雑誌『Precious』9月号の別冊付録では【やっぱり「鮨」が好き!】と題して、日本人のソウルフード・鮨を特集。北陸をはじめとする日本各地の名店から、注目の新潮流店まで、「おいしい鮨」をたっぷりとご紹介します。今回は、注目すべき29店を一挙大公開! 今日の予定は「おいしい鮨」です。

【目次】

美味鮨を食べに北陸へ「北陸の鮨が呼んでいる」6選

鮨は、日本人のソウルフード。豊かな漁場の近くには、豊かな鮨文化が育まれてきました。なかでも、日本海に面する北陸は鮨の聖地。“天然の生簀” と呼ばれる奇跡のような地形の富山湾を擁する富山。暖流と寒流が交わる漁場が広がる石川。いずれも水揚げされる魚種が豊富で、漁場と港も近く、朝獲れの抜群の鮮度はいうまでもなく。極上の地の魚との出合いに心躍ります。しかもどちらも、良質な米の産地。鮨好きにとってこのうえない環境に、うまい鮨を届けたいという職人の心意気と丁寧な仕事。今回は、全国から鮨好きが集まる富山と石川の名店を巡りました。能登半島の東側、富山湾の支湾である七尾湾(写真)も海の幸が豊富。穏やかな癒しの海には、いまだ震災の傷跡が残ります。だからこそ、鮨を求めて、旅して、食べて、北陸支援。北陸で、美味鮨が待っています。

1.「鮨 大門」地魚をよりおいしく。富山の名店の静かな情熱

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“深海の宝石” 白エビは繊細な甘さとコク。シャリとの間に海苔やゆずを忍ばせることも。シャリは米酢に2種類の赤酢をブレンド。

檜の一枚カウンターそばのケースには江戸前の仕事を施したネタが美しく並ぶ。マグロ以外は魚津を中心に、富山湾で水揚げされた地魚。5日間寝かせた真鯛の握りには大葉と梅を忍ばせ、うま味を爽やかに引き立てる。焼いた昆布などを加えた煮切りは、コハダに塗ると栗のような香りが心地いい。

店主の大門太郎さんは21歳のとき、「ここではないどこか」を目指して北へ。小樽や札幌の名店での修業を経て、’19年、魚津駅前に店を構えた。「長く続かない」といわれながらも自分の仕事を貫き、その美しい鮨を求めて、県内外から常連が集う。

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2.「美乃鮨」江戸前×富山の地魚、愛され続ける老舗

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北陸では通年とれるノドグロ。軽くあぶった皮目の香ばしさ、しっとりとした脂と甘みが絶妙。¥550〜

サクラマス、ノドグロ、ベニズワイガニ… ケースには富山湾で水揚げされたネタが整然と並べられ、そそられる。富山城そばの「美乃鮨」は、1963年に東京で創業。二代目の三島裕起さんは、先代が富山へ移住した後に店を継いだ。以来40年近く、地元で愛されている。

「好きな鮨を好きなように楽しんでほしい」という思いから、1貫220円からオーダーでき、地元民をはじめ、観光客や出張中のビジネスマンで賑わう。コハダやハマグリなどは江戸前の技でひと手間かけ、鮮度抜群の地魚は手をかけすぎずに握る。

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3.「SOTO」その日だけの儚い美味をクリエイティブに届ける

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おまかせはつまみが11品〜、握りが10貫ほど。ヒラマサは生姜醤油とトリュフオイルで。

店主の小杉外博さんは、80年代に鮨職人として渡米。後に独立し、ニューヨークに移転した鮨店は7年間ミシュラン二ツ星を獲得し、評判を呼んだ。

32年間のアメリカ生活を経て地元に開いた店は静かな住宅街にある。ここは、鮨屋であって鮨屋ではない。握りの前のつまみは、燻製にしたサバをムースに仕立てたり、セビーチェにアレンジしたりと多様な地魚を少量ずつ提供し、コース全体で富山湾を表現している。

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4.「一(ひとつ) 能登島」海景と美味鮨に癒やされる北陸初の鮨オーベルジュ

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つまみ8品、握り12品のある日のおまかせから。七尾産の岩牡蠣はふくよかな甘みと磯の香り。軽く握るものは板前の手から直接つまむスタイル。

能登半島の東側、七尾湾に浮かぶ能登島に、民宿だった建物をリノベーションしたリゾートオーベルジュが開業。8室すべてがオーシャンビューのゲストルーム、薪サウナやスパと共に評判なのが鮨。食事処の「饗処(あえどころ)」では、金沢の名店「鮨 みつ川」の光川浩司さんが監修した江戸前鮨を堪能できる。

能登のおいしさを伝えたいと、食材はほぼ地元産。通年とれるノドグロをはじめ、夏は天然の岩牡蠣、黒アワビ、甘鯛にマグロ、県外にはほとんど流通しない赤西貝なども楽しめる。

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5.「鮨 くら竹」考え抜かれたたくらみが地元で愛される店

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左/甘エビのヅケに、外子の塩漬けとエビの頭のミソをのせて。官能的なおいしさ。右/細切りにし、ねっとりと甘さを増した赤イカにせん切りの大葉を合わせた。季節ごとに旬を迎える多彩なイカの味わいを楽しめる。

握りの初手は、イカ。細く切り、ねっとりと甘みを増した中にきざんだ大葉。主役にはなりにくいネタにもひとさじのたくらみを施すのが「鮨 くら竹」のこだわり。店主の倉橋晃規さんは、「鮨 みつ川」など金沢の名店で修業を重ねた。

夜はつまみ6品、握り10貫のおまかせが1万円以下で楽しめるのは、「リラックスして鮨を味わってもらいたい」という思いから。北陸の旬の食材に徹底してこだわり、県産のコシヒカリを使った赤シャリは穏やかな酸味。日本酒への情熱に満ち、「金沢の鮨屋での日本酒の充実度はいちばん」と自信を見せる。

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6.「鮨 木場谷」地元の食材愛に満ちた北陸の鮨の真髄を堪能

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早朝、氷見の港で仕入れたサクラマスの握り。酢締めした肉厚な身は脂のうま味も心地いい。

極上の素材を見極め、仕入れ、うまくする力。それは「鮨 木場谷」の真骨頂。魚と米を握るというシンプルな料理だからこそ食材にはこだわりたいと、店主の木場谷光洋さんは毎朝、富山の氷見(ひみ)や新湊の漁港に行き、豊洲市場に流通する前の最高の魚介を調達。江戸前の技で地の魚の力強いおいしさを引き出す。

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ニッポン全国「推し鮨」14選

北から南までさまざまな漁場があり、卓越した腕をもつ職人が各地で鮨文化を花開かせている日本。そこでお鮨と旅を愛する人々に「推し鮨」をリサーチ!愛ある本人撮影写真を交えてバリエーション豊かにお届けします。

1.フードコラムニスト、『あまから手帖』編集顧問・門上武司さんが推す! 大阪・上本町「鮨 原正」

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シャリは人肌より温度を少し下げて、米の甘みを追求。おまかせの流れでメリハリをつくることで、足すことではなく “引き算の鮨” を意識している。

おまかせの流れが美しい、いつまでも食べ続けたい鮨

「つまみのアワビの香りと味わいの深さは格別。鮨飯は柔らかな酸味で、細かく包丁目を入れたイカの甘さを最大限に引き出し、また車エビは緩やかな温度で香りを楽しませてくれます。鮨飯とネタ、どちらも主張が強くなく食後感もスッキリ」(フードコラムニスト、『あまから手帖』編集顧問・門上武司さん)

2.フードコラムニスト、『あまから手帖』編集顧問・門上武司さんが推す! 北海道・札幌「鮨一」

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大将の気風のよさ、技術の高さ、価格含めて、ありがたい一軒

「特筆すべきはマグロの質の高さ。香り、味わいまで記憶に深く残ります。産地が近いことを実感するのが貝類。生きたホタテはその場で貝柱を取り出し、調理されます。新鮮という言葉はこのホタテの握りを食べることで、がぜん納得がゆくのです」(フードコラムニスト、『あまから手帖』編集顧問・門上武司さん)

3.フードコラムニスト、『あまから手帖』編集顧問・門上武司さんが推す! 大阪・西天満「鮨ろく」

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2種のシャリを使い分けるご夫婦ふたりの実直な鮨屋さん

「ネタとシャリの一体感を考え抜いて、江戸前の仕事を施した魚には赤酢を、関西ならではの白身の魚には米酢を使用。白身は爽やかさ、仕事を施したネタはコクを感じるものの、その差異がほとんどないというのも、すごみだと思うのです」(フードコラムニスト、『あまから手帖』編集顧問・門上武司さん)

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4.トラベルジャーナリスト・寺田直子さんが推す! 新潟・古町「兄弟寿し」

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創業63年となる2023年7月に移転オープンし、より洗練された空間に。食材の9割に地の物を使用。

ネタはもちろんシャリまで絶品 米どころ新潟が誇る名店

「“新潟前” と称し、地元のネタの真価を、その実力であますところなく表現する若き店主のいる店。とろりと甘い新潟の名品『南蛮エビ』は必食。しっかりと酸味を感じるなかにもまろやかさのある、際立ったシャリのうま味もさすが!」(トラベルジャーナリスト・寺田直子さん)

5.トラベルジャーナリスト・寺田直子さんが推す! 大分・別府「季寄 新鮨し」

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豊後水道が育んだ鮮度の高い魚に開眼!

「潮流が速い海域で鍛えられた、身の引き締まった魚の爆発的な生命力のうま味を堪能できます。おすすめはおまかせのコース。握りの合間にこれもまた旬の味覚の逸品が登場。お値打ちで満足度があり、飛行機に乗って通いたいお気に入りです」(トラベルジャーナリスト・寺田直子さん)

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6.文筆家、料理研究家・ツレヅレハナコさんが推す! 山形・酒田「寿司・割烹 鈴政 酒田本店」

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アカメフグ

地元民に愛される店で庄内の海の幸と地酒を存分に

「地元の友人に紹介され初訪問。庄内でとれるアカメフグは紅葉おろしとポン酢で。日本海の王様、ノドグロの塩焼きは、みんなに食べてほしいと一尾丸ごとお手頃価格で提供されます。蕎麦の実に冷たいだし汁をかけたむきそばまで、すべて絶品」(文筆家、料理研究家・ツレヅレハナコさん)

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7.『Precious』専属モデル・大政 絢さんが推す! 北海道・札幌「鮨 しょう太」

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若き大将が展開するめくるめく北の鮨に酔う

「日本料理を学んだ大将の繊細な世界観が味わえます。この氷の器は大将がひとつひとつ包丁で削ったもの。マグロのラインナップも極上で、それぞれの味わいにうっとり。故郷の北海道を誇りに思うと同時に、帰省する楽しみまで増えました」(『Precious』専属モデル・大政 絢さん)

8.ブランディングディレクター・行方ひさこさんが推す! 佐賀・唐津「笑咲喜」

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食材の目利きで、高い技術をもつ大将に流れを委ねたい。

見目麗しい器に、地魚の鮨 、取り合わせの妙まで美味

「唐津にはよく足を運んでいて、地元の方のおすすめで訪れたのが最初の出合い。大将の明るく元気な人柄が楽しい時間を盛り上げてくれます。お皿は唐津の作家さんのものがほとんどで、中里太郎右衛門から新進作家までバリエーション豊か!」 (ブランディングディレクター・行方ひさこさん)

9.ブランディングディレクター・行方ひさこさんが推す! 福岡・桜坂「鮨 唐島」

わざわざ足を運ぶ食通も!鮨の激戦区・福岡屈指の名店

「初めてお伺いしたときは、こちらで鮨を堪能するためにわざわざ福岡を訪れました。九州の魚介を使用した洗練されたつまみや丁寧な接客など、すべてが記憶に刻まれています。旅の目的にする価値がある、多幸感あふれるお鮨屋さんです」 (ブランディングディレクター・行方ひさこさん)

10.『Precious』専属モデル・真樹麗子さんが推す! 京都・丸太町「京都 さえ㐂」

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日本庭園を望むカウンターで最高級食材を堪能する至福

「家族で京都に行く際に訪れています。美しい日本庭園と、選ばれし食材を丁寧に見事に調理する大将を眺めるのは眼福。カニやアワビ、マグロ、また舞鶴のトリ貝など四季折々の絶品食材はもちろん、選りすぐられた日本酒もまた美味なんです」(『Precious』専属モデル・真樹麗子さん)

11.スタイリスト・犬走比佐乃さんが推す! 長崎・五島「鬼鯖本店」

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国内有数の漁場で水揚げされた新鮮な鯖を棒鮨で!

「雑誌『Precious』の撮影で訪れた長崎・五島で、スタッフ全員が夢中になったのが『鬼鯖鮨』。実は鯖鮨はあまり得意ではなかったのですが、その新鮮さに開眼! 半身を2枚重ねた『ダブル』は驚くほど肉厚で、口いっぱいにうま味が広がります」(スタイリスト・犬走比佐乃さん)

12.フォトグラファー・神林 環さんが推す! 福岡・赤坂「鮨 木島」

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端正な佇まいと凛とした味わい これぞ正統派の “博多前”

「福岡に移住して6年。以前より鮨を楽しむ頻度が高くなりました。というのもこの地はコストパフォーマンスの高い、洗練された鮨店が粒揃いだから。『鮨 木島』では、玄界灘近海の旬の魚介をゆっくりと味わいます」(フォトグラファー・神林 環さん)

13.『Precious』美容担当・佐藤友貴絵が推す! 新潟・新発田「鮨 登喜和」

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地の物にひと手間を加えた鮨はまさに “ローカルガストロノミー”

「素朴な店構えながら、暖簾をくぐると洗練されたカウンターがあり、期待感が高まります。東京で修業して戻られた3代目のつまみと握りは、地の魚にひと手間とひとひねりを加えた逸品ばかり。今、ここだからこそ食べられる奇跡を味わいます」(『Precious』美容担当・佐藤友貴絵)

14.本企画担当エディター・松田亜子が推す! 福岡・赤坂「吉冨寿し」

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手入れの行き届いた空間で心ほぐれる鮨時間を過ごす

「緊張して引き戸を開けてみると、削ぎ落とされているのに温かみのある美しい空間が広がっていました。マグロのヅケのつまみから、フグやタチウオの握りまで、食べ進めるほどに寛ぎを感じて。鮨の楽しみ方を教えてくれたメモリアルな店です」(本企画担当エディター・松田亜子)

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シン・東京ラグジュアリー鮨4選

鮨は、美しくて、エレガント。新店を中心に、今、東京で行きたい鮨店をフードライターの森脇慶子さんに教えてもらいました。食べる人をラグジュアリーへと誘う名店揃いです。

1.「Sushi Hoseki - Kenji Gyoten」ブルガリの宝石を思わせる妥協のない、鮨のエレガンス

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予約時間の直前にシャリに赤酢を合わせ、そのパンチのある酸味に負けないよう最初の鮨はマグロを2貫。

つけ台に置かれた瞬間、艶やかなマグロのヅケが静かにシャリに寄り添う。色、ツヤ、形、全方位で美しく繊細な鮨は、まさに宝石のようで見惚れる。

「ブルガリ ホテル 東京」の40階にある天空の鮨店は、世界から注目を集める福岡のミシュラン三ツ星店「鮨 行天」の行天健二さんが監修。その薫陶を受けた清水拓郎さんの鮨は、ネタやシャリ玉に触れすぎず、包み込むように握ることでシャリはふわりと空気をはらみ、こんもりとした独特なフォルムに。その形はまるで、“ブルガリ” のジュエリーのよう。

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2.「鮨 ゆうき」誠実な江戸前仕事が生む美しく粋な鮨

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夏の風物詩であるシンコは軽く酢締めし、4枚づけに。柔らかい身と皮がすっととけるよう。シャリは羽釜で炊いた『あきたこまち』に米酢を数種類ブレンド。米の甘さとうま味が感じられる絶妙な炊き加減。

横浜で60年以上愛された老舗「常盤鮨」の三代目・林ノ内勇樹さんが、3月、広尾に移転オープン。林ノ内さんは厳しい修業で知られた伝説の名店「鮨 水谷」の水谷八郎さんの下で7年間修業し、2番手を務めた。ほぼ唯一の直系弟子として、東京で自らの鮨の表現に挑戦している。

所変われど、「“鮨” を食べてほしい」という情熱と、繊細な温度にまでこだわる丁寧な仕事は変わらない。艶やかで美しい赤身は、豊洲の仲卸“結乃花”から仕入れ、フレッシュな香りや酸味などを生かしながら握る。金目鯛などの淡い白身魚は握る前に表面が汗をかく程度にさっと温めることで、脂の上品な味の輪郭を立たせる。

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3.「鮨 うらの」厳しい仲卸が一目置く、気鋭の職人の熱意

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“フジタ水産” から仕入れた天然本マグロの中トロ。

“フジタ水産” のマグロ、“大力商店” の白身魚や鯨の尾の身、“旭水産” のコハダ…。一流店御用達の仲卸からの食材に、おまかせ5万円でも合点がいくが、「鮨 うらの」は2万円で提供している。

店主の浦野博正さんは鮨職人としてドイツのミュンスターに移住後、独学で鮨の腕を磨いた。上手を言えるタイプではない実直さ、鮨をおいしくしたいという志の高さと熱意が仕事に厳しい仲卸の心を動かし、極上の食材が自然と集まるほど愛されている。

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4.「鮨 門わき」名人の仕立てと職人の鮨愛、鮮度の向こう側の美味鮨

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ゆでダコの下に海苔をしのばせ、塩をぱらり。タコのゆでを極めた門脇さんの自信作で、その味、香り、柔らかさに驚く。シャリは鮨好適米の『笑みの絆』。

歴戦の鮨好きでもお目にかかったことがないネタが「鮨 門わき」にはある。それは、鹿児島の魚屋で仕立ての名人である通称 “ジョ兄” から届く魚。流通にのらない極上の希少個体を完璧に血抜きしているため、店で寝かせるほどに脂が乳化し、うま味がまわっていく。店主の門脇賢寿さんはその信頼関係から、食材を “ジョ兄” から仕入れている東京でも数少ない鮨職人。最高の食材にひと手間をかけ、鮨という最終形に仕立てる。

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より自由で楽しいニュータイプ鮨3選

日常使いするなら、より気軽に行ける店へ。今、鮨界隈はカジュアルスタイルの店が鮨の楽しみを広げてくれています。立ち食い鮨、バー感覚で使える店、そして野球仕立て(?)の3店舗も注目です。

1.「鮨 三か田」鮨と酒を愛する夫婦が営むスタンディング鮨

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スタンディング鮨「鮨 三か田」

立ち食い鮨は楽しい。その原体験は幼い頃、父親に連れられて行った立石の名店「栄寿司」。職人と客の関係性に憧れ、安藤 聖さんは昨年11月、念願の立ち食い鮨店の店主に。

昇り龍のアートなど安藤さんの好きが詰まった空間でいただくのは、江戸前の技を駆使した創意溢れる握り。18〜20種類ある握りは1貫から、屋久杉のカウンターに並ぶiPadでオーダーできる。懐メロを聴きながら鮨をつまみ、キャッシュレス決済でさくっと帰る。日本のファーストフードの醍醐味がここに。

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2.「深坂」品よくワインが進む “鮨屋らしくなさ” の心地よさ

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大分産のごま鯖をレア感が残る程度に軽く締め、贅沢に3切れを握る。シャリは赤酢と米酢、黒酢をブレンド。

看板の出ていない扉の奥は、Z形カウンターのモダンな店内。店主の深坂勇輔さんは銀座「鮨 たかはし」などで修業し、今年3月に店を構えた。

17時からはおまかせ中心、21時からはアラカルトでも提供。「遊びを入れつつ遊びすぎない」を大切にし、おまかせは酒が進む緩急ついた構成。料理への探求心に溢れ、春巻きが出てきたりと楽しく意表を突かれる。ソムリエの城戸美貴子さんセレクトのナチュラルワインも充実。バー感覚でも使え、鮨をちょっとつまみながら一日を締めるのも粋。

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3.「ブルペン」若手職人が “握り込む” 絶品鮨を気軽に、気楽に

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マグロのヅケ¥800。シャリは羽釜で炊いた『つや姫』。

ここでは昼営業はデイゲーム、夜はナイター。つまみは “牽制球”。若手職人に多くの鮨を “握り込み” してほしいと、目黒の人気店「鮨 りんだ」の系列店としてオープン。とはいえ、ネタの質も仕事も逸品で、高級店に慣れた客も多く通う。

鮨はテンポよく供され、1貫からオーダー可能なので、ビールと鮨3貫をつまんで帰るという使い方も。溌剌とした職人たちとの会話も楽しい。子連れOKで、ペット同伴可のテラス席も。リラックスして鮨を味わえ、懐にも優しい。明るい鮨屋って、いい。

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鮨屋の極上もちかえり鮨2選

端正に収められた極上の味と技巧、職人の情熱が際立つ美しい鮨。それは、確実に喜ばれる手土産。でも正直、自分で食べたい!

1.「鮨 崚(りょう)」のばらちらし|ほぼイクラ!の贅沢。赤ワントーンの美麗ちらし

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鮨 崚「ばらちらし」¥9,000〜

もちかえり鮨の定番・ばらちらしで、アクセントになりがちなイクラを主役に、店主の佐々木 崚さんは「満足してほしいから」と、豪快に盛った。漁師飯を食べているかのごとく。日替わりで6種類ほどの魚介が入り、この日はほかに、仲卸 “山幸” から仕入れたマグロ、カマス、アジ、金目鯛、車エビ。スタメン食材のきゅうりの食感も効いている。4種類の酢をブレンドしたシャリの上3cmほどを魚介が埋め尽くす。

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2.「銀座 鮨青木」手毬鮨|贅も技も尽くした華やかで麗しい鮨の玉手箱

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「手毬鮨 」16個入り¥20,000〜(写真は¥25,000相当) 

江戸前鮨の伝統と洗練のある極上鮨が鮨好きを唸らせ続ける「銀座 鮨青木」。「手土産で喜ばれるものの代表は鮨」と、もちかえり鮨を続けている。一度は贈り、贈られたいのが2代目店主・青木利勝さんが考案した手毬鮨。

この日は、中トロ、スミイカと海苔の鳴門巻き、車エビ、カマス、昆布締めのカレイ、青柳、井桁に組んだコハダ、バフンウニ、タコの桜煮、蒸しアワビ、穴子。江戸前の仕事が凝縮され、繊細な細工の手毬鮨は見目麗しく、蓋を開けたとたん、トキメキが止まらない。数は16個、25個、2段、3段…と増やせ、見た目の雰囲気を可能な限り相談できるのもうれしい。

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※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
※掲載の情報は、2024年7月のものです。メニューは季節によって変わります。価格が変わる場合もあります。

PHOTO :
長谷川 潤、合田昌弘、池田 敦(CASK)
EDIT&WRITING :
松田亜子、本庄真穂、木村 晶(Precious)
取材協力 :
森脇慶子