夏の朝、田舎の古民家暮らしでの生活は「ストレッチ」からスタート

8月。東京では寝苦しさと、じとっと汗ばんだ肌に倦怠感を感じて起きてしまう一方で、古民家で迎える朝は、鳥たちの優しいさえずりで夢から覚めます。いそいそとコーヒーを淹れてバラが咲く庭に出ると、ひんやりとして澄んだ空気が漂い、心地よい朝。週末になると、私にとって細やかですが、最高の贅沢をかみしめています!

さて、大地から立ち込める濃いグリーンの香りを胸いっぱいに吸い込んだら、まずはストレッチ。この習慣、田舎暮らしを始めてから、恐ろしい「腰痛」に襲われたことがきっかけで、取り入れています。

というわけで、今回は家庭菜園やガーデニングがお好きな方へ、誰もが一度は抱えるトラブル「腰痛」について、その原因と改善、予防方法を、私が6年間続けているピラティスメソッドでご紹介します。

ながら美容第2弾として、野良仕事をしながらシェイプアップ効果がある運動もありますので、ぜひ取り入れられそうなものから、取り入れてみてくださいね!

【ながら美容第1弾:アウトドアで絶対焼きたくない!田舎暮らしでわかった「シミができない美白テクニック」】

初めての畑仕事、立ち上がれなくなった!自己判断で腰痛がさらに悪化する羽目に…

自分の畑を手にしてから、いちばん初めにやったことのひとつが、「草むしり」。無心になってむしっていると、気づけば1時間なんてあっという間。しかし、慣れない作業にすぐさま腰が悲鳴を上げ、立ち上がろうとしたら背中が真直ぐにできなくて、90度腰が曲がっている、日本の昔話に出てくるおばあちゃんみたいになってしまいました(余談ですが、お隣の畑名人のおばあちゃんは、犬を散歩する際に大きなかごを背負うんですが、実は中に重たいレンガが!? なんでもこれが、お姑さんから代々受け継がれる、姿勢矯正の知恵なんだとか)。

それでも楽しくなってしまい、5時間ほど雑草と格闘。歩くのもやっとな状態になってしまい、大後悔。後日、ホームセンターで農作業用のクルマ(椅子)があることを知り、すぐさま購入しました。これを試したその日は、打って変わって作業が楽に感じられました! しかし、これが大間違い。

クルマを使えば作業は楽なはずなのに、腰は痛くなる一方…理由がわからず、ピラティスを習っている「パーソナル ピラティススタジオB&B 南青山」のトレーナー・出井和也先生に相談してみたところ、「草むしり作業中の人を横から見るとわかりやすいのですが、しゃがんでいるのと、クルマに腰かけている状態とでは、後者のほうが、腰の筋肉にかかる重力が大きくなって、重力(負担)がかかるからですよ」と指摘されました。

しゃがむのと椅子に座るの、腰にダメージがあるのはどちら?

腰が痛くて、立ち上がれなくなってしまう、草むしり姿勢はどちらでしょう?
腰が痛くて、立ち上がれなくなってしまう、草むしり姿勢はどちらでしょう?

つまり、草むしりをするために、しゃがむよりも椅子に腰かけている方が、足を踏ん張らないぶん、疲れにくくはなるのですが、腰痛を悪化させる原因になっていたのです。しゃがむ>椅子だったのです!

ちなみに出井さんは以前、ヒール靴を履くと腰が痛くなる悩みを解決しに駆け込んだのがきっかけで、6年間にわたって施術を担当していただいている、健康と美容スタイルづくりのエキスパート。これまではヒップアップや美脚を叶えるメニューを組んでいただいてきましたが、気がつくと、野良仕事中の腰痛対策まで一緒に考えてくださることに…。本記事の細部も、出井先生の監修を受けたうえで執筆しています。

監修:出井和也さん
PHIピラティス マスタートレーナー
・日本体育協会公認アスレティックトレーナー(JASA-AT)・全米公認ストレングス&コンディショニングスペシャリスト(NSCA-CSCS)・Titleist Performance Institute Certified(ゴルフフィットネス専門家)・マタニティ整体師・デトックストレーナー。美しい体づくりのサポートをしてくれるエキスパート。ジムに通わず、日常生活トレーニングに変える意識を学びたい方は、ぜひ出井先生の元へ。
パーソナル ピラティススタジオB&B 南青山

腰を痛めにくい、正しい草むしりのポイント3つ

1:ヤンキー座り

2:膝とつま先の向きを揃える

3:かかと重心

腰痛だけではなく、美脚、美肌効果も期待できる草むしりの姿勢です!
腰痛だけではなく、美脚、美肌効果も期待できる草むしりの姿勢です!

かわいく膝をくっつけてしゃがむのではなく、淑女の皆さんには不慣れな姿勢だと思いますが、膝と足首への負担軽減のために、恥ずかしがらずに思い切り膝を開くのが、草むしりの正解ポーズ。同じ理由で、膝とつま先の向きをそろえることを意識し、作業中はかかとに重心をかけてください。

身体が固い方は、始めのうち、股を開く動作に苦労するかもしれませんが、次第に慣れますので、頑張りましょう!

しゃがみこむときと、立ち上がるときはスクワットの意識で!

腰に負担をかけない、草むしり姿勢をマスターしたら、一連の作業になる、「しゃがみこむ」と「立ち上がる」動作も正しく行って、ながら美容に取り入れましょう。

実は、太ももシェイプとヒップアップを始め、ふくらはぎやアキレス腱のストレッチもしている状態になるので、浮腫が取れて美脚効果が期待されます。

それだけではなく、筋肉量の多い下半身を刺激することで、代謝がよくなり、全身の血流もアップ。極めつけは、内臓にも圧をかけるので腸にもよくて、結果的に美肌へもつながります。

もし草むしりをする機会があったら、「きれいを磨く時間」として、一石二鳥で楽しんでいただければと思います。

しゃがむときのポイントは3つ

1:お尻を引くようにしながら、股関節を折りこむ

2:膝とつま先の向きをそろえる

3:ゆっくりとしゃがみこむ(息を吐きながら)

股関節を折りこむ意識が掴みにくい方は、始めは背中が地面と平行になるくらい深く折り曲げてから、膝を曲げてみてください。そうすると、腿の付け根に人差し指を挟めそうになる感覚を掴めるでしょうか? それから、膝とつま先の向きをそろえることを意識しながら、ゆっくりとしゃがみましょう。

立ち上がるときのポイントは1つ

1:「ラップ&ジップ」を意識して立ち上がる

ピラティス意識で、畑仕事を始めてから、デニムが緩くなりました♡
ピラティス意識で、畑仕事を始めてから、デニムが緩くなりました♡

多くの方が、気が緩んだ状態で立っていると、膝が内側に向いているかと思います。これをピラティスの基本動作「ラップ&ジップ」で解決。まずはかかとと母指球をしっかりと踏み込みます。

脚の付け根から膝も外を向くようなイメージで外旋(ラップ)させて、その延長にある座骨(お尻)は寄せ、丹田に力を入れてズボンのチャックを上げる(ジップする)ように、姿勢を整えることを指します。

立ち上がるときには、この意識をしながら、日常生活では使っていないお尻や内ももの筋肉を刺激します。


「しゃがみ作業」以外の、腰痛を起こしがちなガーデニング作業とは?

家庭菜園とガーデニングには、しゃがんでする作業以外にも、力仕事がたくさんあります。その中のひとつ、重たい堆肥類の持ち運びも、腰痛を起こしがちな作業。

おいしい野菜や、美しい花を育てるのに必要な「堆肥」ですが、ホームセンターなどで一般的に売られているものは、40Lサイズ、重さに換算するとおよそ20kgもあります。こちらを扱う際、腰痛持ちの方に、いちばん気をつけていただくポイントは「持ち上げるとき」です。

絶対にNGなのは、突っ立ったまま、上半身だけ屈めて、袋を持ち上げてしまうこと。負担が一気に腰に来て、ひどいときには腰がずれてしまい、ぎっくり腰になってしまう恐れが…。安全に持ち上げるには、まず草むしりの要領で、しゃがみこんでから、脇を絞めて、持ち上げましょう。


つづいて、身体に負担をかけないように正しい姿勢を心がけていても、オーバーワークをすれば疲労が溜まり、やはり腰を痛めてしまうもの。そんなときに試してほしい、応急処置をご紹介します。

腰が痛いときは温める? 冷やす??

腰痛には大きく分けると、動けなくなってしまう「ぎっくり腰」と、なんとか動ける「疲労性腰痛」のふたつがあります。自分の状態を見極めてから、前者の方は即座に病院へ、後者の方は、以下の対処法を参考になさってください。不思議なもので、人間はどんなに新しい動作でも、慣れて、適応するための筋力が自然とついてくるそうです。それまでは、無理をせず、マイペースに行うのが正解。監修の出井先生のお話をまとめると…

ちょっとだるい程度の方は、腰を痛めたその晩、こわばった筋肉をほぐすために、ゆっくりお風呂に浸かって、体を温め、湿布薬を張ります。

激しく痛みを感じる方は、入浴は控え、アイシングで炎症を抑えます。氷や氷嚢を用意し、15分当てる→30分外すを繰り返し、筋肉を冷やします。

尚、痛みや炎症を抑える働きがある最近の湿布薬には、皮膚吸収がされる鎮痛剤が配合されているため、使用方法は商品の説明をよく理解してから。敏感な方は、肌トラブルはもちろん、胃の不調などトラブルが出る恐れもある為、長くても3日程度の期間を守って使用してください。

また厳密にいうと、季節によっても対処法が異なります。寒い冬はあたたかくなる温湿布を使用しても構いません。

1分間ストレッチで痛みを和らげる

これからご紹介するストレッチは、痛みを感じている時は優しく、予防に取り入れるときはしっかりと行うと効果があります。

草むしりで発生した腰痛は、腰だけで悩みを解決したくなるところですが、実は股関節と関連しているそうです。

想像すれば、すぐに納得する仕組みですが、長時間しゃがみこんでいると、腰は伸ばしっぱなし、対して、股関節は縮めっぱなし、という状態になっています。

ちょっとマニアックなお話になってしまうのですが、この股関節から背骨を繋いでいるインナーマッスルに「大腰筋」というものがあり、それを緩めることが、腰痛解決の一歩になります。

草むしりの腰痛を改善する大腰筋ストレッチ4ステップ

1:左膝を付く

2:右足を一歩前に置く

3:体重を前方にかけ、左足の付け根をじんわりと伸ばす

4:腰がそれないよう、へそを凹ませるのがポイント

痛みを感じそうになったら、こまめに取り入れてください!
痛みを感じそうになったら、こまめに取り入れてください!

上記の運動を1分間に5~8回をワンセットで。各回、3秒息を吸って、5秒吐き出しながら行います。

息を吐きながら、重心を移動させると、よりストレッチをかけられます。私は、朝晩と作業の間、「あぁ、来そうだな・・・!」と腰痛の予感があるときに、こまめに5~8回づつ左右入替えて行っています。おかげさまで、最近ハリや整体に行かなくなっているので、効果は出ている様子。ぜひお試しください。


<おまけ>スコップ体操で二の腕引き締め

ある日気づいたのですが、園芸用のスコップって、重さも、長さも、エクササイズに程よい加減♡ 以来、スコップを使ってエクササイズをしております。

振袖肉をやっつける

畑仕事や、ガーデニングをしていると、二の腕の前側、力こぶができる上腕二頭筋ばかりを刺激してしまいます。反対側の上腕三頭筋と言われている部分は、意識をしないを普段の生活では鍛えられないので、畝の間を移動する時などに私は刺激を与えています。

1:スコップを背面で持つ

2:手のひらを正面に向け、柄を握りこみ、ひじを直角に曲げます

3:息を吐きながら、ひじの位置を変えずに、腕を伸ばします

4:息を吸いながら、2の位置へ戻します

程よく筋力が付いたヘルシーなスタイルを、畑仕事とガーデニングで手に入れたいと思います!
程よく筋力が付いたヘルシーなスタイルを、畑仕事とガーデニングで手に入れたいと思います!

回数は、お好みで。ピラティスの場合、しっかりポジショニングを確認していれば、正しく筋肉を刺激できるため、たった3回でも効果が絶大です!無理なくできる範囲の回数行った後、ストレッチをして伸ばしておきましょう!

以上、エクササイズを家庭菜園やガーデニング中に取り入れる作戦の、ご提案でした。

ここで赤裸々に綴ると、畑にいるときの私の姿は怪しすぎます。ご近所さんには「すっかり溶け込んでるわよー」とお褒めの言葉を賜りますが、日焼け対策の服装(ガーデニング帽子、サングラス、マスク、首からタオル、UVカットパーカー、モンペ、長靴、手袋…)、それから動きでもおかしいこと自覚しております。

でもでも、欲張って、大好きなアウトドアの趣味と美容をどちらも取り入れたい!そしてこれからも、ずっと楽しい趣味を続けられるように、体を大事にしていきたいと思います。

次回は、「忙しいっていうけど、田舎で週末何をしていて忙しいの?」とご質問を頂く機会が増えたので、私の一日のタイムスケジュールをまとめてみたいと思います。

東京⇔田舎で二拠点暮らし。シリーズ「セカンドハウスライフ」

この記事の執筆者
<プロフィール> 1980年、東京生まれ。大学を卒業後、マスコミ業界に就職。テレビ、雑誌、WEB、ラジオの企画や制作に携わったのち、20代後半からグラフィックデザインを学ぶ。美容業界でデザインや広報の仕事をする傍ら、2015年9月に関東圏の古民家をセカンドハウスとして買い取り、東京と地方を行き来する生活を始める。 好きなものは、本、カメラ、花、ティファニーとTシャツ。趣味は、読書、アート鑑賞、カメラ、陶芸、料理、ピラティス、ゴルフ。「たくさん、よりも、自分に合う、永く愛せる物や人間関係を大切にしたいと思います。また、そういったものに巡り合っていきたいです」
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