東京と田舎暮らしを行き来する生活を2015年9月よりスタートさせてから、2018年1月で1年と9か月が経ちました。先月はとうとう念願の陶芸窯を搬入いたしまして、自分だけのローズガーデン造りと陶芸のアトリエを持つという二拠点生活当初の夢が、ようやく形になってきました。

こちらが納屋を改造してつくっている、小さな陶芸アトリエです。ぼろぼろの土壁を、地震に備えて構造用合板を張り付けたり、テーブルの脚にもなる収納棚をDIYしました。

※ぼろぼろで、ところどころ穴が開いていた土壁の上に、板を張り付けてリフォームしました

土壁が、劇的に見違えました。曲がった柱に板を合わせるべく、カンナを購入。大工気分になった大仕事でした。DIYをしていると、数学の方程式を記憶の底から頻繁に引っ張り出すことになります。「この角度を測るには、えぇっと…」といったように。

収納棚をDIY。机の脚にもなる2WAY機能
納屋に設置する棚を作成。陶芸の作業台にもなるような高さに設計しました

念願の陶芸窯も、納屋内に設置が完了。扱いやすい電気窯を選びました。器をつくるために久々に土を触ると、楽しくて時間を忘れてしまいます。お気に入りの空間に負けないように、かっこいい器がつくれるよう精進していきたいと思います(陶芸の窯選びや設置については改めてご紹介します)。

電気の陶芸窯

一方、母屋の土間には、青い炎が美しい、アラジン石油ストーブを設置しました。夕方、一日の作業が終わった後、この揺らめく光を眺めながら、主人と乾杯するのがささやかな幸せです。ストーブの上では、私が育てたお芋で、焼き芋をつくったり、シシャモを焼いたり。

アラジンの石油ストーブ
前シーズンと比べると、立派な大きさにつくれたサツマイモをホイル焼きに。ほくほく甘くて、最高です!

よそ者はゴミ出しができない?

さて、田舎暮らしにも慣れてきた私へ友人たちから、よくこんな質問を受けます。

「田舎暮らしって、人間付合いのトラブルって実際に多いの?」

正直、二拠点生活をスタートするはじめは、私も心配をしていて、例えば、ゴミ出しに関して言えば、生ごみさえも車に積んで、東京へ持ち帰っていました。

繰り返し使えるステンレスフィルターを購入。コーヒー豆のかすは、庭に撒いて、雑草除けに活用しています

大好きなコーヒーは、ペーパーがゴミになるのも惜しくて、ステンレスフィルターで入れていたほど。

理由は2つ。ゴミの出し方を知らなかったのと、ネットに書き込まれた噂に怖じ気づいていたからです。それは、「自治会に年会費を払って所属していないと、ゴミを出す資格がない。しかし、一度所属をしてしまうと毎月町内の清掃や草刈り、祭りごとなどの行事の分担があり、休みが丸つぶれになる。さらには、町内の行事があるたびに寄付が募られ、金銭的にもおつきあいが大変」というもの。

しかし、次第にゴミを持ち帰る行動が負担になり、集落の自治区長さんに恐る恐る尋ねてみました。すると、私の勝手な心配に終わり、ゴミ出しの場所と回収日、それから指定の袋がどこで購入できるのかを教えていただき、あっさりと解決しました。私たちが住む集落では、地域自治としてのおつきあいは、防災のための年会費を一年に一度お支払いをする必要がありますが、それ以外の負担はありませんでした。

日ごろから、「知らないことだらけなので、村のルールを教えてください」であったり、「お手伝いできることがあればおっしゃってください」などとご挨拶をしているのですが、案ずることはなく、ほっとしています。もしくは、このようにこちらから声がけをすること自体が、セーフティネットの役割を果たしているのかもしれません。

「田舎暮らしでコミュニティーに溶け込むには」

というのも、田舎暮らしでの人づきあいが円満にいく秘訣が、私たちの生活態度のなかにあったようなのです。それは「野菜づくり」。

毎週、限られたスケジュールのなか、暑くても寒くても、朝から日が暮れるまで夢中になって、畑で土いじりをしているだけなんですが、それがご近所の方からすると、「一生懸命仕事をしていて、偉いねー」とお褒めの言葉をかけていただくなど、なんとか認めていただいているように感じます。

反対に、家庭菜園初心者の私達夫婦からすると、ご近所さんの親切に感謝することが多々あります。周辺の近所の農家さんは、よき先生的存在で野菜づくりのアドバイスをはじめ、「A店の苗が安くて立派よ」なんて情報も教えてくれたり、採れたてのお米やお野菜を気前よくおすそ分けしてくださるのです。

このようなやり取りは、東京にしか住んだことがない私にとって、初めての体験でした。勝手がわからず「ギブ・アンド・テイクが大事」という意識から、毎回デパートでお菓子を買ってお返しをしていたのですが、「それじゃぁ、あげにくくなっちゃうから、いいのよ」と言われました。

悩んだ末、古民家の周りにパン屋さんがなかったため、以前から欲しいと考えていたホームベーカリーを買って、ジャムやパンをせっせとつくり、お礼にお配りしています。東京で、手づくりの品を贈るなんて、よほど親しい関係じゃないとしませんが、私のいる田舎では自然な行為でした。

古民家の周りに住むおばあちゃんたちの、見返りを求めずに、喜ばれるとうれしいという気持ちから、分け合いっこをしてくださる温かい真心に触れ、「お返しって、お金で買った物のやり取りだけじゃないんだな…」と改めて気づかされました。そんなわけで、とても恵まれた人付き合いをさせていただいており、それもまた田舎暮らしの楽しみのひとつになっています。

「田舎の家に犬がいる理由」

ちなみに、田舎に暮らしたいけれど、野菜づくりには興味がない方は、どうやってコミュニティーに溶け込めばいいのでしょうか? 

それはずばり、「犬を飼うこと」。

私の周りの小さな世界だけでも、犬を飼っていらっしゃるお宅がほとんど。初めのうちは、番犬代わりかと思っていたのですが、お庭の改修をしていただいているガーデンデザイナーさんにうかがったところ「怪しく見られないため」に飼うんだそうです。

「田舎では、特に僕みたいな40代の男がひとりで歩いていると、変な目で見られてしまうんです。運動と思ってウォーキングをしているだけでも怪しまれるので、皆犬を飼うんですよ」との珍回答。「嘘だー!」と思ったのですが、確かに田舎ってお家が近い方はお互い顔を覚えるし、挨拶をするんですよね。

私もほかの住民の方々と同じように、なんにもないこの地を、知らない人がぶらぶら歩いていると、「え? 誰?? どうしたの??」と、思わず目を向けてしまうようになりました。皆さん防犯意識も高いので、初めて見る車があったら車種やナンバーを頭に入れておく、と言う方もいらっしゃいます。いい意味で、田舎の農村地域は、狭くて守られたコミュニティーなのです。

霜が田んぼに降りる朝、冷たい風を切って、朝日に向かってあぜ道を散歩。澄み切った空気に、背筋がピンと伸びます

「独身女性のひとり暮らしはご注意あれ」

ついでに言うと、女性のひとり暮らし移住は、どんな問題が起こるのでしょう?

「当初、独身で、女性のひとり暮らしを公言したところ、ちょっぴり異性関係で怖い思いをした」と言うのは、東京から移住を果たした農場を営む、とある女性Cさんの話。どうやら地元の方々に、「お嫁さん候補」と勘違いされてしまったようなのです。

すぐに、「婚活ではなく、仕事のために移住をしてきた」という目的をはっきり伝え、仕事仲間(男性を含む)もすぐに増えたので、昼夜ひとりで過ごすことは少なくなり、そういった目で見られることは徐々になくなっていったのだとか。彼女の周りでは、こういったケースがよくあるそうで、あらかじめ「夫は単身赴任中」などとパートナーの存在をほのめかしておけば、トラブルに巻き込まれることは少ない、と教わりました。

そんな面倒があるくらいなら、二拠点生活なんて無理!と思う方は、そのエリアが「移住者が多いかどうか」を下調べしてから検討されるのがいいと思います。まずは、物件を紹介してくれる不動産屋さんに確認し、実際にその家を見に行った際には、ご近所さんに少しお話を聞くだけで、的確に”移住者宅”を教えてくれます。

私が住む集落には、すでに都心からの移住者家族が3軒もいらしたので、古くから住む方たちにも免疫ができていたため、温かく歓迎していただくことができました。

 

以上、田舎暮らしの人間関係について、約2年間過ごしている私の考察をまとめてみました。このような人間関係の細やかなやり取りは、田舎に限らず、都市部でも違った形であるお話かと思います。お互いに、笑顔でマナーを守って気持ちよく、おつきあいしていきたいと思います。

※本稿は筆者個人の感想や体験であり、すべての多拠点生活に当てはまるものではありません

東京⇔田舎で二拠点暮らし。シリーズ「セカンドハウスライフ」

この記事の執筆者
<プロフィール> 1980年、東京生まれ。大学を卒業後、マスコミ業界に就職。テレビ、雑誌、WEB、ラジオの企画や制作に携わったのち、20代後半からグラフィックデザインを学ぶ。美容業界でデザインや広報の仕事をする傍ら、2015年9月に関東圏の古民家をセカンドハウスとして買い取り、東京と地方を行き来する生活を始める。 好きなものは、本、カメラ、花、ティファニーとTシャツ。趣味は、読書、アート鑑賞、カメラ、陶芸、料理、ピラティス、ゴルフ。「たくさん、よりも、自分に合う、永く愛せる物や人間関係を大切にしたいと思います。また、そういったものに巡り合っていきたいです」
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