関東近県のセカンドハウスで過ごす週末は、まさに「晴耕雨読」。晴れた日は、めいっぱい畑仕事と庭のバラの手入れが待っているのですが、雨の日は労働から解放されるので、少しホッとします。雨の雫がトタン板を小気味よく叩く音や、色濃く濡れた植物の姿、どこか大きな樹の袖下でじっと鳴りを潜める動物たち、いつもとは違う静かな景色を楽しみながら、読書や趣味にいそしみます。そんな雨が降った先日、自分でずっと育てていたバラをプリザーブドフラワーにしてみました。

アレンジのセンスも磨いて、自分で育てたバラのプリザーブドフラワーで大切な人達を喜ばせたい

実は、古民家を最初に彩ったバラは、主人がセカンドハウスを見つける3年前にプレゼントしてくれた花束を挿し木にして育てていた子たちなんです。

コツは、きれいなナイフで切り口を切り落とし、メネデールという活性剤に漬けてから植えること

花屋で売っているバラは切り花用の品種と区分されていて、一般的に鉢では流通していません。美しいうえにうれしい思い出が込められたバラをいっぱいに増やせると、なんだか幸せもいっぱいになれる気がして、せっせと切り花を挿し木にしたあげく、東京で住む家のベランダいっぱいにバラ苗をつくってしまい、毎朝の水やりが大変になっておりました。見かねた主人は、早く古民家の庭にバラ園をつくらなくっちゃとセカンドハウス計画を推し進めていたようですが、二拠点生活の夢が叶った現在は、思いっきり好きなバラをいっぱいに増やせる喜びを享受しております。

ベランダのバラ苗

さて、今日はいよいよ最終的に決まった我が家の庭のレイアウトと、憧れのバラを絡めるパーゴラ選び、それから庭づくりで失敗したポイントをご紹介します。

庭のレイアウト、庭を造る要素とは?

新たな駐車場スペースと家を囲うウッドフェンスが完成し、いよいよ「庭の中身」の設計へ。

庭のレイアウトは、家の間取り設計に通じる性質がありますが、庭で何をしたいかを考えることがスタート。私が真っ先に挙げたのは、「大好きな人達とBBQを楽しみたい」ダイニングキッチンにあたるスペースと、「バラに囲まれて、優雅に読書を楽しみたい」スタディールームでした。前者は、既存の芝生スペースをそのまま確保、有効活用することにし、後者は、バラが絡まるパーゴラを設置することで実現しました。

憧れのバラが一面に絡まったパーゴラ

パーゴラとは、藤やぶどうなどつる性の植物を絡ませる棚のことです。そんなパーゴラには私の中でいっぱいの憧れがあって、ローズガーデンに行くたびに、このバラに包まれる素敵な空間をずっと独り占めしたいと願っていました。

毎年バラの季節に訪れていた神代植物公園。毎回必ずこのバラの家の中に入るのが楽しみでした

ウッドフェンスが完成した後、ワクワクしながらイメージに合う画像を探し、森の中から切り出してきた木を組み合わせたような、ナチュラルで手づくり感あふれるデザインを見つけ、我が家の庭づくりを手がけているガーデンデザイナーの宇井秀喜さんに相談します。

森の中にある隠れ家のようなムードに魅かれました。出展:INSPIRATION & TIPS FOR DECORATING OUTDOOR ROOMS

今回も、ウッドフェンスのときに問題になった風圧と、つるバラの重さに耐えられる強度が必要不可欠ということで、難しいという判断。海外のガーデンのような、おしゃれな庭づくりはなかなか難しいものなのですね。

せめて大好きなDIYにはチャレンジしたいと主張し、自分で組み立てられるとうたっているパーゴラのキットを発見。パーゴラの下に置きたいテーブルのサイズから逆算して直径2.5mを検索します。平均して15~20万円くらいで販売されていました。

なかなかのお値段ですが、DIYの本を頼りに自分で材木をそろえる計算をしたところ、同額程度の様子。

それならば、やはりカットやボルトの下穴が施されているキットを使ったほうが、DIY初心者には安心です。一方で、1万円を切るものをクリックしてみたら、農業資材の単管パイプを組み合わせたような男前なデザイン。よく見たところくだもの棚で、ブドウやキウイを栽培するための道具だそう。これを地中に埋め込むと高さが130cmになってしまうため、却下。

続いて、直径2mの小ぶりなパーゴラを5万円弱で見つけたのですが、宇井さんからは素材が杉であることに懸念があるとの答え。

「やわらかい性質の杉材を地中に直接埋めると、木がすぐに腐敗してしまうため、コンクリートの基礎ブロックで土に直接触れないように設置する必要があります。それから、重さが38キロと表記されていますが、この重さだと風で飛ばされる心配があるので、どっちにせよ束石に乗せるだけでは、ちょっとこわいですね」

いくらDIY好きでも、3年ごとにつくり替える必要がある、というお話には、尻込みしてしまいました。

また同時期、パーゴラを探していたタイミングで、納屋に増築したサンルームが完成しました。納屋の軒を延長し、既存の建具(ガラス戸)を使って、陶芸ができるスペースを大工さんにお願いしていたのです。

憧れの小さなアトリエです。バラを見ながらろくろを回す日が楽しみ!

仕上がりを実際目にしてみると、思っていた以上に四角い。なんだかその、存在感がある四角い小屋の並びに、同じように四角いフォルムのパーゴラが並ぶのは・・・庭のバランス的に重たく感じられ、パーゴラ廃止論が浮上してきました。

そんなとき、思い出したのが「バラのドーム」。バラのドームとはパーゴラの一種で、丸い屋根が特徴。アイアンやスチール製の物が多くデザインされています。

インターネットで「ガゼボ」「ドームパーゴラ」といったキーワードで検索すると出てきます。これなら庭デザインのメリハリも出るし、側面にもたっぷりつるが這わせられるから、バラのこんもり感が育めそうです。

さっそくこちらも価格をリサーチ。パーゴラ以上に値段の開きがあります。サイズは直径2.20m程度のものが多く、最も多く見つかった価格帯は50万円台、その下だと15万円、5万円と下がっていきます。

WEB画像だけでは、素人目にはいったい何の差かわからなかったのですが、宇井さん曰く、

 

  1. ■生産国の違い。日本製と中国製では値段が違う。
  2. ■使用しているアイアンの量や、密度。重さの表記で確認できるので、軽いわりに値段が高いものは適正価格ではない場合も。
  3. ■製造技術。パーツが溶接でくっついているのか、一体型なのか。後者は技術力が必要で、耐久性がよいぶん、コストがかかる。

最終的に、家庭用なら50万円台の立派なものでなくても大丈夫と勧められ、サイズ感とデザインでこちらを選びました。

¥52,714(税・送料込み)※現在廃版

黒いアイアンで、シンプルなつくり。上下それぞれを組み合わせてから、合体させました。

屋根部分のパーツ
STEP1:屋根部分の組み立て
STEP2:骨組みを固定

地面にガゼボを固定するペグもセットに入っていたのですが、それ以外に補強として、全長3m、20mm幅の鉄杭を、1m地中に打ち込み、風に飛ばされないよう設置していただきました。仕上げとして、溶接部分にさび止めのペンキを塗り、合体させたパーツはワイヤーで巻き付けて、外れないようにきつく合わせました。

STEP3:上から杭を地面に打ちこむ
STEP4:溶接部分にさび止めのペンキを塗り、合体させたパーツはワイヤーで巻き付ける

完成したガゼボに大感激!

ずっと憧れていた人気品種「ピエール・ドゥ・ロンサール」をはじめ、4株のつるバラを植え込みました。

一年目の今年は、つるがガゼボ半分の高さま伸びました、来年は上までいっぱいに成長して、こぼれんばかりに咲き誇ることを心待ちにしています。

ガゼボの完成

庭の動線、道を考える

ガゼボを配置する場所が決まり、ほかの区画へ。ガゼボの次に必要になるのは、当然「道(アプローチ)」なのですが、ゲートから母屋をつなぐ動線をつくらなければなりません。使い勝手がいいのは、単純に最短距離の直線ですが、庭を広く見せることを考えると、道を少しS字にカーブをさせるとよいそうです。

道を想定しているところにS字で白線を引く

試しに、イメージとなる道を白線で引いてみます。それをもとに、宇井さんがラフで整地をしてくださいました。傾斜の角度や、段差を作る際に歩幅にあっているかなど、私が実際に体感しないと決められない性分なのを見越して「土だから、何度でもやり直しが効きます。お好きなアプローチを考えてください」と。

幾度か試行錯誤の末、最終的にゲートを入って正面にメインのバラコーナーをつくり、その左右に道をつくることにしました。ガゼボへと通じる道を主道、反対側は水栓の脇を抜ける小道にして、用途もイメージも分けてデザインをしました。主道となるアプローチは、枕木を敷き、傾斜は階段でつなぎました。

主道の下に配置した枕木

庭全体に統一感を持たせるように、駐車場、門扉と同じ枕木を使用。

家の入り口から見た全景。お客さまの導線に花々を

もしお客様が庭のゲートから中に入ってきたら…正面のバラを楽しんでいただき、ウッドフェンス一面のつるバラを眺めながら、バラのトンネルをくぐって、パっと視界が開けたところでバラのドームがお迎えするようなイメージです。

小道のほうは、畑への往復に使用する導線で、収穫した野菜を抱えて水栓場に向かったり、大きなスコップを担いで畑に行くシーンで活用を想定したため、斜面に階段はつくらず、山道のようななだらかな坂に整えて仕上げました。

おまけですが、労働の合間、活力がみなぎるように、清涼感のある香りがするハーブを脇に植えています。

小道
小道の際にオレガノを植栽しました。踏みつけても丈夫な子達です

傾斜がある庭の問題点は「土が流れる可能性があること」

さて、この庭のアプローチができてから、次に出てきた悩みが傾斜問題です。

坂の途中に敷地がある我が家は、高い方に母屋があり、低い方に庭がある配置です。庭づくりの本を研究すると、「庭を広く見せるには、手前を低く、奥に行くほど高さを出すという風に勾配をつける」と書かれているものが多いのですが、うちの場合は逆です。

宇井さんに尋ねると、「確かに王道はそうなんですが、とにかくフラットな庭よりも、傾斜がある家のほうが広く見えるのは事実で、植物の高低差でも、目の錯覚を引き起こせるので心配しなくて大丈夫です」との太鼓判が。

それよりも、ウッドフェンス側の傾斜は角度が急なため、雨が降った後に土が流れるかもしれないと心配をされました。このリスクは、ブロックを分けて、段差をつけることで解決。ウッドフェンス添いのブロック、アプローチの中央ブロックはそれぞれ2分割をし、傾斜を緩やかにして土が流れにくくなるように整地をしました。

こうして大きく分けて5つのコーナーが自然とでき、庭のレイアウトの全体像が見えてきました。

(1)メインのバラコーナー、(2)ガゼボのコーナ、(3)花壇コーナー、(4)雑木風コーナー、(5)BBQコーナー

完成後に後悔。重要なのは「家の中でもっとも過ごす場所から見える庭の風景」だった

実際に庭と暮らしてみると、計画当初は想像していなかった使い勝手や問題が出てきました。やはり、頭の中で考えてつくったものは、実際には違うんだということを痛感しています。

本稿の庭のレイアウトから例を挙げると、メインのバラコーナーと雑木風コーナーの位置を逆にしておけばよかったと後悔しています。

赤い実をつけるジューンベリー、ハート型の葉がかわいいカツラ、ナチュラルガーデンには欠かせないビバーナムやシマトネリをコシンボルツリーとして、目隠しになるように母屋から近いブロックに植えました。ここは雑木風の庭、気分的には軽井沢をイメージしてデザインしたのですが、母屋の軒下でお茶を飲んでいると、目隠しには乏しいし、本末転倒・・・正面のバラが見えません。

庭の表情を左右すると言われているシンボルツリーですが、そもそも選び方のコツを本で見て、ブラインド効果があるのは常に葉がついている常緑のタイプの木だけれども、紅葉や実を楽しむなら落葉樹もバランスよく組み合わせようと書かれており「なるほど!」と思い、雑木風コーナーに落葉樹を混ぜたためか、冬になると想定外にも、外から家が丸見えになってしまう事態に。

おかげさまでご近所の皆さんとスモールトークを楽しめて結果オーライですが、バラの庭づくりを目指しているのに、植えたバラが家中からすぐ見えないのは、悲しいです。

計算違いふたつ目は、ゲストの動線です。

「お客様は正面の門から入ってくるもの」と思い込み、ゲストをお迎えするときに観ていただきたいのもあって、メインのバラコーナーを正面の門側につくりました。けれども、駐車場を母屋の脇に設置したため、みんな車を止めたその足で、裏口から入ってきてしまうのです。正面入り口を通ることなく…。

結局、庭の完成から4か月経ったころ、庭でお茶を飲む空間からバラが見えるようにと、雑木コーナー内の樹を配置換えし、新たにバラを3鉢迎え入れるはめになりました。

ガーデンデザインのプロである、宇井さんの言葉が強く思い出されます。

「人って、結局居心地がいいところで過ごすから、今の段階でご夫婦おふたりが過ごす時間の多い場所を始点に、庭の設計を考えたほうがいいですよ」

確かに、庭をリフォームしても相変わらずお茶を飲む場所は母屋の軒下のままで、バラの近くに席をずらすことはありませんでした。キッチンからいちばん近くて、午後になると日陰になる、この場所が居心地のいい場所だったんですね。

これからお庭をリフォームする方は、「家族の今の習慣」をよくよく観察して、新たな計画に無理がないか考えてご検討いただくことをおすすめします。家の中で滞在時間が多い場所を始点に考えることが、庭づくりにはとても大切なのです。

 

庭づくり奮闘記、ここまでお読みいただき誠にありがとうございます。

いよいよ次回こそ、バラにまつわるお話をご紹介したいと思います。よいバラの苗の買い方、安く手に入れられる時期、実際の植え方など、バラを育てるにあたって私なりに編み出したハックをお伝えします。お楽しみに!

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【連載:セカンドハウスライフ】

この記事の執筆者
<プロフィール> 1980年、東京生まれ。大学を卒業後、マスコミ業界に就職。テレビ、雑誌、WEB、ラジオの企画や制作に携わったのち、20代後半からグラフィックデザインを学ぶ。美容業界でデザインや広報の仕事をする傍ら、2015年9月に関東圏の古民家をセカンドハウスとして買い取り、東京と地方を行き来する生活を始める。 好きなものは、本、カメラ、花、ティファニーとTシャツ。趣味は、読書、アート鑑賞、カメラ、陶芸、料理、ピラティス、ゴルフ。「たくさん、よりも、自分に合う、永く愛せる物や人間関係を大切にしたいと思います。また、そういったものに巡り合っていきたいです」
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