んでから行います。

3:再び構造物に這わせる

造園屋さんによると、括りつけるときには、バラのことを考えると、「麻ひもよりもシュロ縄がよい」そうです。麻縄は腐りにくく、枝に食い込む恐れがあります。その点、少々硬くて縛りにくいのですが、シュロ縄は再びお手入れをする1年後あたりには腐りかけていて、バラに優しいのだとか。

ホームセンターで一つ、300円程で販売されています。

4:構造物ごとに「誘因アドバイス」をします

A)「フェンス」

基本となる枝の這わせ方は、水平。そして先端は、芽を伸ばしたいためやや上に向けて誘引します。

上下の枝は均等になるように間をあけて這わせました。枝先は、少し天をむくように。

下から順番に枝を括りつけていき、左右に広げ、扇形になるようにします。このとき、上枝と枝下の間隔は、最低でもこぶしひとつくらいは空くように。我が家の場合は、フェンスの格子に合わせて括りつけました。

フェンスの高さが限られていて、つるを這わせられなくなったら、枝に枝を括りつけるのもひとつの手です。その際、古い枝のほうが花付きは悪いので、奥に配置して、若い枝を手前になるようにします。

ちなみに、バラには頂芽優勢という性質により、枝の高い位置に集中して花を咲かせます。そのため、枝を水平に誘引しておき、「それぞれの芽が頂点にあるんだよ」とバラに思わせるのです。

となると、悩ましいのは株の中央部。

すべての枝を右左に広げてしまっては、中央部分がパカっと空いて、さみしくなってしまいます。私にとってはずっとこれが悩みだったのですが、この中央部分は、垂直に枝を誘引するのではなく、やんわりと弧を描くようにしならせて配置する、もしくはS字に曲げられるようであれば、折り曲げるのが正解だそうです。

また、隣り合ったバラをMIXさせて見せたいのか? それとも、完全に別々に咲かせたいのか? 完成後のイメージを膨らませて、つるバラはアレンジしていくのも魅力のひとつ。 前者の場合は、並びあった枝を重ねて誘引していくと、春に見事なバラの競演が楽しめるそう!

ちなみにつるバラのミックスを楽しみたい方は、植え込むときに、色の濃淡やグラデーションをつける、花の大小を変えるよう意識して植え込むのがおすすめです。

B)「アーチ」

小道の上に掛けたアーチ。まだ一年目の今回は、バラのつるがアーチの頂部にまで届いていませんが、2~3年経てば立派に覆いかぶさるように生育すると造園屋さんに教わりました。満開になったアーチをくぐるのが憧れです! とはいえ、現時点で予想以上にバラが株元からたくさん枝を伸ばし、旺盛に育っているため、アーチの幅が足りなく感じて、増設しようかと悩んでいたところ…こんなイメージを提案いただきました。

半分の株をアーチにツルとして絡ませ、残りを株元に咲かせるデザイン。

フェンスの幅に結びつけられるものはそのまま、S字になるよう誘引して伸ばしていき、こぼれてしまう枝は、膝の高さくらいに短く刈り込んで、寂しくなりがちなアーチの株元に、また新たに一株バラを植え込んだように見せるデザイン。

お日様に向かってバラは咲きます。ここはイメージと違う方向に咲いているため、杭を打って、紐で引っ張りました。

こんな素敵な剪定アイディアは、本には載っていませんでした! 限られたスペースで楽しむ個人宅のローズガーデンだからこそ、発想を豊かに、バラを楽しめるのが素敵な庭造りのヒントなんですね。

C)[ドーム状のパーゴラ]

ドーム状のパーゴラは、側面にある脚の部分はアーチと同様にS字になるよう誘引していきます。悩むのは天井部のドーム。そのまま4方面から枝を這わせていき、フェンスの時と同じように、左右に枝を結び付けていくつもりでいました。でも、その後バラが伸びていったら、どうやって枝の収集をつけていけばいいのか、想像がつかなかったのです…。

その悩みを解決しつつ、バラのMIXも楽しめ、生育してもお手入れが簡単な誘引の仕方を教えていただきました。 採用したのは、一方方向にぐるぐると円を描くように這わせていくデザイン。

4本の脚には、ピエール・ドゥ・ロンサール2株、アンジェロ、バレリーナを1株づつ植えています。

こうすれば、枝が伸びても、左右から混みあってぶつかり合う心配もなく、迷うこともなくのびのびとツルを育てられます。 完全に、このパーゴラ箇所はプロにお任せしてしまったのですが、来年は自分ひとりでもお手入れができるように頑張りたいと思います!

5:枝の剪定をする

まずは太い枝の先端部分で、細くなっている個所を切り落とします。次に、その枝から出ている枝の2芽を残して切り落とします。

栄養が枝全体に行き渡るように、長いものだと10cm程切り落としました。

6:葉をむしる

全体的に、バランスよく誘因ができたあと、もしくはいちばん最初に葉をむしります。本来バラは落葉樹なので、冬になると葉を自然と落とす性質がありますが、元気な株は葉をつけたままで越冬します。

葉を落とす理由は、①芽を寒さに当てて元気に育てるためと、②葉の付け根に隠れているアブラムシや病気を取り除くため。少しでも黒点病など病気にかかっている葉を、株元に落としてしまうと、バラが再び病気にかかってしまう恐れがあるので、むしった葉っぱは、下に落とさないよう回収するのも大切なことです。

そのままにしておけば、いつか堆肥になると勘違いしていたので失敗!

地植えでバラを育てている私とって、初めての冬なので、バラの本やテレビなどで予習をしていましたが、お庭屋さんが手ほどきしてくださった実践とは別物でした。

先日の大雪で、バラにも雪が積もりました。はらわないと枝が折れてしまうので、注意が必要です。

以上、バラの中でも「つるバラ」についてのお手入れ方法でした。次回vol.12では、バラお手入れの続き、寒肥の施し方と、木立ち性のバラの選定方法や、挿し木のコツをご紹介したいと思います。春にたくさん花が咲きますように!

東京⇔田舎で二拠点暮らし。シリーズ「セカンドハウスライフ」

この記事の執筆者
<プロフィール> 1980年、東京生まれ。大学を卒業後、マスコミ業界に就職。テレビ、雑誌、WEB、ラジオの企画や制作に携わったのち、20代後半からグラフィックデザインを学ぶ。美容業界でデザインや広報の仕事をする傍ら、2015年9月に関東圏の古民家をセカンドハウスとして買い取り、東京と地方を行き来する生活を始める。 好きなものは、本、カメラ、花、ティファニーとTシャツ。趣味は、読書、アート鑑賞、カメラ、陶芸、料理、ピラティス、ゴルフ。「たくさん、よりも、自分に合う、永く愛せる物や人間関係を大切にしたいと思います。また、そういったものに巡り合っていきたいです」
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