桜の開花と共に、一気にバラの芽が動き出し、艶々として瑞々しい葉をぐんぐんつけ始めました。
冬の間閑散としていた庭が、春になって彩を取り戻します。植物たちの息吹に心が弾む一方で、活発になった虫達の存在に恐怖を感じる日々。しかし、バラのプロから習った予防策のおかげで、害虫も病気も心配が要らないようです。
今回はまず、春のバラのお手入れからご紹介します。
お手入れ1:「1月以降、芽が出たバラへの消毒」
剪定や寒肥が終わったら、芽の中や枝に潜り込んでいる害虫や病気を処置するためと、春からの予防のために消毒をします。
おすすめは、『石灰溶剤』または『ダコニール1000』。使い分けのヒントは、芽が出ていなければ『石灰溶剤』。芽が出ていたら、石灰溶剤は葉をチリチリにしてしまい、光合成を損なわせる薬害が出てしまうため、そういった心配がない『ダコニール1000』を選択。濃度は、乾いた後に、消毒液が白く残るほどの濃さ、50倍で蒔くとよいそうです(ちなみに真夏時にダコニールを使用するのはNG、薬害が出るので注意が必要です)。
さて、我が家では、鉢も入れると、バラの本数がおよそ60本近くあるので、12リットルほど消毒液を撒きます。手持ちのダコニールを使ってみたら、普段の定期散布よりもずっと濃いため、すぐに1本では足りなくなってしまいました。追加を買い求めにホームセンターへ買いに行ったところ、家庭用サイズと大きなサイズが並んでいました。
お値段を比較すると、30ml/898円(税込)、500ml/2180円(税込)。成分は同じなのに、プライスが7倍近く異なります。たくさん使うことを想定し、お徳用の500mlを購入しました。園芸や畑用品にはこういった値段の開きがけっこうあって、ほかに例を上げると、誘引用の麻ひもは、家庭菜園コーナーと農業コーナーでは、5倍程違ったりするので、最近はよくよく比較してから購入するようになりました。
園芸や畑をこれからやろうという方は、いつもと違う売り場も覗いてみる癖をつけるといいと思います。
さて今回は、前回ご紹介した「つるバラの冬のお手入れ」に続き、「木立ち性のバラ」のケースをご紹介します。
お手入れ2:「剪定のヒント、庭のデザインを考えて樹高もアレンジ」
我が家のバラは、去年植えたばかりで、まだ2年目の若い株です。バラは古い枝と新しい枝(シュート)が世代交代をしながら大きくなるため、3~4年後には花付きが悪くなる古い枝の整理も必要になるそうですが、今年はシンプルに、伸びた枝を切り戻すだけに集中しました。
1)葉を取る
さて、まずは木立ち性のバラもつるバラと同様、残っている葉を病害虫の予防のために取り除くことから始めます。葉を下に落としたままにしないことも注意。
2) 枝を切る(剪定)
いざバラを剪定してみようとなると、どこを切ったらいいのか迷ってしまいます。
本を参照すると、品種によって異なるそうですが、まず花をつける見込みがない細いサイズの枝を切ります
A:大輪系 鉛筆よりも細い枝
B:中輪系 割りばしよりも細い枝
C:小輪形 竹串よりも細いサイズ
続いて、古い枝も花付きが悪くなるので、切り落とします。新しい枝と比較してみると、ひび割れてきているような表面になっているのが古い枝、赤い色身を帯びているのは新しい枝になります。
ただし品種によっては、新しい枝(シュート)が出にくく、古い枝に花をつけるタイプもいるので、あらかじめ自分が育てているバラの特性を調べておく必要があります。ちなみに我が家では、アイスバーグが古い枝も大切に育てていくバラでした。
続いて、どの箇所を切るのか?
基本のルールは、1/2~1/3くらいになるように、前年に切った枝から伸びた枝に、はさみを入れます。このとき、3~4芽残したあたりが理想ですが、芽が内側に入っている個所切ってしまうと、成長したときに枝が混みあってしまい、病害虫の原因になってしまうので、外側についた芽(外芽)の上で切ります。
また細かいポイントですが、専門書によると、「芽の上5mm~1cmの位置を、斜めに切る」と紹介されているのですが、斜めに切るというアドバイスに関しては、そもそも雨や水やりの際に、切り口に水が溜まって、芽が痛まない様に角度をつけるという目的だそうです。しかし実際は、水がずっと切り口に溜まっていることはないらしく、それほど気にしなくて大丈夫。
また、バラに精通している造園屋さんから、「こちらのお宅は、まだ株が小さいので、浅めに剪定しましょう。少し細いかな?と思う枝も残しておいて、葉をたくさんつけさせ、バラの株が大きくなるようにするためです」という応用アドバイスもいただきました。
公開されている大きなバラ園を鑑賞すると、一律に同じ高さにそろっているところが多いですが、個人宅のお庭では、一概に1/2~1/3になるように切るのではなく、植えている位置関係も考えることも、楽しみのひとつです。手前はコンパクトに、奥に行くにつれて、バラの背丈を高くして、お庭でゆっくりと過ごす空間から、どの花も見えるように剪定でデザインをしていくそうです。
バラ園の設営を考えている方は、1本1本バラを切るのではなく、お庭全体のバランスも踏まえて剪定してみてくださいね。
お手入れ3:「成功率ほぼ100%なバラの挿し木方法」
バラの剪定をすると、もれなく切った枝がたくさん出てきます。バラ好きとしては、この子たちをただ捨てるなんて、かわいそうでなかなかできません。まだまだ幸いにも、植えるスペースがあるので、挿し木にチャレンジして「バラの苗を増やす」ことにしました。
またまた造園屋さんにコツを伺ったところ、簡単なのに、成功率がほぼ100%という驚異的な「苗増やし」ができましたので、共有したいと思います。
一年の中で一番成功率が高いのは、この冬剪定のタイミングだそうですので、皆さんも剪定した後にぜひお試しください。手順は4つ。
■1:切り落とした枝の中から、花が付く太さ(大輪ならば、鉛筆くらいの太さ)を選別
■2:2芽程度ついている長さに枝を切る
差し口は鋭角になるようにカットし、水を吸い上げる面積を広げておきます。
■3:30分ほど水揚げする
■4:赤玉土を用意し、穴をあけてから枝を差し込み、たっぷりの水をかけて完成
私が驚いた点は、土を赤玉にするというポイントです。今までは、培養土に挿し木をしていたのですが、赤ちゃんと同じ状態であるまだよちよちの挿し木に、栄養過多の培養土をいきなり与えるとびっくりしてしまうため、あえてシンプルで栄養が含まれてない赤玉土で育てていくそうです。
赤玉土に差し込んだら、もうこの先はじっと春まで我慢…!乾かない様に水やりするのですが、勢いよくすると枝がぐらついてしまうため、やさしく与えてくださいね。
また、すぐに根が出るように、ルートンなどの発根促進剤を切り口に付けたりしていたのですが、これも特にしなくていいそうです。「冬はバラがそもそも休眠中なので、意味がないと思いますよ」というアドバイスに納得。
一向に変化が見られず、気になって気になって仕方がなかった挿し木ですが、辛抱強く春まで待っていると、小さな枝からも一斉に新しい葉が芽吹き、感動しました!
こんな簡単にできてしまうなんて、驚きです。この手法をこれからも取り入れていこうと思います。
最後に、最近の古民家でのお楽しみをレポートします。
東京よりも、少しゆっくり開花した桜。今年は、こちらでもお花見をしました。田舎でのお花見は、まず貸し切りで楽しめてしまうこと!それから、黄色い菜の花と大きな青い空が、優しい桜の色と美しいコントラストを織りなす景色を楽しめることが魅力です。
お友達とわいわい賑やかなスタイルも好きですが、鳥たちのさえずりをBGMに、静かに桜と向き合うのもまた一興。ささやかながら、幸せを感じられるひとときでした。また、次の季節も美しいお花を愛でに、古民家の周囲の里山にお出かけしたいと思います!
東京⇔田舎で二拠点暮らし。シリーズ「セカンドハウスライフ」
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- TEXT :
- 堀江美希さん 会社経営
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